Nicotto Town



今週のお題


夏にぴったりな小説とな。ツルゲーネフの『はつ恋』は夏の初恋がテーマです。

19世紀ロシア。16才の主人公は、両親と共に別荘へ。美しい年上の女性に出会い、惹かれるが…というストーリー。晩年に発表された半自伝的な作品です。

主人公一家は貴族、相手の女性は没落貴族の娘。19世紀から20世紀初頭のロシア文学には、貴族がよく出てきますね。

ロシアの貴族制度は独特です。1722年、ピョートル大帝は官等表を導入。武官・文官とも、一定以上の等級は家柄に関係なく「ドヴォリャーネ」という貴族になりました。

(武官は14等宮以上、文官は8等宮以上で世襲貴族)

その前の時代の貴族は領地が基盤の「ボヤーレ」です、多くはドヴォリャーネに移行したと思われます。

キエフ・ルーシの大公家リューリク家は分家がすごく多くて、18世紀以降も政治家や軍人を輩出してます。ドヴォリャーネになるには教育や鍛錬が必要なので、ボヤーレやクニャージ(リューリク分家の大半はこっち)の横滑り多数かなと。

その一方で、実力で貴族になる人たちも現れる。黒人奴隷出身のアブラム・ガンニバル(プーシキンの曾祖父)は有名ですね。

初期のドヴォリャーネは、ほぼ終身で働く義務がありました。でも、50年足らずで兵役自由に。

領地はあるから、働かなくても暮らせる。ツルゲーネフの父親は、こういう地主貴族でした。イケメンだったそうです。家が傾き、資産家の娘と結婚。

貴族の体面を保つには、お金がかかります。それに、不作には抗えません。困窮して、領地を手放すケースもありました。

ロシア文学に貴族や没落貴族がよく登場する背景には、独自の貴族制度があります。


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2014/07/07 02:23
>たくみんさん
いえ、キリル文字が読めないんです。
固有名詞が読めるくらいにはなりたいけど、なかなか…。
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2014/07/06 23:02
( ̄□ ̄;)おおっ!! 博学でいらっしゃるのですね。 すばらしい。



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