おかねをひろう
- カテゴリ:日記
- 2015/02/11 01:34:02
久しぶりにおかねをひろった。
金額は10円。
犬の散歩中に、道端で見つけた。
土にめりこんでいた丸い形をしたものを見て、「あ、これはおかねじゃないか」と思う。
足を止め、少しかがんで確かめる。
10の数字はないか、円を縁取る枠や草飾りはないか。
埋まっていたそれは表側だった。
黒っぽく変色した銅色に刻まれた、平等院鳳凰堂。
間違いない。10円玉だ。
たまに、ゲーセンかパチスロのコインを100円と見間違うこともあるが、今回は正真正銘である。
拾う時、おどおどしてはいけない。
あたかもそれが当然のように手を伸ばし、犬のふんを回収したビニル袋を入れる、散歩バッグにひょいと放り込む。
任務完了。
他人の不幸の拾いものだが、こちらは得したからいいのだ…なんて考えていたら、ふと、こんなセリフが頭に浮かんだ。
おかね、おかね、おかねがそんなにいいの?
与ひょう、あんたは変わってしまった。
…微妙に違うのだが、こんな感じのセリフ。
木下順二作の「夕鶴」の一幕である。
むかし国語か何かの教科書で読んで以来、ずっと頭のすみっこに染みついている。
助けられた鶴の「つう」が、ひらがなで「おかね」と言っているのが哀しかった。
でも拾うとうれしいんだよね、おかねって。
人間だもの。