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将門って本当はどんな人だったの? その9

太政大臣藤原忠平の御教書に対して五ヵ国の解文をとって謀叛の疑いを晴らした将門だったが、常陸国の暴れ者藤原玄明を匿ったために謀叛へと突き進むことになる。

「物語の舞台を歩く 将門記」村上春樹著によると。

”常陸国(現、茨城県)に居住する藤原玄明は、国にとっては乱をおこす人物で、人民にとっては害悪となる者であった。農作物の収穫の時節になると、一町以上の広大な土地の収穫物を横領し、官納物に至っては、一束一把ほども納入しなかった。ややもすると、督促にきた国の使者をあなどって辱め、さらに、弱い人民をおびやかして略奪することもあり、その所業は夷狄(野蛮な異民族)よりも甚だしく、その節操は盗賊ともかわりがなかった。常陸国の長官である藤原維幾は、官納物を納入させるために、たびたび通達の文書を送ったが、玄明は逆らって拒むばかりで、決して国府に出頭しなかった。また、私的に居宅を構え、しかも居宅を構えたところから、強引に生産物を搾取して人民を虐げるなど、公の意向に背いて、極悪の所業を行なった。
ようやく維幾が、玄明のたび重なる違法行為に対する官符を得て追捕しようとしたが、その間に、玄明は妻子を引き連れて下総国豊田郡(現、茨城県結城郡八千代町・常総市・下妻市の各一部)に逃れた。その際、行きがけに盗み取った、行方・河内両郡(現、牛久沼周辺および東谷田川・西谷田川周辺)の不動倉の殻(籾)や糒などの数量が、郡司の注進した日記に記録されていた。そこで、玄明を捕らえて常陸国府へ送らせる内容の移牒が常陸国から下総国ならびに将門に送られた。なお、移牒は上下関係のない者の間で交わされる文書である。ここでは、国司が将門と移牒を交わすことが注目される。しかし将門は、逃亡したという理由をつけて、捕らえて引き渡そうとは考えていなかった。玄明は国にとっては宿敵となり、郡に対しては乱暴な悪行を重ね、街道の荷物を奪っては妻子を富ませ、人の財産を略奪しては従者を栄えさせた。
元来、将門は失意の人を助けたり、よるべのない者を世話して、力をつけていた。このとき、玄明らは、維幾の謀殺、あるいは合戦をしようと考えていた。玄明が、それを将門に話したところ、力を貸してもよいという様子であった。玄明は、いよいよ勇んで勝手気ままに振る舞い、維幾との合戦に向けて体勢を整えた。将門と玄明の内議が終わると、将門軍は下総国内の武器を集め、国外の兵をも徴発した。”

大河ドラマ「風と雲と虹と」では、藤原玄明をふたつの人格に分けて、陰のある玄明を草刈正雄、豪放磊落な玄道を宍戸錠が演じていて、横森久演じる藤原維幾を討ち果たす。ドラマでは玄明、玄道の兄弟は最初から味方となるが、将門記に書かれた玄明は極悪非道としか言いようがない。それでも、将門が匿ったのは国に対して抗う勢力を伸ばすためか、それとも将門記に書かれたことが騙りで、国司が悪辣であったかだろう。

玄明の追捕を取りやめるように将門は、維幾に伝えたが承知せず合戦となった。将門は常陸国軍3000人を討ち取り、1000人余りの随兵で国府を包囲した。維幾は降伏し、将門と玄明が定めたあやまった取り決めに屈服した。国印と国の倉庫の鍵は将門が奪い、維幾は追放された。高貴な身分の人たちや僧尼たちは残酷な辱めを受けた。

下総国の国庁を襲ったことで完全に謀叛と見なされることになる。

つづく。

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2019/11/12 10:22
>ゆりかさん
おはようございます^^
大河ドラマはレンタルしてきて観ましたよ。むかしむかしの作品なのでDVDもかなり劣化していて観られないところもありましたが。
将門を扱った映像で史実を追ってというのもは少ないので大河は貴重なものですね。
「風と雲と虹と」の草刈正雄は、極悪非道の土豪ではなく、忍者のような扱いで描かれてました。吉永小百合さんが都の姫君として出てきて、こんなひどい扱いで今だったらこんな役は出ないだろうなとか。
「炎立つ」で源頼義が石を叩いて刃こぼれをした刀で渡辺謙を切るシーンを覚えていて、源氏はちょっとって思っていましたよ。
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2019/11/10 10:15
こんにちは、kiriさん。

その7も、改めて読ませて頂きました^^
kiriさんは、大河ドラマもご覧になられているのですね。
生まれてない頃の作品なので、私はさっぱり知らなかったのですが面白そうです♪

大河『真田丸』では、真田昌幸を演じた草刈正雄さんが、ここにも出演されてましたか。
極悪非道な役どころ…気になります。
ドラマでは味方だから良い役なのでしょうか?
謀叛人となった将門がどうなるのか、続きも楽しみにしてますね(*^^*)




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