Nicotto Town


ロング澤翔


その瞳の静けさ

はぱちぱちまばたきすると、ただ黙ってしまった。
「お前はやさしいけど残酷な奴だよ、女から見ればな。そのやさしさで
人を傷つける。しかも自覚ないし」
すっかりしゅんと黙ってしまった夕霧に、光がくすりと笑う。
「本当に女に尽すなら、身も心も捧げて、どんなそしりも受けるんじゃな
きゃ。自分の操は守りつつ、いい顔だけしようなんて、虫がよすぎるぜ」
朧月夜に尽した兄はすべてを捨てていたよなと光は思った。
その頃朱雀はおそらく、葵のことすら忘れてた<a href="http://www.ngqck.com" title="http://www.ngqck.com">http://www.ngqck.com</a>

それが女に対する敬意だから。やさしさだから。
「やさしさってのは、もっと痛みを伴うもんなんじゃねえの?まあ俺は、
やさしい人間じゃないからよくわからんが」
光は言いさして、夕霧をこづいた。
「だいたいお前は兄貴を侮りすぎなんだよ。いくらやさしい伯父さんだか
らって。ああ見えて、兄貴はすごい人なんだよ?兄貴の突然の譲位劇、
お前にも見せてやりたかったよ。あの日大后さん本当に騒いでてさ、で
も兄貴全く気にしないの。取り乱して裾にすがる母親を、冷たい一微笑
で瞬殺してさ。物も言わせなかったよ」
あれはちょっと忘れられないと思った<a href="http://www.ngqck.com/briefingブリーフィング-x9w1s-2.html" title="人気トートバッグ ブランド">トートバッグ オリジナル</a>

あの微笑。しずかな迫力。
怒りですらなかった
単なる決意。
あの弘徽殿太后を完膚なきまでに黙らせた人間は
後にも先にも朱雀帝しかいなかった
しかも自分を消すことで。母と心中して黙らせた。
その瞳の静けさ
やさしい人の根幹は強いんだってこと、思い知らされた気がする。

「悩みの種を、可能性を消してまで楽になりたいってのは、もう相当思
いつめてる証拠だぜ?お前は一体どこまで追い詰めたんだよ、彼女を」
「そんなこと…」
いいさして<a href="http://www.ngqck.com/男女兼用バッグ-x9w1s-1.html" title="バック バッグ">トートバッグ メンズ 人気</a>
特に何か決定的なことがあったわけじゃないと思うけど、と
夕霧は思案した。
たしかにそれは間違っていなかった
だがその日常的な日々が、ささやかな幸せが
女に将来へのかすかな希望を抱かせる
もちろん無理なのに。
これからうまくいくのなら、最初からそうなっていたはずなのに。
それが、わからない。
別れる別れると言いながら、家庭を捨てる気のない男に
いつまでも振り回される罠。
「ずいぶん色男になったねえ、夕くんも」
光はむしろ嬉しそうに笑った。
そうでなくちゃ
仮にも二代目源氏
女の一人や二人、泣かせてくれないと面白くない。
「前から思ってたんだけど、お前って本当もてるよね。自分から告白
したことないんじゃない?」
「えっ?」
急に変なことをきかれて、夕霧はきょとんとした。
「だって、雁ちゃんとは相思相愛だったんだから、告白したうちに入ら
ないし。他は言いよられてばかりだろ?」
「ばかりってほどでも」
「いいよねえ、もてる男は。俺なんて常に自分から告白してるぜ?
まあ失敗しないけど。だめそうでも無理やりものにして、百パーセント
成功させるけど」
「単に強引なだけだろ」
「そうそう」
光はにこにこ笑って、全く反省の色がない。
「まあとにかく、二宮さんについてお前ができることはもう何もない
と思うよ?お母さんの葬式もちゃんと出してやったんだろ」
「うん、まあ」
「じゃあ後は彼女の気持に任せるだけさ。出家しようが何しようが、
お前はそれを受け止めて、支えてやる。それだけじゃない?」
「…」
それしかないのかなと、夕霧はしょげた。
今までの俺の行為が彼女をそこまで傷つけたのなら
これ以上の余計な接触は慎まなければならない。
ふうと長いため息が、口をついて出る。
「あとは雁ちゃんを幸せにすることかな。お前が期待どおりのマイ
ホームパパぶりを見せてくれることが、彼女の幸せかもしれない。
お前が幸せでなきゃ、彼女も涙をのんで諦めた甲斐がないだろ」
「うん…」
夕霧




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