Nicotto Town



Planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜

 タイトルの作品のお話。

 一応タイトルどおり対象を配信されていたものにしているので、全部で5話。1話20分前後。長さにばらつきがあるのも配信限定になった理由か。9月3日からは、映画の方も公開されている。配信サイトにはその広告もあるので、内容の方はそちらでどうぞ。
 http://planetarian-project.com/onair/
 多分一話と映画のPV位は無料でいつでも配信しているはず。
 ただ、映画の方が配信された作品を多く包含しているので、興味があれば映画を直接見て気に入ったら別視点での配信分や、別メディアを参照していただくのがよろしいような雰囲気ではあります。というか、映画の方も終わっちゃってる映画館が増えてるような時期ですが。
 https://abema.tv/channels/anime24/slots/8W2HhhHpfjSFEF
 投稿した日には配信版が配信されていたのですが終わってしまいましたな。

 原作の方はキネティックノベルで配信という当時としては結構無茶な試みで公開したようで、当初は惨憺たる有様だったとか。
 ま、AVGなシステムを使いながら、選択肢は無い、フルボイスでもアニメーションでもない、作品がひっそりと配信のみで公開されても気がつくわけもなく。はい、存在すら知りませんでしたよ。

 作品は、前述のキネティックノベルを中心に、三つの章を含む小説が別途用意されており、配信版は、そのソフトのメインのストーリーを。映画はメインである作品と小説のひとつの章である「星の人」の内容で構成されています。小説の場合は、三つの章がセットなので、必要な情報は一通り読むことで確認できるのですが、映画の方では使われているアイテムの一部の意味を含む「エルサレム」の要素が含まれて居ないため、映画を見て気に入った方はそれの収録されたメディアを確認するのがいいかもしれません。
 理想を言えば、全ての映像化、若しくは本編のうち「ちいさなほしのゆめ」の要素を削り「エルサレム」を入れるのが情報量としては正しい気もしますが、小説の方が本編にたいして付随する形で作られているのと、リソースとして映像を制作する資金、時間、上映時間などの要素もあって色々考慮したうえでの取捨選択になっていると思われます。原作のうち、解釈が難しい「チルシスとアマント」については、その作品全体の流れも加えたエピローグとして約6分の曲として意訳とも言える大胆な形でエンディングとして使われています。小説は一応販売されてるのですが、再販という形になっているからか、普通は何でも揃いそうな大手サイトでも取り扱いがあればいいほうというのは「関係者はもうちょっとがんばれ」と。

 原作と映像化されたそれは重視したものに違いを感じつつも、原作者が既に退社し、クレジットすらされていない状況であるにもかかわらず、丁寧に作られているようには思います。……が、上映館の少なさや、アイテムの状況などはあんまり売れるとは思っていないようですね。

