水着コーデ⭐コレクション⭐2017夏 / 石物語
- カテゴリ:自作小説
- 2017/08/14 00:14:53
~A.D.1865 某海水浴場にて~
白波寄せる白い砂浜。
「今日もおよぐうー!」
赤毛の少女が、裸足で波打ち際を走っていきます。しましま水着にゆったり白シャツという、なんとも爽快ないでたちで。
「人様に肌を見せるなど、とーんでもございませんのに」
キャビネの中から、バルトロメオさんがお盆に檸檬色の液体が入ったグラスを乗せて、すすめてくださいました。
青いラピスラズリのお守りが平らな胸元ではずみ、キラキラ。
白く細い素足は太ももまで見えていて、なんともはじけるような笑顔。
走る少女のあとを追いかけるように、馬が三角屋根の真っ白な小屋をカッポカッポと引いていきます。
鉄の車輪がついた台座に乗っているその小屋は、移動式の入浴キャビネ。中で着替えたり、昼寝したり、食事したりできます。
我が家では毎年夏になると、奇術の公演をするためにベルギーのオーステンデを訪れます。そうしてお仕事が終わりましたら、海水浴場で入浴キャビネを借りて思いっきり遊ぶのが恒例なのです。
「今年は111番か」
ご主人様が小屋の中で燕尾服をいそいそと脱ぎながら、ゾロ目の数字とは幸運だとおっしゃいました。
キャビネにはそれぞれ番号が、ペンキで書いてあるのです。
「去年は77番。おととしは88番。いつも面白い番号になるね」
「そうですねえ」
入浴キャビネを引く馬が、海にざぶざぶ入っていきます。
海水が床すれすれまでくると馬は外され、別のキャビネを引きに岸辺へ戻っていきました。
青い海辺には、白い小屋がずらり。何百と並んでいまして、壮観です。
婦女子はキャビネの入り口についているタラップに座って、しごく控えめに、慎ましやかに海水浴をします。背の高いキャビネがそのまま、周囲からの目隠しになるという寸法なのですが。
「人様に肌を見せるなど、とーんでもございませんのに」
キャビネに同乗している執事のバルトロメオさんが、ため息まじりに口をとんがらせました。
「まったくお嬢様ときたら……」
婦女子の水浴姿などけしからん。素足も腕も見せてはならぬと、教会の神父さまは毎週お説教なさいます。
でも我が家のお嬢様は、まるで少年のよう。ひと目なんて気にしません。
真っ白い腕も足も隠さずにざぶざぶ、人魚のように泳いでいらっしゃいます。
この暑さですから、本体が水につかるのはそれはそれは涼しいのですけど。塩水はちょっとあのその……
「うひゃー! 貝かなぁこれっ」
きゃああ! すっかり水の中に潜られるなんて。ちょちょ、ちょっと待ってくださいっ。
「あちゃあ。ブランはほんとにおてんばだな。ほんと、誰に似たのか」
水着にバスローブ。くつろぎの格好で、小屋の入り口に腰を下ろすご主人さま。初代より数えて三代目のこの方は、苦笑なさるだけで、お嬢様をけっして叱りません。
だって母親がいないんだからかわいそうじゃないかとおっしゃって、いつも甘々お砂糖対応です。
猫のように箱の中に入れられて、路地に捨てられていた赤子のお嬢様をご主人様が拾ったときは、本当にどうしようかと私もおろおろしたものです。
お嬢様の身元は、七年たっても分からずじまい。
『見つからなければいい、返したくない』
ご主人さまはそう切に願ってらっしゃいますので、私もただただ、お二人を見守るばかりです。
「あのう、私の本体ずぶぬれです、ご主人さま」
入り口にがっくりへたれる私の頭を、ご主人様はぽんぽんと慰めるように叩きました。
「すまないなぁ。でもおかげで、あの子が溺れる心配はあるまい」
それはもう、お任せくださいませ。
この家の守護石としてお仕えしてきて、すでに百数十年。
革命のときもそれに続いた絶え間ない戦のときも。ただただ、このお家の幸福を祈り続けてまいりました。
初代ご主人様の奥様よりいただいたこの、まるで人間のような姿は、大変に便利です。
手があると、幸運の運気を強く、願った方向に放つことができます。
ほら、お嬢様の肩をつかもうとしている、あのいたずら水霊だって。
「アブラカタブラ」
手をかざして蒼い運気を大蛇の形にして投げてやれば、きゃんきゃん震えて逃げていきます。
って、これはただの幻影《イリュージョン》なのですけど。
「シトロネード、いかがですー?」
キャビネの中から、バルトロメオさんがお盆に檸檬色の液体が入ったグラスを乗せて、すすめてくださいました。
「のむうううう!」
水の中からバッと両手を突き出して、お嬢様がキャビネに戻っていらっしゃいます。
ふう、よかった。
バルトロメオさん、どうかケーキも出してくださいね。それからハンモックでお昼寝を薦めてくださいな。そうしてできるだけお嬢様を、キャビネの中に引き止め――
「おいっしーい! ごちそーさま! っしゃあ! 宝さがしさいかいっ」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってっ。きゃー!」
