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月下の幻視者-その6


洋の内外を問わず朱雀の好きなルナティックな作家は沢山
いるのですが、どうしても外せない人がいます。

その作家とは「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」と
いうフレーズで有名な梶井基次郎です。

そして基次郎の「Kの昇天」という短編小説は月光力を
うまく表現した見事なファンタジーになっています。

「Kの昇天」のあらすじを簡単に紹介すると、
主人公の友人Kが海で入水自殺をします。
その理由がわからず色々調べてみると、その日は月齢15.4の
満月の夜でした。
1ヶ月後に主人公がその海に行くと丁度、月の出がKの
自殺の直前にあたり、月はどんどん大きくなって海には
月の光の道ができてゆきます。
そしてその月光の道にのってKが月に昇天してゆくという
お話です。

実は朱雀は昔あることがあって、梶井基次郎と言う人に
ただ好きな作家と言う以上の特別な思いがあります。

月の行者になる夢を打ち砕かれた17歳の朱雀の鞄の中には
松岡正剛さんのプラネタリーブックスや帆船マークの
創元推理文庫と共に音楽雑誌・ROCKIN'ONが入ってました。

そんな朱雀は授業中ひたすらロックのミニコミ誌(死語)
作りに励み、家に帰れば「この指にはハンス・ベルメールの
魂が宿っている」とまた恐ろしい思い込みで人形創りに
勤しみ四谷シモンを勝手にライバル視しておりました。(笑)

で、休日は街中で自分の作った人形を売り、それで得た
わずかなお金を握り締めて朱雀の心の聖地「京都書院」へ
行くんです。

宝の山のような本を前に「火事になれ!そうなったらここの
本を全部持って逃げてやる」と毎度不埒な念仏を唱えながら
日長一日、好きな本の間をウロウロ彷徨い、その日買えた
数冊の本を抱きしめて帰るという日々を送っていました。

ある日朱雀はどうしても欲しい本が10冊ほどあって、でも
その日の持ち合わせで買えるのは精々2冊。
どれにしようかと散々悩みながら選ぶのですが、中々2冊に
絞ることが出来ず10冊の本を前に、随分と長い間迷って
いました。

やっとのこと2冊を選んで買うことにしたのですが、残り
の8冊を元の場所に戻すのが何故か嫌で、その本を順番に
積み上げたんです。

そうしたら凄く気持ち良くて、他にも欲しい本を引っぱり
出して来ては更にその上に積み上げました。(笑)

お気に入りの本で出来た塔はなんとも不思議に輝いて見え
そこには特別な空気が流れ、摩訶不思議な世界の扉が
こっそり開くのでは!と物凄くドキドキしたのを今でも
ハッキリ覚えています。

そして朱雀は積み上げた本をそのままにして書店を出、
ちっちゃな満足感と幽かな疼きを抱きしめて帰りました。

その数日後「桜の樹の下には」を読みたくて買った基次郎の
文庫本で小説「檸檬」を読み、それはもう感動しましたよ♪

「檸檬」には書店で画集を積み上げ奇怪で幻想的な城を
築き、その上に檸檬を乗せ、何食わぬ顔をして外に出る
場面が書かれていて
「丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けてきた
奇怪な悪魔が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を
中心として大爆発をするのだったらどんなに面白いだろう」
という結末になっていました。

その檸檬の草稿に『私はそれにこの上ない満足を感じた』と
書かれていて、さすがに朱雀は本の上に檸檬を置くことまで
考えは及びませんでしたが、ああ!同じなんだ~!!と
飛切り幸福な感動を味わったのを覚えています。

今日は梶井基次郎的感覚とはちと違いますが、月と対話
しているような気持ちで書いた詩をUP♪


「先夜のほどろ」


後れ毛 梳くうて そっぽ向き

微かに震える伏せ睫毛

「辛くはないの?」と、宵の月


若やる胸に絡ませた

好きと嫌いの綴れ織り

先夜の淵に咲く花を

見ては見ぬふり 気が揉める


不意にそぼ降る涙雨

雨音(あまね)に混じる透声に

「また会えるの?」と、霽の月


濡れて濡れて泣き濡れて

ぽつんと穿(う)げた胸の奥

先夜の真星(まぼし)に散る花の

儚き影が いと悲し


知らずに漏れた 溜息が

足元(あもと)に奔り 青鈍の海

「まだ恋しいの?」と、名残月


凛と結んだ桜桃(くちびる)の

かくのみ故に 恋ひやわたらむ

先夜の果(はて)に舞う花の

物狂おしい あで姿

#日記広場:日記

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2009/10/10 08:56
ふゆかさん

詩を読んで下さってありがとう。

朱雀は遊女や花魁の恋心みたいな創作的な詩は書くんですが、
あまり一般的な恋の詩を書くことは少ないんですね。

この詩はある方の詩の返歌というかコラボとして書いた詩なので
珍しく乙女の恋心を書いています。(笑)

恋をすると少女も女に変わりますから、ふゆかさんが感じて下さった
「しっとりとした湿度」と言う言葉がすごくうれしかったです。

ありがとうございます~。
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2009/10/09 22:03
『檸檬』のあの場面は,わたしもすごく印象的で好きです。
やってみたことはないけど…(^^ゞ
わたしは『檸檬』を国語の教科書で読んだんですけど(だからすご~く昔…),
それでも今でも,よく覚えてるくらいです。
果物屋さんの描写なんかも,暗い色調に果物の色が強く浮き上がってくるかのような,
なんか,力のある感じというか,
そんな感じだった気がします。懐かしいな。

