Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


夏の思い出


蒼雪が運転免許を取ったのは、夏でした。

蒼雪は出来が悪く、学科以外はほとんど赤点で、仮免許を取るのもやっとでした。
就職の時に有利だからと親などに薦められて、ATではなくMTで受講したのが悪かった。

ATの人はすいすい先へ進むのに、教習所車のクラッチの硬さに泣かされるわ、車幅感覚が劣っていたために、縦列駐車で悪戦苦闘するわ。
しかも超の付くあがり症でミスも多く、仮免試験ではどんどん減点されて2回も落ちました。

はああ~、本当につらかった。今でも思い出すとため息が出ます。

それでもなんとか実技試験にこぎつけ、これもギリギリでクリアし、最後は学科試験を残すのみとなりました。

しかしここで問題が。
当時、私の街では学科試験会場が街はずれの小さな山奥にあり、行くのがとても不便な環境にありました。
現在では警察署内で受験できるようになったのですが、この時は廃校になった小学校だったか、高専だったか…そんな建物で実施していたのです。

本来なら、教習所が出す送迎バスで向かう手はずだったのですが、以前、送迎バスが私の待つ場所へ来なかったという恐るべき過去があり、それ以来送迎バスを利用していませんでした。
裏切りがトラウマになってしまったのです。
映画「ホビット」で、ドワーフの王子だったトーリン・オーケンシールドが、ドラゴンに襲われて一族全滅の危機に陥った時、同盟者の闇の森のエルフ王スランドゥイルが何もしないで帰って行ったときの、トーリンの絶望感によく似ています。

ということがあり、私はずっと自転車で遠い家と教習所を行き来していて、ひよわながらも体力はついていました。
試験当日、よく晴れた七夕の日。私は朝早く、試験会場めざして自転車をこぎだしました。

場所は家族に聞いていたので、頭の中の地図を頼りに、ひたすら何キロも走りました。
市街地を抜け、やがて山すそにむらがる住宅地へ。

ここで、急に道が分からなくなりました。
目印となる神社が、どうしても見つかりません。さあ大変だ。
残り時間はあと30分。
時計を確認しながら、焦りを落ち着かせつつ、あちこち走り回りました。
どこをどうやって走ったのか覚えていません。
汗だくになってたどりついた目の前に、赤い鳥居が見えたときの感動は、今でも苦笑いとともにこみあげてきます。

折しも7月7日。
ラッキー7とはよくいいますが、私にも幸運の数字の加護が宿ったのかもしれません。
時間ぎりぎりに会場に着き、試験を受けることができました。
問題は簡単だったので、一発合格でした。

おとなしく教習所のバスで行けば、こんな冒険にはならなかったのですが。
妹は出勤途中に私の自転車走行を見かけて呆れたと言い、話の種に上るたびにバカと呼ばわります(笑)

たしかにバカだったんですが…でも面白かったなあ。
すっかり体力が落ちて、自転車をこぐと足がだるくなるので、もうあんなことはできません。
若気の至りというやつでした。

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2014/07/13 00:51
REIさん、コメント感謝です。

子どもにとって自転車は、唯一の自在な乗り物ですよね。一応、公道を走るにはマナーがあり、免許こそ必要ないものの、れっきとした「二輪車」ですから。
それを補助輪なしで乗り回せたとき、ちょっと大人に近づいたような気がしますねw

一度自転車を覚えると、遠くに行きたくなるものなんですね。REIさんもでしたか^^
2つも隣町までチャリをこいで行ったとはすごいですね。でも確かに、子どもの体力って中年の大人よりよっぽどありますよ。子どもだから体力がない、なんてうそです(笑)
自転車こぐのってとても身体を使うし、いい運動になりますよね。自転車好きには太った人はいないですね。

道路ひとつ越えただけで、未知の世界に感じたものです。
私の保護者なし初遠出は、幼稚園の時。
自分の住んでいる団地から大きな道路一本隔てた高台に行ったことでした。今でもその高みから自分ちのある団地を見下ろした光景が忘れられません。
その高台に今現在住んでいるとは、あの時の私が知る由もなくw
大人になった今では、とても往復したくない距離です。結構近いんですけどね。本当に体力や筋力も落ちました。