ああ、またもや海の中にどっぷん。
し、仕方ないですね。
塩辛い水はちょっと苦手ですけれど。たぶんこうやってお嬢様が羽目を外せるのは今年限り。来年は、寄宿学校にお入りになられてしまいますから……
聞けばそこはカトリックの修道女が教師をなさっている、伝統ある女学院とのこと。
ご主人様は大変心配なさっておられるので、おそらく私もお嬢さまとご一緒することになるでしょう。
おてんばなお嬢様が学院になじめるか、ちょっと不安ですが。
そしてご主人さまのもとを離れるのは、ちょっとさびしいですが。
一所懸命、お嬢様をお守りしようと思います。
――海水浴 了――
バスキャビネBathing cabinsの紹介サイトはこちら…こんな感じの小屋です。乗ってみたい…・ω・
↓
http://letheatredemoncerveau.blogspot.jp/2013/03/bathing-cabins.html
~心をもつ宝石たちの軌跡をえがく物語群~
サークル幻想断片 創作企画
石物語 Les Histoires des Pierres
石物語 第二期 公式サイト
http://cherspierres.blogspot.jp/
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ラピスさんinニース? それともオ―ステンデ? って感じで…(ぇ)
トリコ枠好きなので結構使います。
帽子もトリコの買っておけばよかった…(・ω・;
(青厨なので青いのゲットして満足しちゃいましたw)
クリスマスのときにメリクリコーデ企画に参加させていただきましたが、
今回は夏の企画に参加させていただきました♪
カルシファーさんが撮影してくださいまして、
You Tubeでスライドショーとしてあげられます。
ご興味ある方はぜひ参加を。
☟カルシファーさんのところからコピーさせていただきました。
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【参加者募集ッ!!】
水着コーデブログのアドレスを貼り付けるだけッ!! お友達もお誘いの上、ふるって参加…よろしゅーに⭐…(;^ω^)/
サークル ;【動画】に出よう(⁰︻⁰) ☝主催
水着コーデ⭐コレクション⭐2017夏
=== 水着美女✨大図鑑 ===
URLアドレス投稿(貼付け)先ブログ①
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1046108&aid=64664772
※ 企画詳細はここ㊦⇓
カルのブログ;
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1046108&aid=64664807
締切;8/19(土)23:59 募集人数制限なし
✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
おいしいハマグリのワイン蒸し食べておいでw
ありがとうございます~o*_ _)ペコリ
お嬢様がたの優雅な海水浴の場面
ステキですー(*´▽`*)
守護石としてのラピスさんが穏やかで可愛らしい(´∀`*)ポッ
この度はコーデ投稿ありがとうございました!
当時の世相からすれば、かなり大胆な水着姿ですねぇw
折角ならニースが良いなぁ。青い海と青い空。
フランス・パリはどちらかと言えば寒い、冬場などは薄灰色の日差しの落ちる土地だから
南の眩い陽光と海には憧れがあったのでしょうね。
ラピスラズリ、ウルトラマリンは、ニースの海の向こうから訪れたのです。
三代目さんともなると、貫禄というか落ち着きが感じられるご主人様になってますね。
初代ご主人の奥様……結局「恋焦がれているあの人」以外の女性になったのだろうか、
なんて、詮索するだけ野暮ってもんでしょうね( ´艸`)
こう言うお話が良いのかも知れないですね。
親子そろって可愛いとかご馳走様です(*´ڡ`●)
ラピスさんとバルトロメオさんがハラハラと見守ってるのが目に浮かぶようw
バスキャビネってあんなにいっぱい並ぶもんなんだねぇ。
初めて見た。ちょっと面白かった〜♪ほんとにおっきく番号ついてたし♡(。→ˇ艸←)
青で統一されたコーデステキですねぇ。
お美しい(●´ω`●)ちょっと見とれちゃった❤
1865年のバカンス❤
ステキな持ち主のところにいて
楽しそうだなぁ ラピスラズリさん。
(゜ロ゜) おぉöÖ~ッ!! みうみ/Sianチャン…
その節はサンキューデースッ!! (๑◕ܫ←)σⶾღ 今回は夏の企画という事で水着ですな…( ̄m ̄〃)ムフフ❤
しかし、青にこだわった❗❓ そのコーデ素敵ですぞッ!!(⁰︻⁰) ☝
貴婦人をイメージさせつつ、ちょっと艶やか…グッジョブッ!!(・∀・)ウン!!
エーンド、投稿、宣伝…ありがとうござりまするぅ~♪
✋(^︻^)