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江戸は怨霊慰撫の街って知ってた? その7

紀伊国屋文左衛門は元禄期の商人で紀州のみかんを嵐の中、江戸へと運び、大金を得て材木商となったと言われる豪商で、同じ材木商の奈良屋茂左衛門との吉原での豪遊の逸話は有名だ。どちらも当代が亡くなると次の代から没落するというところでも共通している。

吉原での遊びも豪快で、「惣仕舞」「惣揚げ」と呼ばれる妓楼一軒貸し切りから、「大門を打つ」といった吉原そのものを貸し切ることもやったという。

「神の時空 五色不動の猛火」高田崇史著によると。

”彼らは、江戸の町中や吉原で大火が起こるたびに大儲けする。しかも、材木を江戸の家々に合うように最初から削り揃えていたというから、建築の手間もそれほどかからなかった。だから、明暦の大火では、一晩に百万両稼いだという噂もある。これは真実かどうか分からないけれど、空前の利益を上げたことは間違いない。
つまり材木商たちが吉原で散財したというのは、良く解釈すれば利益の還元、もしくは政治的な付け届け的な意味もあったんだろうと思うよ。何かあったらつぎもまたよろしくーというような。”

吉原は色事だけではなく、政治的な密談も数々行なわれた。そこで秘密を知ってしまった遊女はその後、不自然な死に方をしたり、行方不明になったり、年季が明けて江戸から出ていったりもした。

「QED 白山の頻闇」高田崇史著によると。

浄閑寺には小夜衣供養の地蔵尊がある。放火の罪を着せられて、火あぶりの刑となった。

”吉原京町一丁目、四つ目屋善蔵の抱え遊女だったが、妓楼に火を放った罪とらえられて、火炙りとなった。しかし、真犯人は他にいたのではないけと言われている。何故かというと、彼女の年忌法要の度に、その妓楼から火が出たからだ。
つまり......彼女の「祟り」というわけだ。
そして「祟る」ということは、彼女は強い恨みを持っていた。つまり無実だった可能性が高くなる。
「その結果、その妓楼は、廃業せざるを得なくなってしまったという。これは小夜衣の怨念のせいだと、江戸中の話題になった。
これはおそらく、小夜衣が罪を着せられて殺されたことを承知していた仲間たちが、わざと法要の時期を狙って火をつけたんじゃないかと俺は思ってる。そうやって、彼女の怨念を晴らしてあげていたんじゃないか。”

権力闘争や利権争いの秘密の話を、寝物語にしたこともあったに違いない。あるいはうっかり立ち聞きしてしまったり、お座敷で堂々と話してあとで都合が悪くなったこともあっただろう。

それでも吉原は悪所で、住んでいる人たちは平人ではない、カッパや天狗やきつねたち。だったら、燃やし尽くして新たな公共工事の場所にするっていうのはどうよ、ってことだったかもしれないね。

他のところから助けてもらうことができない彼らは、稲荷に頼ることになる。

つづく。

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2019/07/30 15:50
>ゆりかさん
こんにちは^^
江戸の川柳で「日に三箱散る山吹は花の江戸」とうものがあって、魚河岸、歌舞伎、吉原の三カ所で1日3000両が消費されると言われたそうです。
1000両が5000万円から1億円なので、3等分したとしてもそれくらいの価値ですね。
江戸で忘れてはならないのは、身分制度なんですよね。
人権が尊重されるなんてことはないから、弱いモノは踏みつけられるってことなんですよね。
だからこそ、歌舞伎や吉原の花魁は人気だったんだと思っています。
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2019/07/29 21:02
こんばんは、kiriさん。

吉原の豪遊…一晩でいくら使っているのか、想像もつきません^^;
ディズニーランドの貸し切りと、どちらが凄いのでしょう。

でも、『利益の還元』というのは、目から鱗でした。
景気も良くなりそうですね♪

吉原は、ブラックを通り越して、恐ろしすぎる職場環境なのがわかりました>_<




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