能力主義が平等になる理由 その2
- カテゴリ:仕事
- 2020/06/16 15:47:23
この世界で生きている人間は、それぞれ得意な能力があって、好きなことをやり続ければ能力を大きく伸ばすことができる。
「残酷な世界を生き延びるたったひとつの方法」橘玲著によると。
今わたしたちが生きている世界を著者はドラえもんの世界に置き換えて説明している。
”デキスギくんは学校でいちばん頭がいい。ジャイアンは身体が大きくて野球が得意だ。シズカちゃんはピアノが上手で、のび太くんはちょっと頼りないけれどとてもやさしい。”
ガードナーの「多重知能の論理」に当てはめると。
”デキスギくんは言語的知能と論理数学的知能に優れていて、ジャイアンは身体運動的知能、シズカちゃんは音楽的知能に秀でている。一見、なんの取り柄もなさそうなのび太くんも、高い対人的知能を持っている。ひとに共感する能力があったからこそ、ドラえもんはのび太くんのところへやってきたのだ。”
わたしたちが生きている世界の市場ルールは単純で、「働いてお金を稼がないと生きていくことはできない」
だから、自分が持っている能力を市場に投資してリターンをもらう。市場が求めている能力があり、その能力が高ければ大きなリターンを受けとることができる。
ジャイアンがプロ野球選手になったり、シズカちゃんが歌手やピアニストとなって世界中を飛び回ったりするなら、「好きこそものの上手なれ」でうまく得意なことを伸ばしてきたといえる。しかし、残念なことにこれらの能力はホントに抜きん出ていなければプロにはなれない。
”ジャイアンがゴジラ松井みたいな大リーガーになったり、シズカちゃんが安室みたいな人気歌手になれば富と名声が手に入るだろうけど、会社の野球チームでホームランを打ったり、カラオケ大会で優勝するくらいでは何の役にも立たない。
それに対して言語的知能や論理数学的知能は、他人よりちょっと優れているだけで労働市場で高く評価される。デキスギくんはノーベル賞を取るような天才科学者にはなれないかもしれないけど、医者や弁護士、大学教授、エリートサラリーマンとして安定した生活を送ることができるだろう。”
日本の教育はこの部分を目指して、言語的知能や論理数学的知能を高めるための教育をしてきた。教育は先生も生徒も真面目に取り組めばすべての人が能力を高めることができるマジックだとほとんどの人が信じていたのだ。
その結果、新井紀子氏が主張する「教科書が読めないこどもたち」がAIに取って代わられる職業すら満足にできないレベルでいることになる。目指す方向が間違っていたか、方法論が間違っていたか、間違っていないけれども努力が足りなかったかなのだろう。
つづく。