Nicotto Town



独り

初めての自作小説です!拙い文章ですが、楽しんで頂けたら幸いです。


私は、いじめられていた。

友達も全くおらず、家族もいなかった。

両親は数年前に離婚、その後母親と二人暮らしだったが、1年後、交通事故で母親は死んだ。

悲しいとも、寂しいとも思わなかった。

何も感じないのだ。

両親が離婚した時も、母親が死んだときも、たった今、いじめられていても。

独りで生きていく覚悟がついたのだろうか。

きっとそうなのだろう。

涙も出ないんだ。

私は独りで生きていく。

そう、独りで。


私がいじめられ始めてから2年後。

クラスメイトの女子に屋上から落とされた。

私は抵抗しなかった。

いや、抵抗できなかった。

何も言えなかったのだ。

「目障り」

「汚い」

「いつも一人じゃん」

「どうせ生きていてもつまらないでしょ?」

ただただ、その通りだと。

そう思っていたら、黙っていたら、

「反抗しないの?じゃあ、死んでよ」

そんな声が聞こえて、私は突き落とされた。

別にいいかな、とさえ思った。

独りで、たくさんの人に嫌われる人生は、思い返せばつまらなかったかもしれない。

「独りで生きる」と言ったって、生きている気がしなかった。

このまま死んだら、私はどこへ行くのだろうか。

天国か、それとも地獄か―

次の瞬間、身体に痛みが走った。



目を覚ませば、そこは真っ暗だった。

誰もいない。

何もない。

私は死んだはずだ。

とすると、ここは。

―天国でも、地獄でもない。

私は、独りになってしまった。

本当の独りに。

そうだ。

今まで私は、独りではなかった。

空があって、植物があって、人がいて。

それなのに、私は独りと思い込んでいたのだ。

こんなところに比べれば、生きていた方がよかったではないか。

生きてさえいれば。

その瞬間に、涙が零れ落ちた。

初めて見る、私の、孤独と、悲しみと、寂しさと、後悔と、辛さと、

それと、言葉で表せないくらいの「何か」で満ちた涙だった。






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