語り継ぐことの大切さ
- カテゴリ:ニュース
- 2015/08/06 09:47:34
まるでタイミングを計ったかのように、今年になって、満州国の知識を得ることになろうとは。
きっかけは、親父がなかにし礼の「赤い月」を古本で買ってきて、「この本はすごい!」と、珍しく興奮して話してきたことです。
なかにし礼は実際に満州から帰国した人です。幼いころ満州で生まれ育ち、やがて時勢が一変すると、死ぬ思いをして家族とともに脱出しました。
赤い月は、そのときの体験と家族をモデルに書いているので、満州での日本人の生活や現地の住民の様子が、とても生々しく描かれています。
私の母方の祖父母は、満州にいました。
けれど私は、そのことを深く考えたことはなく、幼いころ祖父母の若いころの写真を見せてもらった時、「満州にいたんだ」という話をわずかに聞かせてもらっただけでした。
美男美女だった祖父母の写真、祖母が「中国では数をこう数えるんだ…イー、アル、サン、スゥ」と、中国語の発音で数を数えたこと、それがうっすら記憶に残っています。
今思えば、悔やまれます。当時のことを、もっと聞いていればよかったと。
父も同じようなことを話していました。
関東軍が民間人を置き去りにして満州から真っ先に逃げて、そのあと残された住民や開拓組は地獄を味わった…と、小説のみならず、たくさんの証言がそれを伝えています。
祖父母はどうやってそこから日本へ帰ってこられたのか。
ひどい目に遭わされなかっただろうか。
祖父母は大正生まれですから、当時は結構な大人だったはずです。
ソ連軍の中国進駐により、避難してきた日本人収容所での悪鬼にまさる行いの被害を被らなかったかどうか。
でも若かった私は、その事実を聴くのが恐ろしかったのだろうと思います。
祖母はちょっと芝居かかったところがあって、孫の私の姿を見ては「ああ、良かったなぁ、幸せだなあ」と大げさに泣く様子を見せたこともあり、正直うざいなと思ったりもしました。
けれど今思えば、本当に祖母はそう感じていたのかもしれません。
生きて子孫に恵まれ、大きな心配もなく暮らせる大切さをかみしめていたのか…。
本当に起きた、現実はこんなものじゃない。
それを知る手がかりは、誰かが伝えることしかありません。
八甲田山雪中行軍の大遭難事故の資料があります。
父は自衛官だったので、若いころそれを見たのですが、「ぞっとした」と言いました。
「笑ってるんだよな…腕も足もない男達が、みんな、こっち見て笑ってる写真。ぞっとした」
遭難による凍傷で、両手両足失くした兵士達の写真だったそうです。
私が、「どうして笑っていられるんだろう。両手両足失くしているのに」とつぶやいたら、
「そりゃ、生きて帰ってこられたからさ」と、当然のように答えました。
そんな状態でも、生きていられればうれしいものなのか。
腑に落ちた半面、見たことはないその写真が頭に浮かんできて、彼らの浮かべる笑顔に、私もぞっとしました。
父も資料で知る限りのことしか知りませんでしたが、それでも、映画「八甲田山」は全然ぬるい方だ、と言いました。
映画だから正気で見ていられるが、現実だともっと悲惨だったろう、あんなもんじゃないと。
それだけ当時を伝える資料が生々しかったということです。
最近作られた戦争映画は、戦争を知らない私が見てもぬるいと感じます。
本当の残酷さには目をつぶって、苦境に生きる家族愛とかをテーマにする。
これではいけないな、と思います。
私がそうだったように、そして今もそうであるように、人は現実から目をそむけ、忘れながら生きています。
そうじゃないと毎日暮らしていけないから。
悲惨なニュースや歴史は、知りたくない。過去の人々が背負った痛みを、自分も背負いたくない。
できることなら、ずっと目をそむけたままでいたいのです。
