に手を貸すな
- カテゴリ:日記
- 2013/09/22 14:45:20
剩俊?
火悉海のあっさりとした口調は、取り乱すような事ではないと、男の目を覚ますようだった。
男は、渋々といった。
「若王がそういうなら……」
二人のやり取りを、掴まれたせいでよれた胸元を直しながら高比古は見ていた。
(若王、か――。こいつにとっては異国の王の子だっていうのに、まるで、自分の主みたいだな)
手を緩めた隼人の青年たちの腕から自由になると、男はすぐさま背を向けて、立ち去ろうとした。男は、高比古をちらりと見て、無礼を詫びるように軽く頭を下げた。
「申し訳なかった」
男はそそくさと高比古のそばを通り抜けたが、その背中を、火悉海が呼びとめる。
「おい、待て」<a href="<a href="http://www.fhdtl.com" title="http://www.fhdtl.com">http://www.fhdtl.com</a>" title="
隼人の若者たちの中でも、火悉海はひとさら存在感を示している。腕組みをして、そこですらりと立つだけで、火悉海は男を脅した。
「ここで見たことは、誰にもいうな。とくに、すぐに頭に血が上るような連中には。……ことを荒立てたくない。いいな?」
「……わかってますよ、若王」
こそこそとした動きで、いち早く館を去りゆこうとする男に、高比古に掴みかかった時の気迫はもはやない。
男が去った館に、妙な静けさが訪れる。凝り固まった静寂の中で、慎重な囁き声が交わされた。
「若王、見張りましょうか?」<a href="http://www.fhdtl.com/レディース財布-6po3kn-2.html" title="コーチ 財布 メンズ">coach 財布</a>
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火悉海の部下だ。答えた火悉海の声も、ひそやかだった。
「いや、いい。あいつもわかってるだろう。ほかに行き場がないから、ここにいるんだ」
火悉海は、男がくぐり抜けていった戸口の薦をぼんやりと見つめていた。
それから、高比古を向く。火悉海は、騒動を謝るように苦笑していた。
「しょっぱなから悪かったな。気を悪くしないでくれ。ここには、いろんな連中がいるから」
「そうなんだろうな。おれは気にしない」
「助かる。じゃあ、奥へ」
館の奥には、円い小部屋がつくられている。火悉海は、そこを顎で指した。
今の騒動をまたたく間に静めてみせたところといい、ひと睨みで男を脅迫したところといい――。火悉海には、貫録と呼べるものが備わっていた。
(そういえば須佐乃男が、こいつのことを、いずれ隼人の王か武人の長になる男だと評していたが……そうなのかもな)
火悉海にかしずく隼人の若者たちが主を見る目つきは、従順だった。その目つきの理由は、火悉海の立ち居振る舞いから察することができた。
それから、もうひとつ思い出した。
高比古を守るように、須佐乃男は、火悉海を脅した。
(……すごい爺様なんだろうな)
須佐乃男の存在の大きさは、とうに思い知っていた。出雲を出てからこのかた、高比古はそれに威圧され続けていて、認めたくなかったのは、ただ、負けたくなかったからというだけだ。
今ではもう、認めるしかないとわかってはいる。しかし、それでも――。
(負けたくない――)
幼い頃の反発か。誰かの都合のいいように振り回されるのは、大嫌いだった。
奥の間に通されてしばらくすると、ちらほらと人が集まってくる。
やってくる男たちは、みな隼人の蛇文様の肩布を身につけていた。薄暗い部屋にやって来ると、まず奥であぐらをかく高比古の姿を探し、じろりと見た後で、高比古から離れた場所を選んで、順々に腰を下ろしていく。
まるで、見世物になった気分だった。
次々と現れる男たちと目を合わせるのを避けるように、床を見つめた。
(出雲の策士がやってきたと、話をされた上で集まってるんだな。でも、いったいどんな話になってるんだ? 出雲の策士、彦名の跡取りがやってきたと? なにをしに? 出雲に手を貸せ……いや、大和に手を貸すなと訴えにやってき