試験に受かれたことは、本当に神のご加護でしたかねww
まさに危機一髪でしたw
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2014/07/12 17:29
子供の頃って、自転車があればどこまででも行ける気がしましたね。
うちは母が運転免許を持ったのが遅かったので、私が小学校高学年
くらいの時には、母と自転車で祖母の家に行ったりもしましたよ。
自宅から2つか隣の市でしたから、1時間半くらいかかったような・・・
今考えると、すごいことしてたなぁって思いますw
夏休みに電車の定期券が切れた時期だけ、隣の市の高校まで
自転車で行ったりもしたなぁ~
今でも、車の運転が不安な時は自転車で1時間以内の場所なら
頑張って行ったりしますけど(^_^;)
大人になると楽を覚えるし、体力も落ちるからなかなかキツイですけどね~w

それにしても試験に間に合ってよかったですよね!
頑張ってる若者は、ちゃんと神様が見てたってことですね(*^_^*)
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2014/07/12 11:00
そらさん、コメント感謝です。

夏と言えば田舎に帰省…田舎の祖父母の家があるって、すてきなことですね。
私も子どものころは毎年行ってました。その時にかぐ濃い緑や田んぼのにおいが大好きでした。
その祖母も、いまやあやうい状況で。
…人はいつか死ぬと思ったら、なんて限られた時間しか一緒にいられないんだろうと思います。
私の人生ももう半ば。残り時間を数えれば数えるほど、少しでも悔いの残らないよう生きたいです。
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2014/07/12 10:55
さえらさん、コメント感謝です。

ですね、何が起こるかわからない。アクシデントも解決してみれば、良い思い出です。

さえらさんも自転車の冒険、お好きだったんですね。
子どもにとって自転車は、世界の広がりをくれる乗り物ですよね。歩くより速いし、遠くまで行ける。
あちこちを巡っていろんなことを発見して、成長していくさえらさんだったんですね。

夕方になるとただよってくるよその家の夕飯や、お風呂のにおい…私も好きです。
ああ、この家はカレーか、こっちは魚焼いてるなって探るのも面白かった。
遠くに行きすぎて心細いのに、鼻歌でごまかしたって、さえらさんらしいというか(笑)
でもここで帰ってこられれば、家族にも一目置いてもらえるという気持ちもあったかな?w

なんにせよ、無事で帰れて良かったです。町はずれまで来て、今引き返さないとという気持ちが伝わってきました。
大人と違って、子どもは焦るんですよね。帰らないと大変だと感じて、不安になる。
夜は危険だと教わっているし、なにより怖い。家に帰れないことは子どもにとって脅威ですから。
あのハラハラした気持ち、私も忘れません。子どもにしか味わえない感情かもですね。

心配して怒ったお母様、おおらかに許してくれたお父様、どちらも良いご両親ですね^^
現代ではそんなことできませんね。人的危険が増えてしまいました。困ったものです。


私は子どもがいないので自分のことを思い出そうとしますが…、子どもっていつから、ひとりで家と外を行き来できるようになるんでしょうね。
小さい子がひとりで家に帰る姿を見ていると、どうやって道を覚えたんだろうと考えてしまいます。
なんだか不思議な光景に思えて。
子どもが家に帰ってくるのは、家族という見えない絆を伝って戻ってくるのかな、なんてね。
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2014/07/11 23:22
夏の思い出は、こどものころに毎年行った、田舎のおばあちゃんちのことでいっぱいです。
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2014/07/11 12:44
なにはともあれ、無事に間に合って良かったですね!
試験会場を目指して、ぐるぐると自転車で走り回る蒼雪さんを想像したら、読みながら応援せずにはいられませんでした。
赤い鳥居が見えたときの感動と安堵感、伝わってきましたよ~^^

