独り
- カテゴリ:自作小説
- 2017/05/13 13:45:10
初めての自作小説です!拙い文章ですが、楽しんで頂けたら幸いです。
私は、いじめられていた。
友達も全くおらず、家族もいなかった。
両親は数年前に離婚、その後母親と二人暮らしだったが、1年後、交通事故で母親は死んだ。
悲しいとも、寂しいとも思わなかった。
何も感じないのだ。
両親が離婚した時も、母親が死んだときも、たった今、いじめられていても。
独りで生きていく覚悟がついたのだろうか。
きっとそうなのだろう。
涙も出ないんだ。
私は独りで生きていく。
そう、独りで。
私がいじめられ始めてから2年後。
クラスメイトの女子に屋上から落とされた。
私は抵抗しなかった。
いや、抵抗できなかった。
何も言えなかったのだ。
「目障り」
「汚い」
「いつも一人じゃん」
「どうせ生きていてもつまらないでしょ?」
ただただ、その通りだと。
そう思っていたら、黙っていたら、
「反抗しないの?じゃあ、死んでよ」
そんな声が聞こえて、私は突き落とされた。
別にいいかな、とさえ思った。
独りで、たくさんの人に嫌われる人生は、思い返せばつまらなかったかもしれない。
「独りで生きる」と言ったって、生きている気がしなかった。
このまま死んだら、私はどこへ行くのだろうか。
天国か、それとも地獄か―
次の瞬間、身体に痛みが走った。
目を覚ませば、そこは真っ暗だった。
誰もいない。
何もない。
私は死んだはずだ。
とすると、ここは。
―天国でも、地獄でもない。
私は、独りになってしまった。
本当の独りに。
そうだ。
今まで私は、独りではなかった。
空があって、植物があって、人がいて。
それなのに、私は独りと思い込んでいたのだ。
こんなところに比べれば、生きていた方がよかったではないか。
生きてさえいれば。
その瞬間に、涙が零れ落ちた。
初めて見る、私の、孤独と、悲しみと、寂しさと、後悔と、辛さと、
それと、言葉で表せないくらいの「何か」で満ちた涙だった。