アスパシオンの弟子73 逃亡王ポチ(前編)
- カテゴリ:自作小説
- 2015/11/28 18:11:58
ワタシ、なんでこんなところにきてしまっタノ。
ワタシ、おようふくはチョウゴウキンなんデスけど、なかみはナマナマしいんデス。
あついチシオがながれているんデス。きんぞくせいのメタリックなチシオが。
ずいぶんムカシ……こわいひとにいじめられて、かおにイシなげつけられて、ないてにげだしちゃって。
それからずっとずっと、みずうみのソコにかくれていたんデス。
そうしたらあるひ、ウサギさんとおとこのコたちがやってきて、びんぼうゆすりするなっておこられたんデス。
ワタシのせいで、じしんがおこってると、いうのデス。
それでワタシは、もっともっとキタにある、しおのみずうみにいきまシタ。
なぜなら、ウサギさんがはげましてくれたからデス。
『おそれるな。少しずつでいい。昨日より一歩だけ、前に出るんだ』
ウサギさんはワタシに、マエへすすむユウキをくれたのデス。
しおのみずうみはかいてきデシタ。
あるひワタシは、とんねるをみつけました。
ゆうきをだして、はいってみました。
もっともっと。マエにすすんでみたくなったからです。
すこしずつすすんで。ながいながいとんねるをとおって。ついにここにいきつきマシタ。
でも、むりにはいったらイリグチがうまってしまいマシタ。
ワタシのカラダ、おおきすぎたのカシラ。
しかしみずのそとにでるのは、さすがにこわいデス。
どうしまショウ。
どうしま……
どう……
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おや?
だれかが、ワタシをよんでマス。
これは、あらがえないチカラデス。
ひきよせられマス。だれ、デスカ?
かなりちかくデスね。20パッスス? めとはなのさきじゃないデスカ。
おっと。テのなかにおちてきマシタ。ワタシをよんでるヒトが。
あら。なんてかわいいウサギさん!
く、くすぐったい。なんデスカこのきんいろのつぶつぶは。
ヒカリのつぶつぶ、たべられマスカ? むり? ざんねんデスネ。
「や……やった! エティアから数時間でここに? すごいぞポチ!!」
え? いいえワタシ、三百じかんほどここで、どうしようシテマシタけど?
「ポ……チ?!」
はい。ポチでございマス。
あなたさまは。ワタシをよんだあなたさまは、つよいウサギさんにそっくりデスネ。
デモ、その01だけの1ビットシュウハスウ。これはまちがいなく……
ぴぴ、さまデスネ?
まえすとろの、ますたぁデスネ?
1ビットシュウハスウは、ますたぁのアカシ、ですモノ。
なんということ。ということは、
ワタシ、イマスグ、けっこん、しなければ!
『ぴぴ、さま。ぱいる・だーおん、して、クダサイ』
ぴぴさまを、おむかえしなければ!
『ぴぴ、さま。ぱいる・だーおん、して、搭乗して、クダサイ』
「あ、会いた……かった……ポチ一号!!!」
ワタシもデス、ワタシをつくったひと。
さあ、わがムネの、タカサゴノセキへどうぞ。
「搭乗機がないんだけど、腕輪でなんとかなるよね? これ、ポチ操縦機の改良版なんだ」
1ビットシュウハスウがでるのでしたらもんだいなく、けっこん、できマス。
「よし! ポチ! 合体だ!」
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ひとつ
われらはひとつ
つながれ とけあえ
1となれ
1と1よ、つながりて∞となれ――
010101010101010101010101010101010101010101010101
a
a
あ。
あ~♪
るるりららら。りー♪
融合、成功! 視界すっきり・思考すっきり・滑舌なめらか・絶好調!
漢字変換開始!
胸の中にピピ様を収めましたとたん、この調子でございますよ。
びぶらびばー!
声紋をシュガー・スイート・テノール、マエストロ・ソートアイガスに設定! 神経シンクロ率確認!
……85パーセント? うーん、初めはこのぐらいでしょうね。徐々に上がっていくでしょう。
ピピ様の大脳の情報から敵を捕捉。池の中につっ立ってるすっぱだかの生物が敵ですね。
純血メニス。魔人タイプ。右手にかかげているのは韻律の光球。
魔力レベル測定!
む……魔道師レベル100?
統一王国時代の大人気幻像遊戯『神獣大戦』のラスボスクリア後に出現する、隠しダンジョンの中ボスと同等? ふう、隠し神獣レベルじゃなくてよかった。
おや? 敵が剣を拾いましたか。構えと薙ぎの威力から剣術レベルを測定!
ふむ……レベル55。
こちらは、『神獣大戦』通常モードファーストクリア時平均レベルの戦士と同等。
よかった。私の性能で十分倒せます。
しかしあの剣は見覚えがあります。あのフォルムは、戦神の剣。でもあの柄についている刻印はオリジナルではなく、マエストロ・ソートアイガスのもの。
補正計算!
コード01、エクス・カリブルヌス・コピーを入力。
あ、あら?
剣術レべル……
340,282,366,920,938,463,463,374,607,431,768,211,456?!
まさかそんな……あの剣は128ビットの頭脳をもっているのですか?!
し、勝率……れ、0.000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,001パーセント?!
……。
……。
……。
「お、おいポチ! なんで回れ右してるんだ!」
……。
……。
……。
「ポチ!融合が解けて分離したぞ。シンクロ率が下がってきてる。 戻れ! 逃げるな! せめて池に浮いてるそこのメニスを……メイテリエをすくいあげてくれ!」
……。
……。
……。
は、はい……。
「よし、いい子だ。その人を肩に乗せろ。さあ、振り向け! がんばれ! 怯えるんじゃない!」
でも。でも。ぴぴ、さま、むりデス。カチメがありまセン。
にげマショウ。とっととにげマショウ。
「逃げちゃだめだ! ポチ! 一歩だけでいい。さあ、踏み出せ! 」
……!
「自信を持つんだ! おまえは強い。ルーセルフラウレンより何百倍も、何千倍も強い!」
う、ウサギさん? つよいウサギさん?
『少しずつでいい。昨日より一歩だけ、前に出るんだ』
ウサギの、ぺぺさん……
『自信をもって。ヌシさんは、神獣よりきっと何百倍も、何千倍も強いよ!』
ふしぎデス。ワタシ、あのぺぺさんにはげまされているようなキが……。
このカタは、ぴぴさまなのに。ちがうウサギのはずなのに。
ふしぎデス……。
「ポチ! 剣補正を外せ! 」
はい?
「赤猫は絶対、敵の味方にならない。補正を外せ!」
は、はい! そうしますと……。
……! そうごうレベル75! ら、ラクショウです!
「だろう? いくぞポチ! 前に進め!」
マエに……マエにすすむ……いっぽ、ふみだす?
「そうだ進め!」
う、うおおおおおおお!
私! 私! すすみたい! すすみたい!
がんばりマス! びぶらびばー!!
機関車の出番ですかね。