腰に帯びてい
- カテゴリ:日記
- 2013/09/26 12:06:46
……。来てた」
強右衛門は歓喜のあまり吠えた。
岡崎城の大手門の門前に、泥まみれの素っ裸のまま、髪もほつれたまま、息も絶え絶えに現れて、強右衛門は兵卒たちを驚かせた。槍の先を突きつけられ、身元を疑われたが、
「長篠の鳥居強右衛門だ! おやかた様か若殿様に会わせてくれ!」
と、騒ぎ立てたので、聞きつけた三河勢がわらわらと集まってきた。その中に強右衛門を知っている者がいて、彼が確かにこの男が長篠城の鳥居なにがしであることを認めると、三河勢たちはさらに驚愕した。今しがた長篠城は包囲されているはずなのに、どうしてここまで来られたのか、一体、なぜ、そのようなぼろ雑巾のような姿なのか。
強右衛門は訳を話した。すると、三河勢は言葉を失い、あるいは長篠城の窮状に急き立てられて、たった半日で駆け抜けてきた強右衛門に感動した。
「お主は三河武者の誉れだ」
使い番が本丸へと走っている間、強右衛門は岡崎兵が持ち寄ってきた水を飲み、握り飯をほおばった。そうして、腹を満たしたあとは、大の字に寝そべって、岡崎兵たちに囲まれる中、空を見上げた。
「大丈夫だ。岡崎にはすでにおやかた様も織田様の軍勢も来ている。総勢四万だ。いつ出立のお達しが来てもおかしくない。四日か五日後には長篠にたどり着く。安心しろ」
「もっと早くなんねえのか」<a href="http://www.watchsinferior.com" title="http://www.watchsinferior.com">http://www.watchsinferior.com</a>
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岡崎兵たちは顔を見合わせた。
「それは織田様次第だ」
やがて、使い番が戻ってきて、強右衛門を急ぎ連れてくるようにと、三河守の言葉を届けてきた。強右衛門は起き上がると、兵卒たちが足取りの怪しい強右衛門を肩で支えてきたが、
「大丈夫だ。こんぐらい大したことねえから」
と、笑みを差し向けた。
本丸にてふんどし一枚の強右衛門を待ち受けていたのは、徳川三河守だけならず、嫡男の次郎三郎、酒井左衛門尉、それに織田上総介であった。
強右衛門は上総介を見たこともなかったので、最初、誰だかわからなかった。ただ、切れ長の瞼から放たれる研ぎ澄まされた眼光からして、この人が織田のおやかたなのだとはすぐにわかった。
乱世の栄光の頂点にいるような織田上総介を前に、強右衛門は疲れも忘れてときめいた。面を合わせるなど、本来なら絶対に有り得ないことだ。
俺は運がいいんだ、と、ひれ伏しながら、今この時を噛み締めた。
強右衛門は、長篠城が数日中に落城してしまう恐れを語った。猛然と襲いかかる武田勢を相手にして善戦しているものの、兵糧蔵を焼き落とされて、限界にある。すぐさま援軍を差し向けてほしいと訴えた。
「了解した」
と、高い声音だったのは上総介だった。
「すぐさま全軍に指令を発する。お主はゆっくり体を休めろ」
「お、恐れながら、長篠城ではわしの帰りを待っているので」
「なにい?」
「援軍が到着すること、奥平様や長篠の連中に早く教えてやりたいんです」
強右衛門の言葉に上総介は黙った。
「しかし、お主、昨晩からずっと駆けてきたのだろ」
三河守が言う。
「無茶をするな。体が持たんぞい」
「いや、おやかた様。わしは今まで何の戦功も上げていないんで、こんぐらいは死に物狂いでやりたいんです」
すると、上総介がフンと笑った。
「お前、もののふだな」
「はい」
と、強右衛門は笑った。織田上総介にそう言われたことは、彼にとって余りある栄誉であった。
「待て」
と、本丸広間から引き上げていた強右衛門は、そう呼び止められて、振り返った。強右衛門と背丈が同じぐらいの男がそこに立っていた。今ごろの時代には珍しく、引立烏帽子を鉢巻きで縛り止めて被っており、陣羽織は藍染めの地に袖口を銀で縁取ったもの、腰に帯びている物は実に見事な光沢で、脇差からは水色の