 さて、作品自体は、遺構に近いデパートの屋上にあるプラネタリウムで動き続けるロボットと、そこに迷い込んだ一人の男の物語だったりします。登場人物はほぼ二人というその作品は、映画館で上映するには非常に地味な作品でもあります。
 感想はあちこちに上がっているので、ネタバレの無い範囲で、気にしてみると面白そうなところを幾つか。
 所謂国語的な文脈で見ると錯誤を生むような表現や、同じ台詞、似た台詞を「別のシーン」で「別の意味を持たせて」いるギミックなんかは面白いところかもしれません。誘導される錯誤に乗っても意味は成立するようにはなっています。
 "ほしのゆめみ"はロボットであり、その実、内包したデータベースを基準にロジカルな挙動を見せています。一見自発的にみえるそれも、実はトリガを引き、その原因となるアクションをしているのは"屑屋"です。多くのことは与えられた条件に対する「リアクション」です。対になるシーンを探してみると、きちんと多くの事にその答えは見付かるはずです。
 尚、その挙動を起こすために必要な条件には、"ゆめみの管理者/同僚/設計者"が含まれます。彼女が重視しているもの、大事にしているもの、価値観の中にはそういった人達のひととなりも見え隠れしています。無機的でありながら、人の良さなどが出ているのは、周囲の人達のおかげということは、運用上おそらく間違いないです。
 そういった表現になにを見出すかは見た人の感じ方には興味はあるところです。
 配信版は”ほしのゆめみ”側の視点で構成されているので、ゆめみ側からの視点が描かれています。地味ですが、配属時と、作品の現実世界ではコンディションが大きく異なることが、表示されるステータスにも描かれているので、気にしてみると面白いかもしれません。
 ただ、アニメ化にあたり、幾つかのリアクションを入れてしまっているので、作品の色としては「無機的に」描いていますが、映像化したスタッフは感情移入と同調を求めている節もあります。それは、最後の辺りのシーンでの演出にも見られますが、これも評価を分けているところではあるのですが、概ね変更、追加されているところは作品を理解して、丁寧に作業をされている気がする作品です。
 小説を含め、大きく時間軸の位置を取って、アイテム等をハーネスに使うことによって、描写されているよりも大きなイメージを抱かせるようになっているのはうまいなぁと思います。

 基本的に地味な作品ではありますが、自分に刺さったのは、多分ゆっくりと喪失していく姿と、引き継がれるものでしょうか。何かに言及するとネタバレになってしまうのですが、最初に渡されるものや、彼女の呼び込みの台詞。見聞きしたときに同じ台詞、アイテムに何を見るのか。もう一度一話をみると面白いと思います。
 ……映画のPV辺りはこれに引っかかって知らない人にはわけのわからない演出になってる部分もあるような気はしますね。
 思いついたことを書こうとすると内容にかかわる内容になるので、物語を回避して色々書くのは意外と難しいものですなw

アバター
2016/10/12 03:52
 感想はそれぞれではありますが、この作品で「誰かを庇って盾になったロボット」は出てきてないです。
 明確に本人と違う声で、暴走したロボットが居るので停止信号を発行したけど止まらなかったので、とっとと逃げてしかるべき機関に至急連絡してくださいってアナウンスしていて、注意を引いたのは結果論です。
 あれは音声が異質なことからも、設計時点で組み込まれているもので、本人の自律的な意志、行動では無いことは明示されています。あんな世界でも、ロボット三原則の機械としての制限があって、本人曰く「古い約束」として、屑屋との約束を反故にしたことをわびていますが、ロボットの枷と人との違いが描かれているところです。そして何度か出てくる「壊れている」としている対象、意味が複数重なるところです。

 基本的に、作中のあのロボットは30年前の幻影です。その前提となるデータも含め。
 その少し能天気で、人を疑わない挙動は、それを取り囲んでいた人達のもっていた優しさや、思いやりで、それはロボットが過ごしていた毎日が幸せだっただろう事を象徴しています。
 そして、当時の人々の思っていたこと、願いを結果として時を越えて運び、それを屑屋だった男は受け取り、受け入れ、引き継いだ。そういう話なのだとおもうのですが。

 まぁ、仲良くなったロボットが故あって命を賭して救ってくれた。さぁ泣け!って話に見えるようにも出来てるので、製作者が訴求力になるような層にはそれはそれでいいのだとおもいます。しかし、全体の文脈を拾うと違うような気がしなくも無い…んですが、感想の類を見てると、色々とあれれ?と思ったり思わなかったりします。チガウモノミタノカシラ?

 「だから所詮機械だ」。ではなく、敢えて書かなかった自分の言葉は「で、人の自我と、設計ポリシーの何が違うの?」です。相手が喜んだらそれをポジティヴに評価し微笑む相手を「作り物」という条件だけで無碍に出来るのか?自分には出来ませんがね。ロジックがそこに存在するのならそれは「誰かの言葉で心、思いの欠片」です。価値の根拠は何処にあるのでしょう?

