Nicotto Town


シン・ドラマ汁


西郷どん 感想文

西郷どん 第2回「立派なお侍」
NHK 日曜夜8時~
▼とんこつ
今回から、西郷さんが子役から主役の鈴木にスイッチしましたね。
前回から5~6年後でしょうか?
成長期とはいえ育ちすぎですよねw
鈴木の身長は186cmですが、西郷さんは180cmあったそうです。
今でこそ180cmの男性は珍しくありませんが、江戸時代の日本人男性の平均が
155cmくらいと言われているので、当時としてはとてつもない大男です。
このドラマでは、子供の頃から貧乏で、食事が満足にできないように描かれていますが、
西郷は薩摩の郷土料理である「とんこつ」が大好きだったと言われています。
この「とんこつ」は、ラーメンのスープなんかではなく、骨付きの豚肉を煮込んだもので、
どちらかというと豚の角煮とかラフテーに近い料理なのです。
日本ではこの当時、まだ肉を食べる習慣がなかったのですが、薩摩では普通に食べていたようです。
そのせいか、今でも豚の飼育数は鹿児島県が日本一を誇っています。
西郷さんがとんこつをどの程度食べていたのかは分かりませんが、180cmという身長からして、
わりと日常的に肉を口にする習慣があったのではないかと思いますね。
どう考えても飢えていたらそんなにでかくなれませんよ。
恐らく田畑を持っていたり、家畜を飼っていたりしたのではないかと思います。
鰻を一匹捕まえたって、10人の家族は養えませんよねw

▼定免法と検見法
今回は、西郷が郡奉行の下っ端役人のさらに補佐役となり、年貢を徴収する仕事に励む姿が描かれました。
まぁ恐らく創作だろうとは思うのですが、そこで年貢を取り立てるべき百姓に同情してしまい、
定免法という取れ高に関わらず納める米の量が決まっている制度のせいで、不作で年貢が払えず、
借金に借金を重ね、そのカタに娘を売らなければならなくなった家族に、救いの手を差し伸べようとしたのです。
それだけ苦労する百姓もいれば、役人に賄賂を渡し目こぼししてもらおうとする百姓もいたり、
食うや食わずの百姓から取り立てた年貢の上前をはねる役人がいたりして、
誠実かつ熱い吉之助は憤懣やる方なく、思い余って家老の調所広郷に直訴してしまうのです。
郡奉行所の木っ端役人が家老に直訴とか、まずありえないと思うのですが、それが何故かできてしまいます。
まぁ今回のお話自体フィクションでしょうから、そういう話だと思って味わうのが正解です。
調所は軽くあしらおうとするのですが、吉之助があまりに食い下がるので、ついに吉之助の主張を認めてしまいます。
吉之助の主張とは、定免法ではなく田の大きさを測り、その大きさで年貢を決めるという検見法の実施でした。
しかし検見法では新田を開発した百姓たちの年貢が増えてしまうことになり、大反対されてしまいます。
結局吉之助はどうしたらいいか決められないまま、娘は売られていくことになってしまうという、
実に後味の悪いお話でした。
恐らく若い頃の西郷が味わった無情な社会が、西郷という人物を形成したことを描きたかった回だと思うのですが、
鈴木の登場回としてはちょっと地味なお話だったかなーと思いますね。フィクションだし。

▼維新の立役者
今回、正式に薩摩入りした斉彬が、あまりにしつこく大砲の製造工場を作りたいと言うので、
怒髪天を衝いた斉興が、廃嫡までにはいたらなかったものの、久光を藩主名代にしてしまいました。
前回の感想で、斉彬は情報を得られる環境と、世界を俯瞰して見ることのできる才能を持ち合わせていた
と評しましたが、もう1つ、彼が江戸で生まれ育ったということがあると思います。
もう我慢できなくて調べてしまったのですが、斉彬の母親が賢い女性で、自ら斉彬を教育したことや、
洋学に傾倒した曽祖父・重豪(しげひで)の影響が濃かったことがわかりました。
日本の端っこの薩摩に比べれば、江戸では洋学(この当時は蘭学ですね)をいくらでも学べたはずです。
逆に斉興が斉彬のこの癖を嫌ったのは、重豪が蘭学に傾倒し、藩の財政まで傾かせたからのようです。
晩年は財政の回復のため、自ら調所を見出したようですが、賢い斉彬を目に入れても痛くないくらい可愛がりました。
また自分に批判的だった息子の藩主・斉宣を隠居させ、斉興を擁立しました。
この後、薩摩藩は維新を前に混乱期に入っていきますが、その原因はこの重豪にあると言っても
過言ではないくらい、自藩のあちこちに影響を与えた男ですよこの人は。
維新期にはとっくに死んでいましたが、間違いなく薩摩を雄藩に仕立て上げた重要人物の1人ですね。
そして、父親を藩主の座から追いやるため、自ら密貿易や琉球支配のことを幕府にチクりに江戸に向かった斉彬。
重豪が見出した調所、重豪が擁立した藩主の斉興が、
重豪が愛した斉彬の障害となったのは皮肉としか言いようがないですね。




月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.