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ミラクルはめったに起こらないからミラクルなんだね

「レスターの奇跡 5000-1:The Leicester City Story How We Beat the Odds to Become Premier League Champions」ロブ・タナー著 タカ大丸訳

”ファンが試合当日に何かしたからと言って、ピッチ上の結果に影響を及ぼすことができるなどと考えるのは滑稽だが、だからと言って、ラッキーパンツやシャツを着用することを止めたり、試合前にいつものカフェやパブに立ち寄らなかったり、同じ道を通ってスタジアムに行くことをやめたり、同じ番号の椅子に座るのをやめるわけではない。ルーティンからほんの少し外れることによって、愛するチームに悪影響を及ぼすのが怖いのだ。非理性的もいいところだが、フットボールのファンはいかなるリスクも避けるのだ。つまらないことでフットボールの神や運命を怒らせるわけにはいかないのだ。”

レスター・シティが2015-16シーズンのプレミアリーグで奇跡の優勝を果たしてから2年。

ミラクルレスターを支えた中盤の要のカンテは、翌年移籍したチェルシーで2年連続の戴冠を経験し、今年のワールドカップでフランスの優勝に貢献した。

カウンターアタックの矢として活躍したヴァーディはイングランド代表としてワールドカップに出場して、3試合でピッチに立った。

ゴールマウスを守った正GKのシュマイケルはデンマーク代表としてワールドカップに出場して、4試合でピッチに立った。

セカンドアタッカーとして活躍した岡崎は、日本代表としてワールドカップに出場して、3試合でピッチに立った。

攻撃の魔術師のマフレズは今夏昨シーズン優勝チームのマンチェスター・シティに移籍金6000万ポンド(約89億円)で移籍。

中盤でチームのリズムを刻み続けたドリンクウォーターは昨夏チェルシーへ移籍。

最終ラインの壁として活躍したフートは怪我がちで今シーズン限りで退団している。

レスターと世界中のサッカーファンに「レスターが優勝するところを観たい」と思わせたレスター・シティのおとぎ話の再演はなかったけれども、チームの中心として活躍した選手たちはただ者でなかったことを証明した。

彼らを率いたラニエリ監督はレスター・シティを解任されたあと、フランスのナントで身の丈にあったサッカーでファンを喜ばせている。

世界一になるのがもっとも簡単な大会がワールドカップであるなら(7試合でチャンピオン)、各国のリーグ戦は年間36試合の長丁場だ。まぐれは存在しない。調子がいいときも悪いときもあって、乗り越えられなければ脱落する。

リーグ戦で優勝するためには、スキルがあり、スタミナがあり、メンタルの強さがあり、チームへの忠誠心が強く、ガッツがある選手を集める必要がある。だから、お金がかかり、レスター・シティ規模のクラブが優勝するのは不可能と思われていた。

「レスター・シティは奮闘し、イングランド・プレミアリーグ王者にふさわしい存在となった。おめでとう!」ポール・カガメ(ルワンダ大統領)

「よくやった、レスター・シティ。君たちはすべてのスポーツマンに、”本気で信じれば、夢とおとぎ話は実現する”と教えてくれた。素晴らしい物語だ。おめでとう」ジェイン・ワーン(クリケット選手)

「おめでとう、レスター・シティ! なんという偉業か。興奮と羨ましさで一杯だ。今は楽しんでくれ。報われて当然だ」アント・アンド・デック(英国のコメディアン)

「これはおとぎ話だ。フットボールだけが描けるもっとも美しい物語で、シーズン当初こんなことが可能だとは誰ひとり信じられなかった。この物語のおかげでレスターファンだけでなく、すべてのフットボールファンが幸せな気分を味わうことができた。これぞフットボールの魔術だ」ジャンニ・インファンティーノ(FIFA会長)

「アメリカン・スポーツでレスターの偉業は例えようがない。何かあるかい?」ブランドン・マッカーシー(MLB投手)

ラグビーワールドカップ2015イングランドで、優勝候補の南アフリカを破った日本もおとぎ話に例えられたが一発勝負であってレスター・シティの偉業とは次元が違う。ラニエリの言うとおり50年に一度くらいこういう奇跡が起こるのならあと一度奇跡が起こるのを観られるかどうか。

いつも応援しているクラブじゃないところのゲームを毎週楽しみにしていたのは久しぶりの経験だった。あれから2年。年間でどれだけサッカーのゲームを観ても、奇跡といわれるチームはなかなかでてこないね。

”正直に告白しなければならないが、レスターは何週も何週も勝ち続け、私の目の前でこれだけ圧倒的な勢いを見せつけながらも、まだ私はリーグ優勝できるとは思っていなかった。フットボールは私の血肉である。私はただひたすらフットボールに関わり続けて、プレーして、見続けていたかっただけだが、長年関わり続けて、もはやこのゲームにロマンの入り込む余地はないと植え付けられていた。私は間違っていた。2月にアウェイでマンチェスター・シティに勝ったとき、はじめて私は「ひょっとしたら行けるかもしれない」と感じはじめ、優勝争いにも挑戦できると思えるようになった。” ロブ・タナー



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2018/07/20 18:11
>Lilyさん
アップセットが起こるときは観客がみんな応援する雰囲気になっているのですね。
2015年に日本が南アフリカを破ったとき、観客が日本のプレーに湧いていて実況のアナウンサーが泣きそうでしたから。
レスターの優勝はリーグ戦で総当たりなのでずっとずっとむずかしいと言われていて、奇跡にふさわしいと思います。
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2018/07/18 21:47
ミラクルはめったに起きることではない。
みんなが分かっているからこそ、
応援する人の気持ちが乗り移ったような佳境の場面で、
全員が眼のあたりにすることができるスポーツのミラクルは、
得難く、興奮の坩堝に化すのでしょうね。








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