夢掌編イベント【ソムニア】第十夜 入相の鐘
- カテゴリ:自作小説
- 2016/09/30 17:27:44
うつし世はゆめ よるの夢こそまこと
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いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
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ふと気が付くと、私は眩しい程に黄色い絨毯の真ん中の立っていた。
いや、絨毯ではなく、地平線の果てまで黄金色に染める菜の花の中にいる。
一体何処に居るのだろうか、少なくとも私の記憶にはこんな場所に来た覚えはない、過去には。
足元の黄色の花に手を触れてみる、感触が有るのか無いのか、さてそれも定かでは無い。
くらり、と感じた眩暈の後に視線を宙に向けると月が登って来る所だ。
それと同時に後ろから小さく名を呼ばれて振り返る。
先程まで黄金色だった筈の足元は、白く冴え冴えとした月見草に変わっていた。
昇りつつある月の明かりの中に佇む二人、あれは人では無く私と同質の者達。
煙水晶のクアルツォ・フーメ殿と、青玉髄のカルセドニア・アスール・デ・ナーナ嬢。
どうやら、彼等の夢にお邪魔してしまったらしい。
「今宵はなんとも、美しい夜ですな」
そう言いながら再び昇る月に視線を戻すと、月は殊更ゆっくりと天空を歩んでいる。
どこからともなく、ゴ~~~~ンと低く響く音が聞こえて来た。
あれは日暮れを知らせる寺の鐘の音。
この近くに寺があるのか?と振り返ると二人の姿は無く、白い波の様な花の中に一人立っていた。
夢なのだ、やはり、と改めて思う。
少なくともあの二人が気配も無く消えてしまったのだから。
ならば此処からまた何処かへ行く事も出来るのだろう、と月に向かって歩き出す。
道がある訳でも無く、ただただ真っすぐだろうと思う方向へと。
暫く歩いていると、真っ白な花の中に花に負けない程白い装束を纏った青年が見えてきた。
あれは・・・と名前を思い出そうとしていると、耳元に紅玉の囁きが聞こえてくる。
「メテオリート殿」
そう、彼は鉄隕石のメテオリート・フェルーズ殿。
先程より月が中空に昇ったせいか、辺りは月明りだけとなっていた。
宙から来た彼が、この場に居るのは至極当然に思える程に。
「これから、何方かへお出かけですか」
私の問い掛けに、メテオリートは何処かを見つめる様に視線を彷徨わせながら答える。
「誰かが・・・呼んでいるのです。行かなければならない」
そう言うと、何か聴こえてでもいる様に月見草の果てを目指して歩き始める。
「お気を付けて」
私はそう言って見送る事しか出来なかった。
<次の夢へ続く>
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前話 <第九夜> うつろい(風月氏)
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1293211&aid=62843564
◇ クアルツォ・フーメ (煙水晶) … Pal氏
◇ カルセドニア・アスール・デ・ナーナ (子守歌の青玉髄) … 風月氏
◇ リュビ・ド・フラテルニテ (博愛のルビー) … ロワゾー氏
◇ メテオリート・フェルーズ (鉄隕石) … るーしぇ氏
◇ 浄玻璃 (ファントム・クォーツ) … seiya
キャラクター詳細
http://cherspierres.blogspot.jp/2016/01/pierres.html
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風月氏 → seiya → るーしぇ氏
創作リレーイベントです。
「宝石たちがみた夢」というテーマで、参加者間で続きを執筆しあっています。
~心をもつ宝石たちの軌跡をえがく物語群~
サークル幻想断片 創作企画
【ソムニア】 ~夢みる石たち~ イベントページ
http://canarydream.blogspot.jp/2016/08/event-somnia_72.html
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さて、何とか書き上げましたが。
どうにも自分でも消化不良な気がしています(苦笑)
今回はフーメ・ナーナの夢とメテオリートの夢を繋ぐ形になりました。
そして根回しもせずにいきなり指名させて貰いましたが。
るーしぇさん、どうぞ宜しくお願いします。
確認作業に【ソムニア】の小鳥さんが通ります^^
フリューリンクのお役をいただいてます。みぃと申します○┓
ただただ美しい描写にうっとりさせていただきました。
ほんのり大人の色気を感じる文章にさらにうっとり。
何故かとても癒されたような気がします。
素敵な夢のお話を有難うございました^^
更新しました〜
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=446840&aid=63067772
11月から忙しくなるためバトンの依頼をいただく際には一週間に一度、週末にお返事します
こちらに伝言板を作りましたので書き込んでおいてくださいね^^
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=446840&aid=63062416
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つづきはこちら
第十一夜 暗い森
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=163987&aid=63027736
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シュバリエ嬢、初めまして。此方こそ宜しく。 そう、かの江戸川乱歩が座右の銘にしていた言葉です。
検索したら江戸川乱歩がヒットしました
はじめまして^^シュバリエです
耳に囁く声 わかります そういうの天使だってポンペイの壁画に描かれていますね
本日より「太陽の蛇」十二夜に参入しまーす 以後お見知りおきくださいませ
夢はやはり捉え所の無い難しいものだと改めて感じた次第。
なんて美しい夢。
落ち着いた大人の雰囲気ですね~。
切れ切れにフレーズは浮かぶのですが、纏めるのが一番難しい作業です(苦笑)
>七リィさん
メテオリート殿に丸投げする形になってしまい、申し訳ないなと(苦笑)もう少し掘り下げられた様な。
>るーしぇさん
出張中に申し訳ありません。お手数をお掛けしますが、どうぞよしなに。
美しい光景のなかに登場させていただき
ありがとうございます(*´▽`*)
謹んでお受けさせていただきます(^∇^)ゞ!
さて次の夢へ。。。
そして浄玻璃さん 和紳士だ… (´∀`*)
勝手に無口キャラだと想像していたのですが 大人の会話をして下さる方と再認識☆
かっこいいです~!( *´艸`)♪
すぐ口説いてくる金色とは大違いですね! ←w
ふと視線をうつすことで場面が変わっていく様子が 映画のワンシーンのようで美しかったです♪
メテオの発言も意味深で気になりますね~ (。-∀-)
詩の風景から入って
その印象そのままに
美しい風景描写の数々・・・。
美しい美しい夢にただただ癒されました。
ありがとうございました(^^)/