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西郷どん 感想文

西郷どん 第45回「西郷立つ」
NHK 日曜夜8時~
▼秩禄処分
今回は、秩禄処分や廃刀令に反対する士族が各地で反乱を起こし、鹿児島の私学校では
政府から送り込まれた密偵の存在が明るみとなり、生徒たちが政府の火薬庫を襲撃、
西郷は密偵が持っていた西郷暗殺を命じる書付を見て、ついに立ち上がるというお話でした。
まずは士族の乱を引き起こした秩禄処分について考えてみたいと思います。
これは実は士族にとっては大きな死活問題でした。
それまで士族、つまり幕府や大名に仕えていた武士は、家格に応じた禄を生活費としていました。
家格の低い家ではそれだけでは足らず、農業や畜産などに従事していた例も多いですが、
明治初期には廃藩置県以降にもまだそのシステムが残っており、国庫の4割を充てていた
と言いますから、これはかなりの巨額で新政府の足かせになっていたと言えるでしょう。
しかも政府やその関連機関で働いているならともかく、働いていなくてももらえていたのです。
いわゆる既得権益ってやつですね。
それを政府は、期限付きで僅かな利子しか受け取れない公債と引き換えたのです。
これは抵抗されても仕方ないですが、一般市民からしてみれば、何もしないで金がもらえるのは、
どう考えても不公平ですし、生活保護かって言いたいくらいですよねw
ドラマで「どうやって生きていけばいいんだ」的なことを言っていた士族がいましたが、
つい画面に向かって「働けよ!」と言ってしまいましたよ。
とはいえ士族は土地も取り上げられたので農業ができるわけでなし、
上役以外に頭を下げることに慣れていないので商売にも向いていないし、
だから西郷が晩年、何も持たない士族たちのために、故郷で開墾に精を出し、
耕す田畑を与えようとしていたのかなと思います。

▼士族の乱
上記の秩禄処分と廃刀令が発せられたのが同じ明治9年で、食い扶持と矜持の両方を
一度に奪われることになってしまった士族の反発は、全国に広がり、
特に維新で活躍した西国の士族たちが不満を爆発させました。
熊本にて神風連の乱、福岡にて秋月の乱、萩にて萩の乱、すべて同月に起きました。
しかしどれも200~400人程度の規模の反乱でしたので、比較的短期間に鎮圧されました。
1つ1つ見ていくと長くなるので省略します。
どうして西国の士族ばかりが反乱を起こしたかというと、まず東国は戊辰で痛めつけられており、
政府に対して鬱屈はあるものの、立ち上がるほどの環境も気概もなかったのではないかと思います。
それに対し西国の士族たちは、自分たちは維新の功労者の1人であるという誇りがあり、
それなのに次々と既得権益や誇りを奪っていく政府に我慢がならなかったのではないでしょうか。
思うに、歴史においてプライドと宗教ほど人を殺した概念はないように思います。
この2つは、人が増えすぎないよう神が人に与えたもうた武器に思えて仕方ありません。
私自身は無宗教ですけどねw

▼しさつ
西郷が立った理由の1つに、私学校徒が鹿児島の火薬庫を襲い、弾薬を奪取した事件があります。
何故そんなものが鹿児島にあったかというと、元々薩摩藩で作っていたからです。
あと火薬庫は各地に散らばっていたので、1年は戦えると言われたほどの量の弾薬を
私学校徒に奪われましたが、政府が回収できた弾薬もあったのです。
もう1つの理由に、ドラマにも出ていましたが、川路が遣わした中原尚雄ら密偵の存在です。
ちなみに尚雄は「なおお」と読みます。ちょっと可愛いw
もう1つちなみに、川路を演じているのは25歳の泉澤祐希ですが、
この頃川路はもう40代なのに、泉澤が童顔のせいで、なんか笑っちゃいますねw
閑話休題。
ドラマで中原は、政府から受け取った「ボウズヲシサツセヨ」という電報を持ってましたが、
さすがに密偵がそんなものを懐に、敵中に入っていくのは愚の骨頂ですよね。
本当は中原は、なじみの谷口に「西郷をしさつするために戻ってきた」と言ったことから、
「しさつ」=「刺殺」だと思い込んだ私学校徒が、暗殺計画の実在を信じたようです。
後から中原も暗殺計画を自白したと言いますが、助かってしばらくしてからも
両手指に爪がなかったらしく、そこまで苛烈な拷問を受けたのなら、嘘の自白くらいしますよね。
実際中原は死ぬ間際に「しさつ」=「視察」だったと言い残したそうです。
ミステリーマニアから一言いわせてもらいますと、暗殺手段を刺殺に限定するのは不自然ですね。
撲殺、絞殺、毒殺、射殺等いろいろありますからね~。
なので中原は本当に「視察」に来たのだと思います。
しかし聞いた方が政府への不信感と、決起したいのに西郷自身が動かないいらだちとで、
自分達に都合のいいように解釈してしまったのでしょう。
ましてや拷問で引き出した情報など信じられたものではありません。
しかし今までの内容からして、西郷が決起を決意するというのは、キャラ変にも程があります。
長くなりましたのでこの件に関しては次回の感想に譲ります。

アバター
2018/12/08 15:58
残念ながら最近あまり読書はしておりませんw
以前はよく読んでいたのですが、ミステリーに偏ってましたw
結局今の知識のベースはドラマを見ながらネットで調べたことがほとんどです。
確か西南戦争の頃にはすでに、士族以外からも徴兵することになっていたと思いますが、
おっしゃる通り恐らくほとんどが士族だったのではないかと思います。
同じ国の士族でも思想の違いから争うこともありましたし、
戦国時代は武士同士で争っていたのですから、むしろ本分ではないかと。
アバター
2018/12/07 23:38
いつもドラマをみていますが、自分は浅慮すぎて、疑問ももたないままみています^^;miumiuさんの場合はいろんな角度から多角的に物事をとらえたり、疑問をもったりといつも、へぇーなるほどねーそういう見方もあるのかーと驚かされ、脱帽させられてます^^難しい言葉もよく知っておられて、よっぽどの読書量だと推測しています・・・^^
ドラマでは、士族が反乱おこしていますが、政府の軍人ももとはといえば、全国の士族から徴兵したものですよね?西南戦争では、士族と元士族(政府の軍人)同士の戦争ってことになるのかな!?



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