機霊戦記 第一話 少年皇帝(前)
- カテゴリ:自作小説
- 2016/07/31 20:32:28
某サイトの漫画原作コンテストに出そうと思って一話目を書いてみました。
応募規定は4万字ほどが推奨、コミック一冊分ほどの文量なのですが、
完成させてサイトに更新できるか、はなはだ微妙なことになっています。
少年漫画ってどんな感じが受けるのかなぁと考えて書いてみたので、
私の好みからはかなり外れています。
イメージはジャンプ連載もの系漫画。
()はサイト転載時にはルビになります。
ご感想等いただければ幸いです。
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機霊戦記――黄金の女神編――
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第一話 少年皇帝
蒼天に浮かぶ島都市(コロニア)。
その島々を十基従え、眼下の大陸の三分の一を属領としているのが、我が空の帝国エルドラシアだ。
その高祖は、英雄マレイスニール。
輝く黄金翼の高祖帝は、蒼天を駆けて暗黒翼の王を打ち果たし、暗黒の島都市(ネクサス・コロニア)を滅ぼした。
見上げれば、その偉業を描いた天井画が目に入る。
暗黒の機霊の翼を砕く、黄金翼の帝の神々しい姿が。
それこそは。五十代一千年に渡る、我が帝国の始まりの図――
「最低ひとつ、敵将の首を討ち取らないと、お家が潰されるんですっ!」
円い大天蓋の天井画を眺める僕の視線が、キンキン声のせいで床に引き戻された。
大理石の床に頭をこすりつけて土下座してるのは、真っ赤な髪の女の子。
水晶の玉座に足組んでふんぞりかえる僕の脇で、居並ぶ廷臣たちがしきりに揉み手している。
女の子はこいつらの推薦で、この謁見の広間に通されてきた。
ボリューミーなツインテールは、かなり好みなんだが。赤っていうのもまぁいい色なんだが。
「なので、どーかどーか! このリアルロッテ・フォン・シュテレーヘンを陛下の代理騎士に! どーか、おねがいしますうううう!」
礼儀と言葉遣いがなってないのは、ド田舎出身のせいか?
少年皇帝(僕)向けに対策を練ってきたんだろうと如実にわかる、リボンたっぷりミニスカート風ドレス。
むちっと露出している太ももを覆っているのは、ピンクのガーター。
胸はとりあえずV字で谷間がちょこっと見えている。ふくらみはかなり大きめ。
この時点でかなりげんなりきた。
背中から生やしているのは、ずいぶんと古そうな機霊だ。
見るからに天使の羽っぽい形をしているが、かなりアンバランス。
体の大きさと全然合ってない。ひと目で、融合が微妙だとわかる。
羽の関節はもろ機械めいている。骨格部分は紅銀鉱を使って赤味をだしているが、羽毛一枚一枚は無機質な金属板で筋がない。
つまり品質は並以下――青銅級(ブロンゾ)か錫級(スターニョ)といったところだろう。
水晶の玉座にふんぞりかえる僕の口から、ため息がもれる。
女の子はどう見ても十代前半。手足細すぎ、背は低すぎ。ひとことで言えばちんちくりん。
肘掛に肘たてて頬杖をつきながら、期待感ゼロで命じてみる。
「ではここで、機霊を展開してみよ」
「は、はいっ! 両翼展開(ディストリクシオ)!」
これから羽が旨く開ければ良いですね。