せん妄と傾眠
- カテゴリ:日記
- 2019/09/09 15:49:51
父の肝臓転移の症状が進んで、せん妄と傾眠が始まりました。
せん妄は、妹が病室に泊まったときにだけ出ました。
妹の話だと、誰もいない壁に向かってうなずいたり、急に立とうとしたり、何かをごちそうになって「いただきます」と手を合わせたりしたそうです。
それからは、傾眠がずっと続いています。
ずっと下顎を開きっぱなしにして、まぶたは薄く開いたまま、浅い呼吸をして眠っています。
1分間に4~5回ほど目を覚ますと、自分でもしっかり目覚めようとするかのように、目に力が戻りますが、すぐにまた、短い眠りに戻ります。
父の肺は、肺炎の影響で呼吸するための機能が衰えていますが、呼吸器さえあれば、呼吸苦になることはないそうです。
しかし、肝臓の数値が悪く、黄疸も出ており、あとはこのまま、ゆっくりと死を待つばかりとなりました。
もう先がないとわかり、母と私と妹で、父を埋葬する予定の寺に行きました。
お墓を買うお金もないし、私と妹は結婚していないので、永代供養にするためです。
共同墓を実際に見るのは初めてでした。
墓地の片隅に石造りの小さな箱型の建物があり、その中に、遺骨を納める穴と、骨壺を置いておく棚がありました。棚の中央には、石のお地蔵様がおりました。
墓標の代わりに、御影石の名札を建物に張り付けるのですが、名札が混みあってきたら、33年後に撤去するとのことでした。
今までお墓なんて無用の長物、家に遺影さえあれば十分じゃないかと考えていたのですが、実際に肉親が骨を土に返す場所を目にすると、やっぱり個人の墓はあった方がいいな…と思いました。
父の存在が、ひとつの建物にほかの誰かと一緒になって、あの暗い所で土に返っていくことが、とても寂しく感じられました。
でも、墓を準備するお金もないし、子孫もないから、守っていくことができません。
きっと父は、生まれ育った秋田県の実家に帰りたいだろうと思います。
遺骨をその家のお墓に入れてもらったらどうかと母に話したら、父の実家だった家は、今は父方の伯父の息子(私のいとこ)のものになっており、彼の家庭事情が複雑なため、先祖代々の墓が守られる保証はないとのことでした。
伯父は三人の息子をもうけましたが、三人とも嫁が強くて、一人は婿養子になっており、もう廃れたも同然なんだそうです…。
人の血筋に永遠はありませんが、先細る現実を知ると、複雑な心境です。
全部終わったら、父の遺影を持って、秋田の家とお墓へ行きたいと考えています。
父の思いだけでも、実家へ帰してあげたいので。