ちょっと色気がある話だ。

高校時分、
進学校でありながら、風貌が、かなり目立ちすぎていた、私。
キヨシローが大好きで、ストーンズを愛していたといえば、
なんとな～く想像つかないかい？

そんでもって、しょっちゅう上級生に追っかけまわされるわけだ。

「あんた、ちょっと生意気やなかと？」

なんて言われちゃって、囲まれる。
持ってたオガクズ（友達がオガクズ占いが当たる！とかいって私に持たせてたのだ）
を顔にブチマケテヤッタリ、
食べてるウドン（学食で囲まれたときね）をぶち撒いたり、
図書館だったら、本棚をひっくり返したりして、
なんとか逃げてた。

学校全体高校デビューみたいなもんだから、シャバいんだけどね。

「キナコがやりました」なんて、見ていたモンが、
大概先生に聞かれて言うもんだから、後から、せざる得ないんだけどね、掃除。

あるとき、とうとうひっつかまる。
たった一人で、手ぶらだった。

まずいなぁ～、やられるな。
一人対五人は、私でもちょいっとね、やばいんじゃない？

案の定、ボコボコよ。
後デビューのくせに、不良の真似事すんなよっ！
心の中では、そう叫んだけど、声になんないぐらいボコボコだ。

誰か来ないかなぁ、痛いなぁ、さすがに。。。
なんてボンヤリおもっていると、
「なにやっとっとや？ミサト」

私をボコボコにしてる女子の名前を呼ぶ声がした。

「ああ、トモ君」
ボコボコの手を、みんなが止めた。

「なんだ、おまえかぁ。キナコじゃん？」
ちょっと目立ってる上級生の男子だった。
「なんで、私の名前知ってんの？」

トモ君と呼ばれたその人は、ふふふっと笑って
「あらら、きちゃないお顔」
私の顔を見て、そう言うと、
抱き上げて「持ってくから」と、囲んでた女子たちに言った。

お姫様抱っこっていうの？
あれは、後にも先にもこの時だけだ、誰かにしてもらったのはね。

私を持っていきながら、ちょっと立ち止まって振り返ると、
「今日からこの子、俺んだから、手出しは許さんよ」

さすがに、ゾクゾクしたねぇ。
王子かと思ったよ。
王子だ、王子、王子が来たよっ！

　　　　　　続くとおもう