ビッグデータはクレジット情報を破壊する
- カテゴリ:仕事
- 2019/06/07 16:17:00
大学卒業後に海外の貧しい村で何年か働いて帰ってきたとして。クレジット情報ってどうやって作成されるか知ってる?
クレジット情報が何もないとクレジットカードも作れないし、ローンも組めないから、なにかと支障が出てくるよね。昔は保証人を立てたり、紹介状があったりしたものだけど、今はFacebookのソーシャルネットワークに基づく新しい種類のクレジット格付け機能が利用されている。
「あなたを支配し、社会を破壊するAI・ビッグデータの罠」キャシー・オニール著によると。
”フェイスブックでつながっているクラスメイトには、投資銀行家、博士号取得者、ソフトウェアデザイナーが何人もいる。「類は友を呼ぶ」の法則に基づいて分析すれば、彼は信用の置ける人物ということになる。だが逆に、治安の悪いイーストセントルイス市でハウスクリーニングの仕事を熱心にこなす人物がいたとしても、その人には無職の友人が大勢いて、そのうち何人かが刑務所に入っていたとしたら、同じ「類は友を呼ぶ」分析に足を引っ張られる可能性が高い。”
5月に有罪判決を受けた「ソーホーの詐欺師」アナ・デルヴィー(本名アナ・ソロキンは、ドイツの令嬢と偽り、著名人の名前を友人として出して信用させて、お金を騙し取ろうとした。これがビッグデータによるFacebook経由の判断だったとしたら穴だらけと言うことになる。
”2009年、クレジットカード会社のアメリカンエキスプレス(アメックス)社は、そのことを手痛い経験を通して学んだ。ちょうど大不況が混迷を深めようとしてる頃だった。おそらくアメックス社は、貸借対照表上のリスクを軽減する道を模索していたのだろう。一部の顧客を多少に、利用限度額を引き下げた。だが、大手クレジットカード会社はeスコア経済の非公式プレーヤーとは立場が異なる。限度額を引き下げるには、その理由を説明する書類を送付しなければならない。
ここで、アメックス社は反則技を使った。同社が送付した書類には、限度額引き下げの理由として、ある特定の施設で買い物をしたカード所有者は支払いを滞納する割合が高いから、と書かれていたのだ。統計学的に見て、単純明快に、買い物のパターンと債務不履行率とのあいだにはっきりとした相関があったというのだ。気の毒なアメックス利用者は、どの施設で買い物をするとクレジットが汚れるのか、自分で推測するしかなかった。週に1回、ウォルマートでまとめ買いをしたのがいけなかったのか? 滞納者の多い地域にある自動車整備工場でブレーキの修理をしたのがまずかったのか?”
この問題はニューヨークタイムズ紙に取り上げられるなど大騒ぎになって、アメックス社は特定の施設で買い物をしたから限度額を引き下げたわけではないと言い訳しなければならなかった。
データを集めるというのは一定割合のミスがかならず起こる。そのミスをどうやってリカバリーするか、準備ができていなければ会社そのものがなくなってしまうことになる。
一方日本では、グレーゾーン金利問題で弁護士が大騒ぎして過払い金返還請求を通した結果、本当にお金が必要な人たちはお金が借りられなくなってしまった。貸金業法の改正により、総量規制で年収の3分の1以上借金がある人はあらたに消費者金融からお金が借りられなくなってしまった。
借金が増えなければ借りていた人たちは真面目に働いて、生活が立て直せる?
そんな甘くはなくて、過払い金返還請求で返ってきたお金を使い果たして困ると闇金に流れただけだった。資本主義の世界ではリスクが高いときは利息を多く取るのは常識なので、返せない彼らには高利じゃなければお金は借りられない。
そして、貸金業法の総量規制では対象となっていない銀行や信用組合などは、銀行系列の金融業者を通してお金を貸しているって本末転倒なことになっている。
ものごとを一面からしかみないと社会はひどいことになるってことなんだよね。