Nicotto Town



アスパシオンの弟子60 日記(前編)

今回は幕間、とある少年視点のお話です。

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 7124ねん 芽ぶく月 7日

 きょう、社会見学で、王国でいちばん大きい工場を見学しました。

 工場で働くゆうき人形をつくっているところです。ぎしの人が説明してくれました。

 びんの中で、赤ちゃんみたいな生きものがばいようされていました。

 びんの中にいれると、三ヶ月でおとなになるそうです。

 ゆうき人形は、大陸中にゆ出されて、工場ではたらく作ぎょう員になるそうです。

 これは、大むかしの王国からつたわっているぎじゅつなんだそうです。

 ぼくは、すごいなぁと思いました。ぼくも、ぎしになっていろんなものを作りたいと思いました。

 初とう学校をそつぎょうしたら、ぎしになる学校に入りたいです。 


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 7124ねん ほうじょうの月 15

 三日前に、ぼくはおししょうさまにでし入りしました。

 ねんがんの、ぎしになるだい一歩です。

 初とう学校をそつぎょうして、夏休みじゅう、学校をさがしました。

 ほんとうは、絵本にでてくるふんえんの寺院にでし入りしたかったです。

 でもそこは、えらい王さまたちのめいれいで閉まってしまったので、今はもうないそうです。

 しゅうしょくセンターのおねえさんが、おししょうさまをしょうかいしてくれました。

 おししょうさまの名まえは、アイダさまです。

 よぼよぼのおじいちゃんで、ベッドにねたきりです。

 ぼくがすみこみで、ごはんを作ってあげたり、体をふいてあげたりしています。

 つい最近まで、天にうかぶ島ではたらいていたそうです。すごいなぁ。

 いっしょけんめいがんばって、ぼくもりっぱなぎしになりたいです。

 でも、このおうちには、炉がないような気がするんだけど……

 どこにあるんだろう?


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 7125ねん しもの月 3

 かなしいことが、おこりました。

 アイダさまが、なくなりました。おししょうさまはメニスなので、とても長生きでした。

 六百四十三さいだったそうです。

 おいしゃさんは「老すい」がげんいんだといいました。

 純血のメニスにしては短いと、おそう式にきていたメニスの親戚の人たちがいっていました。 

 ぼくは、おししょうさまのゆいごんで、おししょうさまのご友人にでし入りすることになりました。

 ピピさまという方です。

 その人はおそう式に来ていて、おししょうさまにすがって、ものすごく泣いていました。

 大しん友だったそうです。

 それからぼくらは、なんと鉄の鳥にのって、天にうかぶ島にいきました。

 島のまわりに、イルカがたくさん泳いでいるのでびっくりしました。

 新しいおししょうさまは、俺もそろそろ、島から降りないとなぁとおっしゃいました。

 首輪はとれたけど、いごこちよくなっちゃってダラダラしちゃったとか、ぶつぶつひとりごとを

いっていました。

 島には、ものすごいせつびがありました。ちゃんとした炉や、道具がぜんぶそろっていました。

 ゆめみたいです。

 アイダおししょうさま、みじかい間でしたが、どうもありがとうございました。

 やすらかに、おねむりください。

 ぼくは、りっぱなぎしになれるようがんばります。

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 7125年 あめの月 12

 きょうも、ふいごをいっぱいふみました。

 金づちを持ちたいけれど、まだまだといわれます。

 きょう、鏡で下の世界を見ていたピピさまが、たいへんだーと大あわてで、樹海王国へおりて

いきました。

 ぼくも、おともしました。

 とても大きな貴族のおうちへいきました。ぼくは、すごく広い部屋でお茶をのみました。

 とてもきんちょうしました。

 おししょうさまはその間に、貴族の人と王さまのお城へ行ってきました。

 島へ帰ったら、おししょうさまはむずかしい顔をして、工ぼうにこもってしまいました。

 どうしたんだろう? なにか作ってるのかな?

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 7125年 あめの月 15日 

 樹海王国へ行ってから、おししょうさまは三日三晩、工ぼうにこもっていました。

 きょう、久しぶりに外に出たと思ったら、赤いルファの目を二セット、見せられました。

 実は、樹海王国の王さまが持っている赤い目が、こわれてしまったそうです。

 あの目を作ったサナダさんはすごいなぁと、おししょうさまは感心していました。

 王さまの目は、実は一定の時間がたったら必ずこわれるようになっていて、内ぞう電池の

じゅ命が、わざと5555555時間55秒きっかりで切れるようにせっ定されていたそうです。

 ピピさまは電池を入れかえて応急そちをしてあげていたのですが、それが割れて

しまったそうです。

 サナダさまのまねをして、また同じ時間だけもつように修理したはずが、うまくできなかったなぁと

頭をかいていました。

 工ぼうから出してきた二セットの赤い目は、王さまの目がこわれた時にそなえるため、

二十年前にアイダさまと二人で作りあいっこしたものでした。

 よく見たらどちらにも、七一零四という神聖暦の年号のとなりに、メニスのこよみの神暦で、

四五四九と刻まれていました。

 ピピさまはこのオプトヘイデンで作り、アイダさまはトリヘイデンというこの島の近くに

浮かぶ島に行って作ったそうです。

 ピピ様は、このままじゃ自分のは百年以上もちそうにないから、徹夜で手直ししていたと

いいました。それから、ふかいふかいためいきをつきました。

 アイダさまが作った方には、「はかいの目」の機能がついているんだと。

 「はかいの目」はとてもこわい機能で、人の魂をすいとって、その力で町を焼いたりできるんだと

きいて、ぼくはびっくりしました。

 この機能は、トリヘイデンの工ぼうにある特しゅな機械でしかつけられないそうです。

 神さまもたおせるほどの力なんだから、ぜったいつけるべきだといって、アイダさまは

はりきって作ったそうです。

 ぜったいアイダさまの方が高性能なんだけどなあ、でも、へたにこわい力がついてるから

どうしよう。どっちを王さまにあげようかと、ピピさまはとてもまよっていました。

 ぼくもどっちがいいのか、わかりませんでした。

 でも、じゅかいの王さまがひとりだけそんなにすごい力をもっていたら、他の王さまたちは

どうなるのでしょうか。不公平なのでは、ないでしょうか。

 そういったら、ピピさまはうーんと考えこんでしまいました。

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  7125年 あめの月 20

 きょう、ピピさまは、じゅかいの国へと下りていきました。

 すごくなやんだけれど、王様には、自分が作った方をあげることにするそうです。

 「はかいの目」がついていない方です。

 アイダさまが作ったトリヘイデンの目は、ひきつづきこのオプトヘイデンに封印しておく

ことにして、必要になったら自分が使う、とピピさまはおっしゃいました。

 ぼくも、それがいいとおもいました。

 ぼくは、きょうはるすばんしていました。

 ピピさまはおみやげに、じゅかい王国の大木の樹液をかためて作った宝石をくれました。

 とてもうれしかったです。

 

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2015/10/13 23:15
はかいの目の今後が気になりますね^^
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2015/08/31 03:03
若しかして、ペペの師匠の師匠様ですか?

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2015/08/31 00:22
この少年誰……
なにかの伏線でしょうか




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