漂流生活を生きぬいていこう
- カテゴリ:日記
- 2013/09/16 12:18:53
ろ?帝を
孫に持つといえば、国を手に入れたも同然だ」
「うん」
朱雀もうなずいた。
そこを突き崩せないかと試みたのだけど、さすが巨大な政治官僚機
構、彼ひとりではまったくらちがあかない。
「兄貴を前に悪いけど、俺は右大臣の死に待ちをするつもりだから。
あの人が位を去れば、この体制は崩れる」
「おおこわ。これだから政治家は」
蛍はおっかなそうに首をちぢめた。
「ご老体の安息を願ってんだろ。若輩の敬老心だよ」
光がにやりと笑う。
「とにかく、あと数年待てば事態も変ると思うんだ。春宮さまも大きく
なるし」<a href="http://www.nvshen668.com" title="http://www.nvshen668.com">http://www.nvshen668.com</a>
光は朱雀に向き直ると、真顔で言った。
「春宮さまが無事元服なさって政事を行えるようになるまで、兄貴に
はそばで見守っていてもらいたいんだ。俺は会いたくても会いに行
けないから。それだけは、頼むよ」
「はい、命にかえても」
朱雀は慎んでうなずいた。<a href="http://www.nvshen668.com/briefingブリーフィング-gwxm0b2-2.html" title="バッグ人気ランキング">briefing バッグ</a>
君臣入れ替わった感がある。
「春宮さまのご即位には、かならず光の力が必要だから。そのとき
までどうか、無事でいてね」
「ああ。まあ同じ日ノ本だ、地獄に行くわけじゃなし、すぐ死ぬことも
ないだろう」
光は軽く笑ったが、朱雀は深刻な顔で聞いていた。
須磨の浦…
いったいどんな所なんだろう。
京を出たことのない朱雀には、噂話から想像するより他にない。
「この機に泳ぎでも覚えたら」
「この歳で?今さらすぎるよ」
「泳ぎもできずに海の歌をよむなんて、ダサすぎだぜ」
蛍は運動神経抜群なので、泳ぎもうまかった。
嫌がる光を尻目に、ふふんと笑う。
「どんなことがあっても必ず呼び戻すね、なるべく近いうちに」
「ああ、そう願いたいね」
光は軽くため息をつくと<a href="http://www.nvshen668.com/メンズバッグ-gwxm0b2-1.html" title="バッグ ブランド 人気">briefing 別注</a>
「戻ったらうんと仕返ししなくちゃな。俺と、俺の女たちを泣かせた
ぶん。この報いは重いぜ」
朱雀ににやりと笑った。
「わかってる。すべて受けます」
朱雀も笑ってうなずいた。
自分にできるのは責任を取ることだけらしいと彼も気づいていた
いざとなったら、首を差し出す。
「俺みたいな人気者を追放したら、さぞかし悪評が立つだろうな」
「うん」
「女によりもてなくなって、彼女にも嫌われるかもしれないぜ」
「うん…」
朱雀は泣きそうだった。
光に行ってほしくない
全身でそう言っている。
「ここまで来たんだから、すごいどんでん返しが起こって、出発寸前
で俺行かなくてよくなった、とかないの」
「うん…俺でいいなら喜んで行くんだけどね、光の代りに」
「えっ、じゃ俺が帝のふりするわけ?」
光は少し考えたが
「いい、やっぱ須磨行くわ。須磨の方がましそう」
そういって苦笑した。
縛られた玉座より、開かれた僻地の方がまだましだと判断したらしい。
「元気でいてね、出家も病死もしないで。俺が仕返しすんだから。
兄貴への報復を支えに、漂流生活を生きぬいていこうと思うからさ」
光は捨て台詞を吐いた。すこし笑って。
「うん、待ってる」
朱雀も泣きそうに笑った。
もう一度、かならずここで会おう。
蛍も笑って、三人再会を誓う。10-2 ふたりで見る夢
光は入道の宮に挨拶にいった。
ちかき御簾の前に、御座まゐりて、御みづから、きこえ給ふ。*
「春宮さまのため、かならず生きて帰ります。あなたも俺の無事
を祈っていてください」
宮は沈んでいた
いろいろ思って悲しんでくださる。
髪を切ったって彼女は美しかった
寄り添って離れたくない愛しさも、変らぬまま。
昔、かやうに、あひ思し、あはれをも見せ給はましかば*―
今じゃもう遅いだろ?
つぶやきながら苦笑した
昔見れたらなんて、無理な話だよな
そのふたつは両立しえない
俺に襲われる心配がなくなったから
彼女はやっと優しい言葉をかけてくれるようになっ