源氏と平氏はどちらがよかったのか?
- カテゴリ:学校
- 2018/04/20 15:14:01
「経営者・平清盛の失敗」山田真哉著 講談社
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者が「平氏滅亡」について会計士の目線で語っている本です。
世界史で見ても日本史で見ても、平氏の滅亡は不可思議です。平氏と源氏では平氏のほうが圧倒的に経済的に有利だったから。局地的な戦闘ならともかく国土を統一しようとする戦いで経済で圧倒的に勝っている陣営が負けたのは平氏ぐらいでしょう。織田信長も徳川家康も明治の新政府軍も経済的な有利を握ったから自分たちの戦いを有利に進めることができました。徳川家康が豊臣秀吉に臣従したのは秀吉が金銭面、人事面で掌握していたから。
平清盛は瀬戸内海航路を切り開くことで日宋貿易の主導権を握り、富を独占することに成功したはずですが、どうして莫大な金銭を使って戦わなかったのでしょうか。
平清盛は日本国内に宋銭を普及させて貨幣経済を発展させようとしました。宋銭を蓄えたものには貴族、庶民限らず高い地位を与えるという法律も制定してまで。一方で平清盛は自国で貨幣を発行せず、偽造のリスクを宋に押しつけました。
銭貨出挙と呼ばれる利息100%の消費者金融業務を平氏が始め、莫大な利益をあげるとこととなりました。しかし、つねに100%の利息なので銭はすぐに不足します。自国通貨ではないため自分たちで作ることができず、宋との貿易船は1年に秋しか入ってこない。銭不足を解消するための手立てがありません。デフレで困っていたところに、世界的な寒冷期の影響で養和の大飢饉が発生してハイパーインフレが起こって銭の価値が暴落してしまうのです。
借金をしていた側は持っていたものが何倍もの金額で売れるから借金はあっという間に返せてしまい、銭持ちの平家は銭の価値が暴落したので賃金すら払えない始末。傭兵に給金が払えず、今まで搾取する側だった平家は自分たちの利益を護ろうとしている貴族たちの後押しをうけた源氏に追いつめられていきます。
つまり、経済的な発展をもたらした平家は銭のリスクをもろにかぶってしまい力を失って権力者の地位から追い落とされたというのが正しいところでしょうか。
結果、重農主義の源氏が天下を握って土地神話が残ったと説明しているのだけどね。
歴史はいろんな角度から考察すると面白いことがたくさんありますね^^
勉強になるお話を紹介してくださって、ありがとうございました。