Nicotto Town


ココチュのネタ雑記帳


オリジナルおとぎ話「帝国の悪を斬る皇帝陛下」1

「側近マザリーニ枢機卿前に来るがよい」皇帝陛下がお呼びになりました。
「はは。マザリーニ、ここに」枢機卿が応えます「これはご機嫌麗しゅう。ザルゴン・イスパハン皇帝陛下」
「それが朕はご機嫌麗しゅうないのじゃ」と、皇帝陛下がしょんぼりした顔でお答えになった。「朕の国で絶賛流行中の小説を読んでおったのじゃが」

皇帝陛下の御傍にはうず高く書籍が積まれている
「え?それ全部お読みになったのですか?ってか全部ライトノベルばっかし」本のタイトルは千年帝国の野望だの革命少女ミルルコン・七つの月の騎士だの格闘乙女ジェシカ-皇国のサヴァイバルだのいかにも中学、高校生が好きそうなタイトルのライトノベルがてんこ盛りになっていた。

「で……陛下。これがいかがされたのですか?」
「うむ。実はのう」皇帝陛下がため息交じりに答える「たまに帝国が出るとみんな悪役になっておるのじゃ。朕はそんなに憎い敵なのじゃろうか?」ちょっと皇帝陛下いじけ気味。そんな姿がちょっとカワイイ。立派な髭までたくわえたデブ中年なのにちょっとカワイイ

「陛下。ここここここれは国民が自由に書物を出版出来るという陛下の善政の証左でもあるのです」
「そうか。自由の意志で悪役に回されているのなら益々朕は悪役なのじゃなぁ」
「そそそそそんなぁ。そんな事ありません陛下」

「はぁ。わしってばなんで悪役にされとるのじゃろう」陛下はますます肩を落としてもう泣きそうになっている。

「それは陛下。陛下が悪役なのではありません。帝国という物の成り立ちがそれっぽくなるだけなのですよ」枢機卿が困ったように解説する。
「そもそも帝国の定義という物がございます」「ふむ」「帝国とは何種かの民族または国家を併合した国家でございまして」「ほう」「もしかしたら強力な武力に屈した民族が居るやもしれませんね」「そうじゃのう」「あるいは強力な武力で脅されて抑圧されているかも知れません」「うむ」
「したがって悪役に帝国は選ばれやすい位置には有るかと思います」
「そうじゃのう。しかし残念な事なのじゃが最後のラスボスの悪の皇帝は恐ろしく強く、主人公の少女達は苦戦を強いられるのじゃ。すまん国民諸君。朕は武芸もからっきしなら小説のように魔法も使えないのじゃ」

「え?そこも気にかかってるんですか?」
「やっぱりこんなのが悪役じゃいけないと思うのじゃ。そこで我が国における少数民族である南のゴットボロン族に独立を促し、朕が悪役から降りてみようと思うのじゃ。行くぞ枢機卿」

「え?いや陛下およしになってくださ~い」
陛下は枢機卿の制止も聞かずにすたこらさっさと独立を促しに出かけてしまう。いったいどうなってしまうのだろうか。陛下は悪役から降りる事が出来るのだろうか?続きはまた次回に




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