日本語は変化するものだけど
- カテゴリ:勉強
- 2018/03/05 14:32:19
敷居が高いとか煮詰まるとか違う意味で使われることがニュースでさえあるからね。意味が違うからって驚くことはないんだろうけど。
英語を習うのは敷居が高いとか、高級レストランは敷居が高いとか。
聞いているとどんな悪いことをしたんだろうって思う。高級レストランはともかく英語にはどうやって?って思うけど。
敷居が高いは不義理をして行きづらい。って意味だよね。
「おじさんが紹介してくれた仕事をすぐにやめてしまって、敷居が高くて挨拶に行けない」って感じで使う。
仕事が煮詰まったからコンビニで気分転換してくるとか、同じような会議で煮詰まってしまってって今朝もニュースで使っていた。
煮詰まったら結論だせばいいのにね。
煮詰まるは会議で十分に意見が出て結論が出せる状態になったこと。ちょうどいい具合になったこと。って意味で
「議論も尽くされて煮詰まってきたので採決に入ります」って感じに使う。
誤用している人が正しく使っている人に使うとなんで?ってなるのが言葉の世界。
このふたつは有名な誤用だけど、3年ぐらい前にお医者さんが使っている恐ろしい誤用を発見したんだ。
風邪気味で病院で診察を受けていたときのこと。
「咳はいつから? 熱は? 寒気はしますか?」といったことを一通り聞かれた後で「オエツはありますか?」と聞かれた。
オエツは嗚咽でむせび泣くことをすぐに思いつくのだけど風邪と嗚咽は関係ないよね。風邪の症状には嗚咽するなんてないわけだし。
「ありません」ってこたえたあとで気になって「オエツってなんですか?」って聞いたら「おえってなりませんか?」と言いなおされた。オエツはおえっていう意味じゃありませんよって言うとびっくりした顔になってなかったことにされた。
年配のお医者さんだったんだけどね。変な日本語ってこうして作られていくんだねって思ったよ。
作家さんは言葉を使っていろんなメッセージを伝えるプロなので、編集も校正も同じくらい真剣に悩んで原稿を本にしていくんです。
ホントにひとつの言葉を使うだけで1週間も悩んで書いたりしますよね。
てにをはの使い方は正しくないけどこう書いたほうが伝わるとか。
文化を創っている作業は楽しいですがつらい作業ですね^^
私も書いた文章で、編集者さんとやりとりして通した箇所があります。
悠久の時を経て、山間を蛇行するライン川を、はるか眼下に眺め続けた城砦は、
所々朽ちて、欠けた岩肌の間から石の礫をのぞかせている。
剥いた中身は新鮮だろうかと触れてみるが、千年の歴史はずっしりと岩肌に沁み込んで、
拭い去ることもできない傷みを刻んでいる。
冒頭の文章で、「傷み」を「痛み」かと聞かれました。
傷みは外傷で、痛みは傷からくる痛覚などの感覚だと思います。
傷みを刻むという表現はありませんが、千年の歴史とかけてこのままで
通してください。とお願いしました。
あと「吹き出す」と「噴き出す」は本当は噴き出すが正解なのですが、
ある男性アナウンサーが調べた結果、ぷっと軽く笑う場合は「吹き出す」を使う人たちが
8割もいることがわかり、私も「吹き出す」を使いました。
こんな偉そうなことを書いてしまいましたが、考え出すと間違いが怖くて文章を書けなくなりそうなので、普段の気を使わないブログなどは、出来の悪い幼稚な表現として見逃してやってくださいね。
オエツは近所の美容室で髪を切ってもらったときも、うちの猫がオエツしてって話しかけられてえ?って思ったことがあります。。。
小説は作家、編集、校正と入るはずなんですけどね。通しちゃったのかなあ。私が編集やっていたときは絶対に通さなかったけれど(意図的に書いていて意味があるなら別ですが)。
日本語は変わるものだからいいんだって言ってもね、意味が変わると通じないのにね。
煮詰まるは、気持ちが煮詰まってしまって・・なんて誤用する人がいますね。
嗚咽はきっと、嘔吐の間違いなんでしょうけれど、お医者さんが言うと、
考えもせず正しいと思って真似する人がいそうです。
最近では、小説に粟立つの誤用が見られます。
恐怖などの場面で使われる言葉だと思うのですが、嬉しくても粟立つ、
男女関係のシーンでも背中が粟だったという表現を見ました。
興奮してぞくぞくするの意味を間違って使っているのだと思いますが、
知らずに読んだ読者は、この使い方をそのまま覚えていくんだろうなと
残念に思いました。