私は、目的地を決めずに自転車に乗って出かけるのが好きでした。
小学生くらいの頃だったかなぁ~。
天気が良くて、ふらりと外に出たくなると、自転車に乗っていましたww
ふと角を曲がってみると、見たこともないような景色に出くわしたり、
思わぬところで道と道が繋がっていて感動したり、
新たな抜け道を発見して嬉しくなったり。
方向感覚だけは自信があったので、迷子になって帰れなくなる~なんて事はありませんでした。
楽しかったなぁ~~と懐かしく思い出します。

ただ、一度だけ、遠くまで行き過ぎてしまって・・・・
見知らぬ町で、外灯が点り始めて、夕方5時を知らせるチャイムの音が、自分の町で聞こえるメロディと違ったとき。
なんともいえない寂しい気持ちと少しの不安、でも、子ども一人でこんなところまで来れたんだっていう胸を張りたくなるような気持ちと、いろんな気持ちが混ざり合って。
よその家の夕飯の匂いに、たまらなく家に帰りたくなって、うわーーって叫びたいのを我慢して、仕方がないから鼻歌を歌って気分を盛り上げて帰っていったという思い出があります。
無事に帰宅したときには、とっぷり日も暮れていて、妹は先にお風呂に入っていて、心配をかけた母にはこっぴどく叱られたけど、ビールを飲みながら上機嫌だった父は
「子どもなんだ、冒険くらいするもんだろう~」
って笑っていて。
いい時代だったなーーー、なんて思う今日この頃です。
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2014/07/11 10:40
ふうこさん、コメント感謝です。

自転車で遠くまで行くの、楽しいですよね。今ではすっかりやらなくなりましたが…。
学生時代はこぎまくってました。あちこち探検するのが面白かったです。
携帯も当時持ってなかったので、自分の方向感覚が頼りでした。でも、試験の帰り道も迷ったんです。方向音痴気味だということが良くわかりました…。
とはいえ、ややアナログ時代の、いい思い出ですね^^
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2014/07/11 10:35
ハルさん、コメント感謝です。

あのころは体力もあったのでなんとかなりました。
自転車こいであちこち行くのが好きだったので、基礎体力はできてたんですね。
今はとても無理です。年は取りたくない^^;

ですよ、教習所のバスには良い思い出がありません…。
授業に遅れそうになったあの時の絶望感を思い知れ!運転手!
妹も本当に呆れてました。そりゃそうですよね、2つ以上隣町までチャリですからね。しかも試験当日に…。
試験に遅れたらすべてが水の泡でしたから。間に合って本当に良かった。

あはは、私が前にコメントしたアイスの話、覚えてらしたんですねw
7は私も好きな数字になってます。しかし私の街はラッキー7が好きらしく、車のナンバーや電話番号なんかであちこち見かけますね。
7以外では1、5や4のぞろ目も好きです。
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2014/07/10 19:47
頭の中に地図を入れてひたすら走るって、なんか懐かしいなぁ。
(今は、車のナビがあったり、歩きや自転車でも、
スマホの地図があるから)
若くてガムシャラな感じが伝わってきます^^
私も、昔は自転車で遠くまでいったなぁ。
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2014/07/10 16:17
わあ!
すごい!∑(゚Д゚)
自転車で大変だったでしょう〜(>_<)
時間に余裕があって、目的が試験でなければもっと気持ちも楽だったでしょうが…
でも、切羽詰まっていたから記憶にも鮮明に残ってるのかも…
妹さんのお兄ちゃんをおもしろがる感じがかわいいですな(笑)
私もよく、ハルちゃんあほやあ!と言われます(蒼雪さんはよく言われるとは言ってない笑)

しかし、教習所のバスが来ない絶望感たるや凄まじいですなー^_^;
ちゃんと予定通りに来ないとダメです☆
おしりペンペンです (笑)

余談ですが、私は蒼雪さんの自転車にはアイスてんこ盛りのイメージが(笑)
7という数字は大切にしてあげてくだされ♬



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