たまには、のんびり詩など④
- カテゴリ:小説/詩
- 2019/05/16 13:03:28
このひと 室生犀星
このひとに何か言ひ寄られたら
どんなふうに避(さ)けようか知ら
ことわり兼(か)ねる気もするし
ことわらずにはゐられないのだもの
ただ おねがいです
このひとが何もいはないでくれますやう
この人に恥(はぢ)をかかせたくないのです
馬のようにさびしい男
この詩の登場人物は女性と男性ですよね。
一応形態は、女性側からの気持ちを綴っている形です。
自分に好意を持ってくれている男性がいる。
告白はされてないけど、なんとなく彼の気持ちはわかっている。
<もし告白されちゃったら>
NOって言うのもちょっとだけど、
でも、君には恋の気持ちはないしなあ~
お願いだから、好きとか言うなよ、言うなよ、
気まずくなるのやだかんね~
と言った感じでしょうか?^^;
いやいや、まだ告られてもいないのに、勘違いして
先走ってるのは?
んなこと考えてるってばれたら、
「え、君のこと好きとか考えたことないし」と言われるかもしれない。
でもこの詩を実際に書いたのは、男である犀星です。
これは、犀星に実際好きな人がいて、
「もし俺が彼女に告ったら、たぶん断られるな。
彼女の俺への好意は、LOVEではなく、友情止まりだな」と
想像して書いた詩かもしれません。
それとも、
「もし男と女としての愛がなくても、『馬のようにさみしい男』と
俺を理解してくれ。いや理解してくれているのは君だけだ」と
めっちゃ回りくどいラブレターかもしれない。
いやいやいや、彼は結構もてる人だったから、
自分に好意を寄せている女性がいて、
キラキラの目で見つめられているんだけど、
彼には全くその気がなく、
でも本当に優しい人だから、
「待て待て待て。好きとか言うなよ。俺、応えられないから。
女性に恥、かかせるの嫌だからね」という警告詩?
なんだかいろいろ想像が広がって、楽しいです。