詩,とても素敵ですね。
しっとりとした湿度があるような。
いいですねぇ…。
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2009/10/09 21:43
シンクさん

エネルギッシュですか?
朱雀はいつも好きなことをやってるだけだから…。(笑)

今はこのニコッとでシャチホコ釣りに全力注いでます。ハイ(爆)
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2009/10/09 20:46
高校のときのテキストで読んだ程度ですが,梶井基次郎という作家の文章には他とはちょっと違う,なぜか心惹かれるものがあったと記憶してます。

僕も高校生の頃はかなり本を読みました。
ジャンル問わず乱読しました。
それはもう必死になってというくらいに・・・。
きっと成長期にはよくあることなのかもしれません。

それにしても朱雀さんはエネルギッシュですねえ。
その行動力には感嘆します!!
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2009/10/09 19:19
りあさん

詩を読んで下さって、ありがとうございます。
朱雀の詩は頭が痛くなる人が多いので、体調の良い時に
またたまに読んでやってね~。(笑)

古本屋っていいですよね~。
大阪の梅田駅の高架下に「かっぱ横丁」というのがあるんですね。
そこに「古書のまち」というのがあって、14、5軒の古本屋さんが
並んでいるんですよ。

朱雀の好きな分野の本は、朱雀が夢中で読み出した頃には
すでに絶版というのも多く、よくそこに通いました。
独特の匂いと一癖もふた癖もありそうな店主がまた魅力的
でした。(笑)

今はもうインターネットで簡単に探せるので、全然行かなく
なりましたけどね~。
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2009/10/09 19:06
ミヤさん

関西では丸善は大阪と京都にあって朱雀もよく
画集や絵本を眺めに行ってました。

ミヤさんは医学書の専門店で働いていたんですか?
何だか難しそうですね~。

おお、「だだちゃ豆」!
先日、新潟から「茶豆」を送って貰って食べたのですが、
それとはまたちょっと種類がちがうのかなぁ?

「茶豆」もとてもおいしかったので、だだちゃ豆もきっと
おいしいんでしょうね~。

山形に行ったら食べるモノがまた増えた。(笑)
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2009/10/09 18:59
光源氏蛍 さん

朱雀はオタクじゃないのよフェチなのよ~。(笑)

高校生の頃は、いっぺんに色んなものに出会い、毎日それを
吸収するのに精一杯って感じでしたが、好きなことだけ夢中で
やれる時期なので、今思えば一番本を読んでいたんじゃない
かと思います。

光源氏蛍 さんは山岳部だったんですか?
朱雀はその頃、体が弱いと必要以上に先生達にアピールし
体育の授業をしょっちゅうサボっては保健室で好きな本を
読んでました。

確かに光源氏蛍さんとは随分違う高校時代だったと思います。(笑)

免許の再取得まで、もうあとひと踏ん張りですね。
このまま一気に登り切りましょう!!頑張って下さいね~♪
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2009/10/09 12:57
ああ、奇麗な詩です(*^-^)
絵がうかびました。

私は古本屋さんが好きで。
なんだか亜空間の秘密の部屋みたいな気分になります。
読むというよりも、たぶんそのビジュアルが好きなんですね。

好みな具合に年月を重ねた本を
やっぱり積み上げて楽しんだ事があります。
理由は朱雀たんとはちょっと違うと思うけどw
すごいこだわって積み上げてたら、お店のおじさんに笑われましたw
でも、それを許してくれてた店主の人が好きw
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2009/10/09 08:53
私は以前に医学書の専門店でパートしてたので「丸善」が懐かしく響きました。
書店や図書室の本の匂いや独特の雰囲気っていいですよね~
最近はニコタの方に時間を浪費してるので、なかなか本を読む時間が持てなくなってます(反省)

さて今度の山形雑談は、ちょっと時期外れになってしまいますが枝豆「だだちゃ豆」のお話です。
この「だだちゃ豆」は豆の風味と甘みが濃くて、その美味しさで有名になった豆の品種です。
「だだちゃ」とはこの豆の産地、山形の庄内(日本海側)で“お父さん”を意味するのですが
昔ある枝豆好きな殿様がこの豆を食べて美味しさに驚き、家来に「この豆はどこのだだちゃ(親父)が
作ったのか」と聞いたことから「だだちゃ豆」という名前になったそうです。
やっぱり生の枝豆の茹で立てが一番美味しいですが、今は冷凍豆の通販もありますので
朱雀さんがえだ豆好きなら、ぜひ一度食べてみて下さいね。
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2009/10/09 01:36
朱雀さんはかなり、「オタク」の世界のような、文学少女のようなハイティ-ン時代だったようですね

私の高校時代は、山歩き(山岳部だったから当然ですが)で身体を鍛えることが主眼でした。

でも、3000m級の山には低い山にはない、特別な素晴らしい世界であったと思います。

明日は普通2種免許の技能検定です、それさえ受かればタクシ-の乗務員の仕事に復帰できます。

8/5から始まった、免許再取得の長かった山登りも山頂まであと僅かのところまで来ました

応援してくださいね!

今日の長編詩は、私には難しくてあまり理解できませんでした。でも、17歳の頃の朱雀さんの

事がすこし解りました、私の高校生時代と大分違った人生を歩いておられたようです。




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