ベルギーの高速カウンターはなぜ防げなかったのか?
- カテゴリ:スポーツ
- 2018/07/04 14:54:57
2018 World Cup Russia Round of 16 Bergium 3-2 Japan @ Rostov Arena 2 July 2018 21:00 Local time
Bergium:Vertonghen 69,Fellaini 74,Chadli 90+4
Japan:Haraguchi 48,Inui 52
94分。あと30秒かそこらでタイムアップの笛が鳴って延長戦に突入するタイミングで日本の左サイドからのコーナーキック。キッカーは本田。
ここからわずか10秒ほどで日本はベルギーの高速カウンターから失点して敗戦が決まってしまった。いったい何が起こったのか、そして何が駄目だったのか。
このコーナーキックについて、試合後の西野監督は「あの時間でFK・CKのチャンスがあり、決めたい気持ちはあった」と語っており、90分で決めたかった気持ちが選手にもあったはずだ。
①本田は左サイドからのコーナーキックを左足で蹴ってストレートに伸びたボールをGKクルトワがキャッチする。GKクルトワは前線へ走り出していたデ・ブライネにスロー。
この時点でカウンターに備えていたのは山口、長友、長谷部の3人。ベルギーはデ・ブルイネ、ルカク、ムニエ、シャドリ、アザールが走り出していて3対5だった。
このコーナーキックは蹴っちゃいけなかった、リスクが大きすぎたと言われていて、ショートコーナーにしてキープしてタイムアップを狙うとか、センターバックの吉田と昌子は上げたら駄目だったとも言われている。
あるいはボールをキャッチしたGKクルトワにファールをしてイエロー覚悟でキーパーチャージをする方法もあった。ピッチ上にいる日本代表でこの試合でイエローをもらった選手はおらず戦術的ファールで延長に行けた。ファールをするならここだった。
②デ・ブライネはドリブルでハーフラインを越える。ルカクが右サイドから中央へ走って右サイドをあけ、左サイドはシャドリ、アザールがアタックをかけた。デ・ブライネは右サイドのムニエにパス。広大なスペースを使ってムニエは深く攻め込んでくる。
ルカクについていたのは長友。ルカクが右サイドから中へ入ったので長友はルカクについて行った。右サイドは当然がら空き。デ・ブライネに対応していたのは山口。カウンターが発現したときには、ボールホルダーのデ・ブライネをつかんででも止めることが必要だったが、デ・ブライネは稀代のパサーで飛び込んだ瞬間に右か左に出されてしまう。リトリートしてディレイの判断は本人が下したもので責められない。
③右サイドを駆け上がったムニエのクロスを中央でルカクがスルー。長谷部がついていたがボールをカットできず。フリーのシャドリが左足で流し込んでゴール。昌子が全力で戻ってきたが追いつかず。
長谷部がルカクに追いついたのを見て長友はムニエにつこうとしたがクロスが入ってルカクがスルー。ここでシャドリがフリーでできることはなにもない。長谷部がレッド覚悟でルカクを倒してもゴールが決まったら得点だから。GK川島の手が届くか、シャドリが疲れていて外すかってレベル。
止めるチャンスは2回。GKクルトワへのファールかデ・ブルイネへのファール。GKクルトワへのファールのほうが確率が高かった。あるいは本田はCKをまともに蹴るべきではなかった。というのが日本の指導上にある分析。
だけど、ヨーロッパのトップレベルは違う分析をする。日本代表はエネルギー切れ寸前でコーナーキックの1プレーにすべてを賭けていた。という条件だとして。どうすれば失点が防げたか。
①コーナーキックを蹴る選手を本田以外の選手にする。
もしコーナーキックが右サイドからだったら本田でよかった。左サイドだったから本田では駄目だった。なぜなら本田は左利きだから。ボールがゴールに向かって曲がっていくボールをインスイング、遠ざかっていくボールをアウトスイングというけれども、本田は左利きなのでゴールに向かって曲がるボールは蹴れない(蹴れるかもしれないけれど少なくともプロの公式戦で蹴ったことはない)。だから、本田のクロスが曲がってゴール方向へ向かう心配をGKクルトワはしなくてもよかった。飛び出してボールをキャッチすることに集中できた。もし右利きの選手だとゴールに向かうボールになるからGKクルトワが飛び出すにはもっと勇気が必要だった。
②GKクルトワがボールをキャッチしに飛び出してきたとき、日本代表の選手は動きが止ってしまった。
トランジションの感覚の欠如で、ベルギーはGKクルトワがキャッチすると予測してデ・ブルイネ、ルカク、ムニエ、シャドリ、アザールの5人が走っていた。日本は一瞬止って一歩以上遅れた。このトランジションの欠如で昌子はシャドリに追いつけなかった。フィジカルではなく予測の問題だった。
このふたつが徹底されていれば最後のカウンターは不発だった。
ってことを協会のアナリストがきちんとやってくれたらいいなあ。1試合10時間くらい観るのだからね、それくらい気づいて欲しいよね。
コメントありがとうございます^^
ベルギーの10秒足らずの高速カウンターも準備していたら止められたはず。なんですが、残り30秒かそこらで勝ち越しのチャンスがあってのときに徹底するのはむずかしいです。疲労もあるし、経験も必要なので。
オランダの名門アヤックスでデータスタッフをやっている白井裕之氏など海外で活躍している知識と技術をもった方はたくさんいますからね。
最後のワンチャンスを迎えて打つ手は色々とあった、
時間がない中でリスク管理にもっと注意すべきだった、
決勝トーナメントを勝ち上がるには足りない部分があった、
もう一度ビデオを見直したいと思います。
イタリアのサッカー監督の仕事で1試合の分析に最低6時間かけるってあって、ほぼ1日中試合のビデオを見ていたんですよ。マニアックじゃないとつとまらない職業ですよね^^;;
私は分析のやり方は教わったけれど毎回はやってないです^^;;本業は編集者なので^^
ベルギーは2000年の自国開催のユーロで惨敗してから育成をしっかりして世界の強豪になってきた国なので、日本も育成に力をいれてほしいですね^^
私はあの試合を後半から見たのですが、2点先制してからの逆転負けはやっぱり残念でした。
でも、ベルギーからよく2点も先制したなぁ、という驚きもありました。4年後に期待ですね!