オリジナルおとぎ話「帝国の悪を斬る皇帝陛下」3
- カテゴリ:自作小説
- 2013/12/08 12:49:55
相変わらず制止するマザリーニ枢機卿を引きずりながら皇帝陛下がガムラン王国の旧王族の元にやってきた。旧王族は現在ガムラン公として帝国の一員である。
「やあやあ皇帝陛下。こんな所に何しに来たのです?遊びに来たってなら大歓迎ですぜ」なんか軽いノリで若く遊び人風のガムラン公が皇帝陛下に声をかける
「ふむ。ガムラン公殿よ。お主の先祖は王国であったはずじゃのう。お主にも是非独立して王国の復活を呼びかけに来たのじゃ」皇帝陛下、今回はばっさり切りだした。
「えー、独立ですか?宰相。独立には何が必要だい?」
「まずは憲法の発布とそれに準ずる法整備かと」
「産業と通貨を制定し流通させねば」
「食を満たし兵を満たし、民はこれを信とせねば」宰相の他にも皆が一斉に国家形成に必要な懸案を言い立てた
「……しません」「は?」
「皇帝陛下。嬉しいけどその話、断らせてもらうぜ」ガムラン公が結審したように言上した「憲法制定からしてかったるいや」
「しかしそれではわしは皇帝のままではないか」
「そうだよ皇帝陛下。おれの器と皇帝陛下の器。比べるまでもなくあんたの器の大きさにこの地の領民も惚れているのさ。ああ。僕もさ」
「うむ。なんかこう巧く丸め込まれた感もあるのじゃが……」
「陛下、公には確かに国王の器は有りません。もう行きましょう」マザリーニ枢機卿が耳打ちしてその日の独立打ち合わせが終わってしまった。
「うむ。あと朕が皇帝で無くなる手段はと……」お城に戻った皇帝陛下が困り果てたように呟く。
「いえ陛下が悪なんじゃなくてぇ」枢機卿も困り果てたように促す。
「これじゃ!!どうも東の辺境で革命軍が動き始めたようじゃ。早速打ち合わせに行こう」と、帝都タイムスの記事を見た皇帝陛下が叫ぶ。
「枢機卿、やはり革命によって帝国は滅びるのじゃ。行くぞ」
やっぱり皇帝陛下が枢機卿が止めるのも聞かずに行ってしまった。どうなるのだろうこの帝国。いや皇帝陛下