Nicotto Town


こはるびより ⁰㉦⁰๑ 


そうだ村上春樹について語ろう

武田鉄也のトーク番組の話。



武田さんはとてもいい詩を書く人だと思う

彼の書いた歌詞に何度も心が震えた


今朝は武田さんが村上春樹について語っていた。

そう、あたしが最も敬愛する小説家だ。

つい、ラジオのボリュームを上げて聞き入る。


残念ながら、武田さんは村上春樹の小説を読んで

その心の琴線を震わせることはできなかったらしい。

あんな情感的な詩を書ける武田さんが、どうして

村上の世界に入って行けなかったんだろう、と

あたしはただ単純に疑問に感じた。

だから読書というものは不思議だ。自分がいいと

思って誰かにすすめても、その人が同じように感じる

ことは無いと思っていい。

だけど、武田さんがどうして村上小説を読む気になったか

といえば、武田さんが尊敬する人が村上春樹のことを

「あんなに素晴らしい小説家はいない」と大絶賛していた

からだと言う。


自分が尊敬している人があんなに尊敬している人だから

気になるのは当然。あたしだってきっと同じことをする。

実際、村上春樹が尊敬しているという海外の作家の

作品をあたしもたくさん読んできた。その殆ど全てが

感動をもたらすわけではなく(むしろ、肩透かしということも多い)

だけど、彼が感じたものを、同じように感じたかった。

聞きなれないビートルズを聞いてみたり、古いジャズを

聞いてみたりもした。

これは恋愛にも似ている。好きな人が好きなものを

自分も同じように好きになりたいと思うのと同じ。



あたしは村上春樹の作品を読むと、いつも自分がからっぽに

なったような気分になる。それは、突然足元が抜け落ちるような

絶望的な喪失感を伴なう。それは心震わす感動ではない。

力をくれたり、何かを与えたりする前向きな力でもない。

与えるというよりむしろ、引き剥がされる感覚に近い。

何度読んでもそれは同じ。同じ小説を何度も何度も

読むのはそのせいだ。それが何なのかいまだに理解できない。

ただ、頭でそれを理解したいとは思わない。あたしはその

得体の知れない喪失感を感じたくて彼の小説を読むのだ。

小説を読んで、何かを理解したり、自分の内面に気付けたり

するわけではない。むしろ全く逆の現象が起こる。



  あたしは、自分を見失うために

  彼の小説を読んでいるような気がする。




誰かが読書についてこういっていた。

「読書とは他人の頭に自分の身体を接続する作業だ。」

武田鉄也も夢中になって読んでいた歴史の本の途中から

”文字を読んだという感覚がない”と語った。

あたしもそれはすごくわかる。読書中は文字を目で追っている

はずなのに、その一連の作業がすっぽりと記憶から抜け落ちている。

きっとそれが”他人の頭に自分の身体を接続する”という

ことなのだろう。その時頭で考えているわけではなく、

確かに細胞という身体全体で物語を体験している。



愛している人が言った。

「ライブでこの曲を聞いたとき、鳥肌が立つほど感動した」


残念ながら、一緒に同じ曲を聴いていても、

あたしは彼と同じように感じることは出来ない。

彼と同じ目で、同じ身体でそれを感じることが

出来ないのはすごく寂しいと思う。ぅん。。寂しい。


だけど、その心の震えは理解することはできる。

人が個体である以上、完全に同化するというのは不可能だ。

だからこそ、もっと知りたいと思うし、もっと愛したいと思う。


村上春樹は自身の小説についてこう語る。

 物語の細部のひとつひとつに意味をもたせる必要はないと思う。

 だけど、そのひとつひとつがふいに共鳴して引き合う。

 それを感じることができればいい。



彼の書く小説には確かに引力がある。

万人を引き寄せる引力ではないかもしれないが、

あたしは強く引き寄せられたうちのひとりだと思う。

それがとても幸せだと思う。



心で感じる引力は時に不確かなぶん、

物質的な引力よりずっと強くもなれる




心と心が引き合う力を

ばかにしてはいけない

それは時間や空間や物質を一気に飛び越えて行く




目を閉じれば

あの時の風の音が今も聞こえるように




#日記広場:小説/詩

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2008/10/07 21:04
イリさん、コメントありがとうございました。
居心地のよさ・・・うん。わかります。独自の言い回しとか、
セリフ使いとか、あたしも村上さんの書く世界に浸って
いるのは気持ちいいんですよね^^
読み終えた後の喪失感とはまた違うんですよね。。
あたしも言葉ではうまく説明できないです><
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2008/10/07 20:56
こんばんは♪
ちょうどいま、春樹さんの新訳でロンググッバイ(グッドバイだったかな?)を読んでます。
一冊の本を読んで感じることは人それぞれなんですね。
私の場合は言葉に揺蕩う居心地の良さのようなものを感じます。
なかなかこう、言葉で表現するとなると難しいものですが・・・^^;
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2008/10/07 02:04
ヘッジホッグさん、コメントありがとうございました。
あたしはまだ抜け出せていませんが、でも、結局は
そこにずっといたいって気持ちが強いのかな?
出口は探そうと思えばあるのかもしれないけれどw
でも村上作品は最近のものより、やや昔のほうが
好きです^^
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2008/10/07 01:38
村上春樹に、ずっと昔、とてもひっかかったことがあって
彼の世界観から抜け出せなかった時代がありました。
それでも、もちろん、現実はつづくんだけども。

ずっと最近になって、春樹さんが推薦していたペットサウンズやリチャード・ブローディガン
と出会ったとき、
ひとまず僕は春樹さんからは、卒業したのかな、と思える気持ちになったことがあって・・・
どこの世界にも入り口があって、出口があるような・・・。

こはる。さんのブログを見てそんなのを思い出した。
なんとなく気になってコメントしました。気にしないでください。
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2008/10/06 23:10
うぉww コメントありがとww
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2008/10/06 22:02
感動した!!




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