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江戸は怨霊慰撫の街って知ってた? その14

名にしおはばいざ言問はむ都鳥我が思ふひとはありやなしやと(伊勢物語九段『東下り』)

言問橋は隅田川に架かる橋で淺草と向島をつなぐ言問通りが通っている。淺草側は待乳山聖天の近く、向島側には牛島神社がある。

『新編武蔵風土記稿』によると、『牛御前社』今日の牛島神社は『本所および牛島の鎮守なり。(略)祭神・素戔嗚尊は束帯座像の画幅なり。(略)建長年中、淺草川より牛鬼のごとき異形のもの飛び出し、(略)当社に飛び入り、忽然として行方を知らず』と書かれている。

牛島は今の向島のことで、淺草川は隅田川のことだ。牛鬼が朝廷から『牛』と呼ばれたものであったなら、逃げ込んできたと話が通じる。

「QED 九段下の春」高田崇史著によると。

”浅草寺の僧に大いなる災いをもたらした者たちを、名指しで誰それとは言い難かった。何故ならば、そうなると、どうして彼らが暴れ込んで来たのかという理由も記さなくてはならなかったからじゃ。だが、全く無視してしまうには被害が大きすぎたし、事件は有名になりすぎてしまっていた。そこで『牛のごとき』怪異のものによる被害というとこにしてしまったのではないかな。”

言問もそんな地名があったわけではなく、謎とされている。

”『こっとい』あるいは『ことい』から来ている名前なんじゃないかと思っとる。
『特牛』と書いて、特に力強い牛、つまり暴れ雄牛という意味じゃ。
というのも、言問橋を淺草側から渡るとそこにあるのは『牛島神社』じゃからの。そそてその祭神は今も言ったように、素戔嗚尊、あるいは午頭天王ー。というわけで、全て『牛』に繋がる。ひょっとしたら業平は、そんなことも知っとって詠んだんじゃないかな。”

牛といえば、菅原道真が祀られる天神様のつかいとされている。

”撫で牛じゃな。道真が生前、牛をとても可愛がっていたとか、彼の遺体を運んだとかいう言い伝えが残っている。そんなことから、牛は天神様の使神と伝えられてきた。牛の性格は温順であり、機敏ではないが力強く、しかも一度自らの意志で、ある方向へと疾走を始めたら、なまなかの力ではこれを制止することはできない。また牛はこれを飼い慣らして使役に用いれば、田畑の耕作にも、物産の運搬にも、非常に役立つばかりか、その肉や乳は食用に、角や皮も人間の生活面に徴用されたのじゃ。こうした牛の有用性から、ウシは『大人(うし)』にも議せられてきたというわけじゃ。
人間から見ての牛は、その形が恐ろしいところから『憂し』の存在と見られてきたのじゃ。但しこれが妖怪の牛鬼となると、非常に河童的な性格が濃厚となる。島根県では牛鬼を海の妖怪といい、和歌山県や高知県では、川の深淵に棲む妖怪と考えた。兵庫県では牛に本膳を供え、安産を祈ると願いが叶うといわれた。おとしめられた牛に対し、貴人ー大人としての礼を尽くすことによって祈願の筋を聞き届けてもらう、という呪いじゃ。ちなみに、その『ウシ』を囲い込んでおく場所が、文字通り『牢』じゃな。
本当に牛が道真さんを手助けしたり、道を教えたり、遺体を運んだりしたーまあ実際に背中に乗せるくらいはしただろうがーと思っていたのかね。そんなことが実際に起こっておったら、それこそ全てお伽噺じゃよ。”

朝廷に滅ぼされてしまった製鉄民たちは土地を奪われ、牛として朝廷のために働かされた。天照大神は河伯で河童、素戔嗚尊は牛頭大王で牛だった。彼らが七夕に遭うと八王子が生まれてしまうから、七夕はかならず雨が降るように呪いがかけられていたってことだね。

つづく。

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2019/08/13 15:07
>菜乃さん
こんにちは^^
足は早くよくなるといいですね。
リハビリもつらいでしょうけれども筋肉がつけば歩けるようになるはずなので頑張ってくださいね。
PCのときはブルーライトカットの眼鏡を使っています。
少しで目を労らないとですね。
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2019/08/12 22:10
そうだったんですね
山の日忘れそうです(*^_^*)

登山したいけど、足が治るまで
ずっと
我慢しないといけないです、

眼の調子も悪いので
あんまりパソコンできないかもです。
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2019/08/10 23:40
>ゆりかさん
こんばんは。
古文書に残っている文書ではホントに怪異現象が起こったようなことがたくさんあるんですよね。
安倍晴明のことでも、式神をたくさん使っていたってあるけれど、常識で考えて下働きの人間がたくさんいたってことなので、読解力が必要ですね。
鯉となって逃げたは命乞いしたとかですね。

うしは昔から不思議で誰に聞いてもわからなかったのが大学の研究室でやっと解けました^^
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2019/08/09 10:20
こんにちは、kiriさん。

菅原道真が生前、牛を可愛がっていたとは知りませんでした。
天神様のつかいにまでなっていたのですね。

『牛のごとき』と表現したのは、そんな裏事情がありましたか。
うんうん、確かに私も、最初に聞いた時は怪異現象か何かだと思いました。
今も各地に伝わる怪異な話も、そういう隠された背景があるのかもしれませんね^^




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