 親切であること、献身的であることは必ずしも「優しさ」と同義ではありませんし、そういう部分も含め「優しい」を肯定していないし、自律的な「心の存在」を単純に肯定していないだけです。単純化して同調するのは簡単なんですがねー。
アバター
2016/10/11 03:02
せちがらい世の中に暮らしてるせいか、身を挺して助けてくれたロボットが優しく感じました。
それを行為と感じるか動作と捉えるかの違いなのでしょうねぇ。
アバター
2016/10/11 00:58
 あれ?正規の配信だと多分土曜日のあれが今のところ無料配信最後だったような。

 優しいか?は定義にも寄ると思います。
 廉価版は、涙の件に対する振りでしかないような気がします。明確に作中で定義されているのは見た目と、機能のことだけなので。
 配備直後と、職員が立ち去るときでは、話し方に明確な差異があって、学習結果の反映があることは描かれていて、現状の特性は、少なくとも職員がそれを受け入れた結果ではあります。出番は三箇所くらいしかないのですが、職員たちには可愛がられている様子も描かれていて、その際にも言葉を選んでいる節がいくつも見られます。
 これは屑屋も、同様で、相手には存在していない部分に対しても配慮している部分でもあります。

 無機的なものなのか?といえば、それはロボットを運用していた者の影も存在し、同時に作中では人では成しえなかったものを過去から未来に繋ぐという役割を果たしています。常に「人とは違うのだ」ということは明確にえがかれています。
 そういう状況を前に、何を見るのか、は実は見る人を映している部分でもあります。

 小説には人があの街にいたころの話があり、そのあたりがもう少し強く描かれて居たりしますから、多分そういうことなんだと思います。人の場合は、利己的な部分や自己保存が大きく働くので、目的や目標に対して忠実に向き合うことは難しいところがあるのですよね。こういう自分に無いもの、出来ないことをどう評価するのか?というのも「実は見る側のほうに」答えがあることです。人間の場合は「ある程度同じ考え方をする」という期待によって推察するので、そういうことが起こるのですが、「相手は違うもの」なので、実は存在しないロジックがあるのですが。

 http://movies.yahoo.co.jp/movie/planetarian%EF%BD%9E%E6%98%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA%EF%BD%9E/356421/review/
 映画のほうのレビューはこうなっていますが、色々と眩暈がするような感想が並んでますな…あれ?ほんとに見た人たちなのかな……。評価は母数と割合の補正が掛ってるので、「興味がある人に対する満足度」くらいの意味しかありませんから、当てになりませんが最初から興味を示すような人の満足度は高かったようだ。とはいえそうです。
アバター
2016/10/10 08:04
5編観てまいりました。
人よりも人に優しいロボットの話ですね。
廉価版である事と、開発者やお客様から可愛がられて育った経歴が影響してるのかな。
クレーム対応を主業務とする高級版だと如才ない対応を学習し、こうはならなかったかも。
アバター
2016/10/08 20:20
 まぁ、面白いのか?といえば、終末ものに該当する作品なので、楽しかったりということは無いです。
 崩れていくいろんなものに対する儚さみたいなものはあるんですがね。
 わかりやすい本線みたいなものはあるんで、適当に見ていてもなんとなく見える部分はあるはずですが。

 あとはまぁ、キービジュアルに居るキャラクターのデザインが苦手って人は難しいかもしれませんな。
 以外に見た目や印象よりも普通にSF作品だったりするのですが、話の骨組みだけにすると凄く地味で動きは少ないので、伝えるのは難しい感じの作品ではありますな。はまるといっても、配信版五本見ても90分くらいですしw
アバター
2016/10/08 13:30
読んでみて興味を持ちましたが、今日は夜勤なので鑑賞する時間がなく残念です。
あぁぁ、7連休突入前だったら夢中でハマったかも知れない。
夜勤明け帰宅したら…の楽しみが増えました^^



月別アーカイブ

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.