先日買ったジャンクのHDDと戯れている。

　RAID5が選択できるというのに、スパンニング設定で、読めないファイルが出たから、売却ですと。

　…まぁ、単純に故障率四倍なんですけどね。

　ファイルのエントリを読もうとすると、リトライを繰り返し、ファイルのエントリが表示されない。箱のほうからは、かっちんかっちんとリズムを刻む音。

　…典型的なDDの故障ですね。

　別に中身いらないんだけど、ファームウェア側から、smartをチェックすると代替セクタ
２？寝言いってやがる。明らかに読み書きできなくて、リズム刻んで遊んでるなら、とっとと交換しやがれってもんである。

　面倒なので、PCに接続して、表面検査。これだけで、代替セクタ3000とか、故障の見本のようなすばらしい状態。
　多分予備領域が足りないんだろうが、交換されずにバッドブロックも残る。

　…仕方がないので、HDD Regeneratorを使ってみる。

　実際には、代替セクタも増えるので、「復旧の原因は不明確」なのだが、曰く、磁性反転だったら、どーにかなるよってソフト。
　ちょっと数が多そうだったので、アレコレして、とりあえずは、修正。

　毎度のことだが「一時的な回復が恒久的な修復ではない」。
　だから大丈夫だじゃなくて、取り急ぎ、今だけ使えればいいときの手段である。
　そもそも読み書きできない状態になってることが異常であって、その原因を取り除きもしないで「再発しないことを保証するものはない」ってことだ。この世に魔法などない。

　ということで、とりあえず、「それなり」の振る舞いをするようになったHDDを戻すと…あら、ファイルいっぱい。まぁ、この状態でも、3000Overのセクタと+修正した部分のデータは壊れている。
　中身はP2Pでダウンロードしたんだろうなーって感じのファイルが250GBほどと、えらく偏った趣味の画像と、これまた、違法ダウンロードなんだろうなぁってアプリケーション集数ギガ？
　足フェチのマゾですかｗ趣味合いませんね。

　とか書くと、「だから、HDDを譲渡するのは怖い」と馬鹿が言う。違うぞ。ものを考えろ。
　今回の問題は「適切に処理されていない」から、ほぼ中身が戻ってきている。
　HDDが、スパンニングだったので、別の場所にある管理領域と、データは、無事（そっちは、使い古されているけど異常の兆候がまだないドライブだった）ということだ。
　「企業レヴェルのRAID6」がとか抜かしてる高校生もいるけど、なんで、業務で重宝されてるか考えるべきなんだよね。RAIDはバックアップではないし、論理的な安全性を担保しないんだがな。
　多分RAIDが構成されていて、システムが神経質だと、多分崩壊してしまう。スパンニングだから、平気なこと。

　今回故障して読み書きできない原因は、システムが読みたがる場所に読めない場所が発生し、HDDのファームウェアがそれを交換せずに延々と読めないまま読もうと繰り返すからそれより先の処理ができないので「処理が進まず、結果読めない」というだけで、「データがない」わけでも「データ自体が全部壊れていた」わけでもないからだ。
　「データを消去していないから」こういうことになる。もっとも「復旧」という観点から言うなら、きっとこれはラッキーで、ベストケースに近い。こんなに簡単にたくさんデータがすぐに戻ってくることは「壊れてる場合」には少ない。そういう頼みごとをされたわけでもないので、今回はありがたみなんざありゃしないが。
　生きているドライブは、PCにでもつないで、ZeroFillでもすれば、「読めるデータは0だけ」になるのだから、読み取れるものなどない。壊れたドライブは「うっかり読めることがあったり、対処によって中身が復旧できることもある」ので、壊して捨てる。
　このあたりが「現実的でまともな対処」だ。壊れてたり怪しい動作の記録装置なんてゴミだから、さすがにこれは資源に戻っていただくべきだろう。

　代替したセクタ？普通には読めませんが？だって、読み書きできないから、ないことにした場所だよ？ｗ読めるかもしれないデータがある？あのな。250GBのHDDにセクタいくつあると思う？488397168ググって最初に見つけた値でこんなだよ？正常に動作するHDDで、かつ0を全てのセクタに書き込んだ場合「正常な動作なら保持されているデータは、0以外にない」のだから、その時点より前のデータは読むことができない。そんなに前の履歴が読めるなら、HDDの容量表記が無意味になるって馬鹿でも気がつけって話である。
　さぁ、ここで問題だ。488397168このセクタの中で、読めたセクタにクレジットカード番号や、住所、氏名の書いてある可能性、確率はどれくらいだ？なぁ、どれくらいだ？
　必死こいて、1セクタ読めた！…Windowsのシステムファイルでしたーｗなんてことのほうが現実的には多いわけだ。そこらのPC開けば、入ってるようなファイルごとき金と手間と金かけてほしいかねｗ

　…動くHDDを壊すっていうのは、「そのHDDの一部のデータですら不利益が発生する」場合以外には、ものを大事にしないという姿勢か、馬鹿だってことの証明でしかない。
　イレギュラーな場所や、読める可能性のあるデータは、プラッタというレベルではなくもないという話もある。が、復旧業者に頼んでいくらすると思ってるの？概ね「普通にアクセスできず、HDDがファームウェアを通して返事をしないデータ」を読み取るコストはそういうことだ。そんなに簡単にいつでもデータが戻ってくるなら、復旧業者は商売あがったりだし、その顧客たる「困ってる人」なんて出るわけがないんだ。

　あなたのPCにその価値があるというのかねｗうちにあるものには少なくともない。
　大量の領域の一滴ですら、数十万の価値があると言い張れるのなら、妥当なコストなんだろうが、自意識過剰にも程がある。

　今回の事実が証明するのは「何でも直る魔法がある」ではない。「一部の破損は全ての破損ではない」ことと「譲渡したくないものがあるのなら書き込める場所にはあらかじめ値を書き込むこと」が必要であるということで、怖いから、壊せ、譲るな、売るな。ではない。
　趣味趣向が相手に見られて恥ずかしくなかったり、見せたいんだったら、別に残してあっても、かまわないんだろうしねｗ

　全てが安全だということでも、何でも怖がれということでもはない。
　適切に用心し、対処すべき。そういう話だ。

　それから、もうひとつこの個体から持ち主についてわかったことがある。
　このドライブ、交換が可能にもかかわらず、それをしていないのは、データが壊れたから…だけでは多分ない。
　分解というほどのこともない作業が必要なのだが、ケーブルの一部が外装に噛んでいて動かなくなっていた。やろうと思わなければ、ここは触られることもなかっただろう。無造作に作業しなければ、この状態にもならない。
　壊れて、交換しようと一度は思ったが、失敗した。うん。底部の螺子も本来必要ないのに緩んでたしねｗ

　ものは思われているよりも多くのものを持ち主から引継ぎ、刻まれ、存在している。
　何かを語るのは、言葉や音楽や絵画だけではない。
　量産品ですら、時に思い出を語る。