けれど、1年に1回でも、事実と現実について真剣に向き合うことが大切なのかもしれません。
8月は、そういう日があるのだから。
そうなんですよ、経験者が語ってくれなければ、真実は闇の彼方です。
誰かが一生懸命インタビューして、それをまとめた物が本になっていますが、それだけが真実、事実ではないですから。隠された現実が、まだまだあると思います。
それに、実際に人が語る重みも、聞き手に重しを与えてきますよね。
本を読んだりすることより、リアルに伝わってくる。
殺人の現場はいざしらず、子どもを殺し、女性を暴行する話なんて、同じ人間として涙が出てきます。怒りの。
本当に戦争は悲惨です。
映画がぬるくなるのは、仕方ないですよね。本当のことを本当のように描いてしまうと、たぶんみんな頭がおかしくなっちゃうんじゃないかな^^;
黒澤明も反戦争映画をいくつか作っています。戦う場面ではなく、戦争によってむしばまれる銃後の人達の心に焦点を当てていて、いかに戦争が狂気かってことを訴えるものでした。
戦争経験者は、ほとんどの人が同じように語りますね。正気の沙汰じゃない、と。まさに人を狂わせる。
集団自衛権は、強いアメリカと手を組んで、最近のさばる中国を一緒にやっつけようぜっていう法案。
もし相手が攻撃してきても、こっちにはアメリカと手を組んでいるもんね…ということです。
でもこちらが武装を強くしたら、向こうもそれに対抗しようと武装を増やすのは当然のこと。
抑止力と言いながら、互いに戦火の火ぶたを切るタイミングを計っている、そんな状況です。
「美しい国を作るための美しい言葉=抑止力」に、一部踊らされている人もいるけれど、国会前のデモなどが訴えるように、戦争したくないという気持ちが、多くの人にあるんだということに、少しほっとしています。
たとえ彼らの中に、原爆の日や終戦記念日を知らない人がいたとしてもね。^^
そうですね、アビゲイルさんのおっしゃる通りです。
事実に基づいて全部描いてしまったら、みんな見に来なくなりますし。
イエスの迫害と処刑を描いた「パッション」みたいに、失神者続出の作品も世にあっていいと思うんですが、映画の制作会社が嫌がるでしょうね…。まずもうからないだろうし、今の政権だと、放映禁止命令が出そうです^^;
(ちなみにビビりの私は、パッションを観ていません。まだ勇気が出ません)
でも入門編として、見やすい戦争映画はありだという意見に同感です。
苦難に耐える家族愛を見て、「こんなに苦しい時代でも、支え合えばなんとか生きていけるんだ」という希望も持てますし。(現実に起きたら、そう簡単じゃないですけど…)
それがきっかけで、当時起きた戦争について知る動機にもなりますよね。
いきなり真実を突き付けても、みんな目を背けがちですが、徐々に自分で興味を持って、調べていければいいですよね。
昭和天皇の玉音放送の全文が、最近公開されましたね。
新聞で現代語訳を読んだのですが、言葉の端々に天皇の苦悩が伝わってきました。
特に、戦争を起こしたきっかけについて書かれたくだりでは、「あくまで日本の平和のために起こした戦争で、しかし力及ばず周りに迷惑を掛けた」というような内容になっていて、「ああ、今の政権とおんなじだ」と愕然としました。
昭和天皇が率先して起こした戦争ではないにもかかわらず、ご自分が悪いように書かれている。
そう書かされたんでしょうが、あえて自分一人が罪をかぶったのだろう、とも思われます。
無理にねじ曲げられて書いた文章に感じました。
そしてその後、戦争は二度と起こしてはいけない、子孫にもそれを語り伝えるべきだと長い文章で書かれていました。
今の天皇陛下は、その言葉を心に刻んで、何度も非戦を訴えておられます。
いろんな事実を知っていくと、隣国の訴えることも間違ってないなって気付くんですよ。
