Nicotto Town


まったり時間。


【お話】人魚姫の恋の呪文

宝箱の中には、海の歌。人魚姫の恋の呪文が、隠されているよ。

もらったステキコーデ♪:3

海の底、海流が静かに凪いだ、洞窟で、


秘密の宝箱を見つけた。

人魚が隠した、宝物。

中にあったのは、歌と涙。

人魚の秘密の恋の呪文。


「王子様 どうか」



澄んだ星空から流れ落ちる力と、

人の魂への憧れと。

甘く、熱く、痛みを持った心臓の高鳴りが、

そこにはひっそりと、隠されていた。


「王子様 どうか」



かなわない恋の、それでもその先にある愛情を夢見て、

人魚姫は、大気の世界へと消え去った。



「どうか。どうか……あなたに幸があるように。

王子様。どうか。お幸せに」



残されたきらめき。

痛みとともに、熱と甘さを含んだ歌。

それを、ただ美しいと。そう思わずにはいられなかった。



***


アンデルセンの人魚姫。どこかフーケーの水妖記、ウンディーネの話に似ています。

人ならぬものが、魂に憬れる。人間になりたいと願う。

人間になるためには、深い愛情をもって人間と結びつかなければならない、という。

ウンディーネは人間になれましたが、夫に裏切られる。

人魚姫は人間になることはできず、泡になりますが、大気の娘に変化して、地上に祝福を運ぶものとなります。

どちらも悲劇の部分があり、どちらも幸せを考える部分があるな、と。

しかし、人魚姫の王子様は、朴念仁すぎないか、とも思う。あなたが好きっという女の子がすぐ側にいるのに、気づかないうえ、別の女の子と結婚するから、祝福してねっ! と、堂々と言ってくる。ちょっとひどすぎないか。






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