ふねふね～やかたぶね～

ふねふね～♪

愛い島や～

嵐吹くとも寒からじ、フジにまさる島を見ましませ

笠を忘れた丘の上　

甘し茶屋に駆け込めば

空が泣き出し思い出す　

あれが船かや沖漕ぐ船は

船でも遣らいで唄でやる♪

船に乗せてよと桟橋にきたら

なにそのカッコと船の窓から顔出して、エリックがびっくり仰天

だからボクは船に乗り込むなり、ことの次第をとろっとろと話したの

今日はねぇ、ダイスキなあにさんと逢ってたのさ

とってもやさしいお大尽様で、ボクとおんなじジャポニズムまにあ

おつきあい長かったんだよ

一年？　二年？　三年？

お店でご指名いつもしてくれて

ウキヨエ話で盛り上がって

カブキ談義に花咲かせて

ふざけてタカサゴ一緒に歌ったりしてた

とっても仲良くなったから

週末は決まってあにさんのおうちにおうかがいしてたよ

さすがのあにさんはサドーをたしなんでる

見事なお点前でもてなしてくださって、ボクはいっつもシアワセだったさ

あにさんの腕の中はとろんとしたオシルコみたいにあったかくって

寝心地最高だったよ

今日もいつもみたいにお邪魔したら

キッチョー餡のミズヨーカン出してくださった

おいしぃおいしぃって食べてる最中

あにさんたら、いい匂いのする絞りのキモノでくるんでくれたの

そうそうコレだよ

ねえみてよ～本物のオイランのキモノだよ～

すんごいでしょ

着て見せてっていうから言うとおりにしたら

きれいだねぇかわいいねぇって

あにさんいっぱい褒めてくれたよ

そんでねえ、着て帰りなさいっていうの

そんでねえ、いままでどうもありがとうだって

そんでねえ、ボクとはもうばいばいするんだって

なんかねえ、こんど遠い異国でお商売することになったから

今のお屋敷引き払って、お引っ越しするんだって

じゃあ一緒に行くって言ったらさ、ごめんねって頭撫でられた

あにさんねえ、ついこないだ、生粋のジャポン生まれの子と出会ったんだって

その子ものすごく綺麗なんだって、目をキラキラさせてたよ

染めてない、ホンモノのぬばだまの髪

黒曜石のような目に

陶磁器みたいなまっしろい肌

抱きしめると口に入れたワサンボンみたいに

ほんとに溶け合っちゃうらしいよ

異国には、その子とふたりで行くって言ってた

ウンメイノデアイってのを

とろけるような顔でえんえんと話してたさ

あー、ミズヨーカンおいしかったなー

あにさんの膝の上に寝転がってまた食べたいなー

どーしてボク、ジャポンの子に生まれなかったんだろ

せめてきったないぶち髪じゃなくて　染め染めなんてしないで

ほんとに髪が黒かったら……

あにさんボクを一緒に連れ……

「オシアン、ウラガスミケーキあるよ。食べる？」

　うひゃ？　

　ありがとエリックそれだいすき

　きみのこともだいすきあいしてる

　ああ、御銚子のお酒もちょうだいよ

　せち辛いやつおねがい～

　今日はのむよのみますのまれましたのめ……

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　オシアン：みうみ

　エリック：えりはるさん