だって日本はほとんど償いをしていないから。
靖国問題もそうです。
ヘイトスピーチが世論を二分化するほどですが、ただ憎しみをあおるだけでなく、民俗文化含めてお互いに理解する努力をし、歩み寄ることが大切なんだと思います。
祖父母の心、孫知らずといえますか…。おっしゃる通り、祖父母はそう思っていたんだろうと、今なら思えます。
生きている間に、もっと話を聞けばよかった。
後悔と、命をこちらにつないでくれた努力、感謝の思いで遺影に手を合わせる日々です。
そんな気持ちに応えてか、これ読め、とばかりに、あれこれ満州の情報が目に飛び込んでくるんですけどね^^;
最近の戦争映画は、なんかきれいにまとまっちゃってるんですよね。
少し前、「少年A」がテレビでも放送されましたが、あれはガッカリしました。ラストは「三丁目の夕日」みたいな感じになっちゃってたし。
でも、残酷なことを知らない無垢な子ども達(大人も)には、戦争への知識導入編として良い作品の部類なのかな、とも思います。
真実の通りに絵で見てしまうと、トラウマになっちゃいますもんね。
小説も、文章というフィルターがあるから読めるけど、実際に目の当たりにすると…心が壊れてしまうかも。
それだけに、心身傷つきながらも今まで生きてきた(今もご存命の)ご老人方に頭が下がる思いです。
家族愛も、「家族を守るために」戦うのか、非戦を訴えるのかで大きく違ってきますよね。
戦争時代を生きた多くの人の証言では、「戦争は悲惨だ、二度としたくない」と言う人が多いですが、「日本は間違ってなかった、戦争の時は喜んで兵役に志願した」人も少なからずいるんですね。
どうしても戦争したがる人はいなくなりませんが、反戦、非戦の訴えの方が常に勝る、そんな世の中であってほしいですね。
戦争は、体験した人が語り継いでいかないと、知らないままだよな…と言っていました。
映画なのどの作品は、やはりぬるいのですね。
きっかけとして、そこから向き合うべきですね。
テレビで、街の若者に「8月15日は何の日でしょう?」と聞くと、
「鰻を食べる日」「お化け屋敷が始まった日」などの答えが返ってきて、
唖然としましたよ…。
映画はあくまで「娯楽」なので テーマが戦争であろうと万人に観てもらえる配慮(フィルター)がされて
しまいますよね・・・。
確かに最近の戦争映画は家族との絆・愛をベースにしている傾向にありますよね。
私はこのような映画をきっかけに そこからもっと戦争とはどういうものなのか?という
探求心につながればいいんじゃないかな、と思っています。
私も映画を観てから 興味を抱き自分で調べたりしました。資料館や記念館にも足を運びました。
なぜ大東亜戦争から太平洋戦争と名称が変わったのか
昭和天皇陛下の玉音放送の全文の意味
特攻作戦を下した時点で もう日本は敗戦していた・・・
私の親族は連合国側の人間です。
戦争経験者のある親族は早々に降伏しなかった日本軍が悪い 自業自得だといいます
ある親族は東京裁判はおかしいと連合国を非難しています
そして あんな戦争はもうこりごりだ・・・と。 8月は本当に大事な月ですね。
蒼雪さんのおばあ様、孫と過ごせるその幸せを本当に
かみしめていたのでしょうね。
私たちが知る由もない、大変な苦労を乗り越えてこられたのだと
思います。
確かに最近の戦争映画は、昔のモノよりは比較的見やすくはなってますね^^;
でも、家族愛って、それはそれで人を戦争に向けない大きな原動力にも
なると思うので、手法としては有りなのかも。
私も弱虫だから残酷なものからは目をそらしたいので、ぬるいかもしれない
ものしか見れないけどw
それでも何か感じる人はたくさんいるはず^^
ただ「家族を守るために、自分は戦争に行く!」というような考えを若者に
もたせないようにして欲しいですね。