お水ってなんのこと?
- カテゴリ:勉強
- 2018/02/13 13:45:52
あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり 小野老(万葉集巻三)
あをによしは青丹よしと書きます。青は寺院の窓枠の青の顔料、丹は柱の赤の顔料とも青と丹をならして顔料にすることを意味しているとも言われています。
ちなみに青は青鬼の青で鉄、丹は赤鬼の赤で辰砂を指しているとの説もあります。鉄はもちろん鉄器の材料で貴重だし、丹は水銀のことで平安時代は不死の薬と信じられていて、薬の名前に丹(萬金丹とか仁丹とか)がつくのはその名残です。
そして奈良の都で水といえば東大寺二月堂の修二会のお水取り。
二月堂縁起には
「実忠和尚二七ヶ日夜の行法の間、来臨影向の諸神一万三千七百余座、その名をしるして神名帳を定(さだめ)しに、若狭国(わかさのくに)に遠敷(おにう)明神と云う神います。遠敷河を領して魚を取りて遅参す。神、是をなげきいたみて、其をこたりに、道場のほとりに香水を出して奉るべきよしを、懇(ねんごろに)に和尚にしめし給ひしかば、黒白二の鵜(う)、にはかに岩の中より飛出(とびいで)て、かたはらの樹にゐる。その二の跡より、いみじくたぐひなき甘泉わき出(いで)たり。石をたたみて閼伽井とす」
とあって、若狭の遠敷明神が東大寺の修二会の行事に漁が忙しくて遅刻してしまった。そのお詫びに二月堂の本尊の十一面観音に閼伽水(あかみず)を送ると約束したことによるとされている。
送ると約束した遠敷明神は若狭一宮の若狭彦神社の祭神の若狭彦のことで彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)一般には山幸彦と呼ばれている神様です。ここでは修二会のお水取りに先駆けてお水送りと呼ばれる閼伽水を献じる行事があります。
「天平の昔、若狭の神願寺(神宮司)から奈良の東大寺にゆかれた印度僧実忠和尚が大仏開眼供養を指導で、753年(天平勝宝5年)に二月堂を創建し修二会を始められ、すべての神々が参列されたのに、若狭の遠敷明神(彦姫神)のみは見えず、ようやく二月十二日(旧暦)夜中一時過ぎに参列された。それは川漁に時を忘れて遅参されたので、そのお詫びもかねて、若狭より二月堂の本尊へお香水の閼伽水を送る約束をされ、そのとき二月堂の下の地中から白と黒の鵜がとび出て、その穴から泉が湧き出たのを若狭井と名付けその水を汲む行事が始まり、それが有名な「お水取り」である。その若狭井の水源がこの鵜の瀬の水中洞穴で、その穴から鵜が奈良までもぐっていったと伝える。この伝説信仰から地元では毎年三月二日夜この淵へ根来八幡の神人と神宮寺僧が神仏混淆の「お水送り」行事を行う習いがある。「鵜の瀬」由緒記 案内板
と閼伽水を送る行事が現代まで残っています。
全国の神様を招待した国家行事に遅刻したお詫びが十一面観音にお供えする閼伽水。修二会はもともと兜率天の修行に追いつくために走って行を行う仏式の行事で仏僧が足を濯ぐ時に使われる閼伽水の献上はおかしくはないけれど。あまりにも牧歌的すぎないかなあ。
東大寺の行事は皇室が主催する国家行事だったはずで、遅参は朝廷に対する反逆とみなされた時代だからね。毎年お水を送るくらいで許されるとはとても思えないよね。水が貴重じゃなかったとは言わないけれど、若狭の水じゃなければならない理由ってなんだろう。
遠敷はおにう、おにゅうと読んで、小丹生とも書きます。丹生というとにゅうで丹が生まれるところ。つまり辰砂=水銀が採れるところなので、遠敷から水を送る=水銀を送る=献上するとも読めます。丹=辰砂=赤なので閼伽(あか)と読みも一致します。つまり、遅刻のお詫びに毎年水銀を献上することを誓って許してもらったと解釈すると納得できると思いませんか?
こんばんは^^コメントありがとうございますm(__)m
桃太郎の話は、学生の頃からずっと追いかけているスーパーフェアリーテイルで、日本人は「桃太郎」の物語を聞いて育って「鬼は悪者」とイメージがすり込まれたと考えています。鬼はどんな悪いことをしたのか、はっきりしないのですが、犬、雉、猿をつれた桃太郎に退治されちゃいます。
始皇帝も賢者の石を不老不死のために探していましたね。弘法大師も水銀中毒という話があって、英会話を習っていたイギリス人にそういう話をしたところ、命に関わる薬って言ってましたね。
ただ、現代も命に関わる薬ってあって、薬害はたくさん出てます。
書き忘れていたのですが、水銀が万病に効くというのは中国の始皇帝も同じようなことをしていましたよね...?
現代の考えでいくと、すごく危ない気がします...
危険物が万病に効くと思われていた、というのは面白いですね
赤鬼が水銀、青鬼が鉄と書いてあったプロ欄の意味がわかりました。
出雲の国譲りや桃太郎のような御伽噺だけでなく、将門の乱などの歴史的な戦争の背景も鉄を巡ったもので、負けた側が鬼、という話はとても興味深く、かつ「そうだったの!?」とビックリしました。
私は恥ずかしながら、「閼伽水」を送る風習自体知りませんでした...
でも、閼伽=水銀、水=鉄という解釈は納得です。
「遅れたお詫びにウチの水送ります」というのは、確かに?って頭をかしげそうです。
とてもわかりやすい説明ありがとうございますm(_ _)m
この時代には大仏の金メッキのために大量の水銀が使われているためこの水銀かもしれませんね。
最近の説では水銀の毒で奈良が壊滅的になったために遷都したとも言われています。
子どもの頃に丹頂鶴だから頭が赤いと説明されて意味が分からず調べたことがあります。丹=赤って知らないとわからないですからね。
水銀なんて毒でしかないのに、このころは万病に効くと言われたのですね。
仁丹の丹は水銀の丹から来ている・・・とても勉強になりました。