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能力主義が平等になる理由 その9

「ジェネレーションX」ダグラス・クープランド著によると。

マックジョブとは”サーヴィス分野における、低賃金、低地位、低尊厳、低恩恵、未来なしの仕事。満足できる職業を持ったことがない人によっては、しばしば満足すべき職業選択と考えられている。”

「残酷な世界を生き延びるたったひとつの方法」橘玲著によると。

マックジョブは、”すべての作業が厳密にマニュアル化されている。掃除だって例外ではなく、厨房や客席、トイレなどをどのような順番で、どの道具を使って何分で作業するのかが細かく指定されていた。それに従ってやってみると、たしかに時間どおりにぴったり終わる。バイトは二人一組で、いろんな人と組んだけれど、いちいち話し合ったりしなくても、誰と組んでも同じ仕事が規定の時間でちゃんとできた。”

「マクドナルド化する社会」の中で、社会学者のジョージ・リッツァは「マクドナルド化」も本質が、効率性、計算可能性、予測可能性、制御の4つだと考えた。

”効率性とは、ある点から別の点に移動する最適な方法のことだ。マクドナルドは消費者に、空腹から満腹に移動するために利用できる最適な方法を提供する。ある地点から別の地点へと来るまで移動する場合、車から降りずにハンバーガーが買えるドライブスルーはもっとも効率的な食事手段だ。
計算可能性は、食事を質(計算に適さない”は、おいしさ”など)ではなく、量や時間など計算可能なものに還元することだ。マクドナルドではビッグマックやダブルチーズバーガーなどの大きさ(量)と、商品を手渡すまでの迅速さ(時間)が重視される。
予測可能性とは、マクドナルドが提供する商品とサービスがどこでも同一だという保証だ。ニューヨークでも東京でも北京でもモスクワでも、エッグマフィンの味は変わらない。さらにマクドナルドの従業員は、世界じゅうどこでも同じように振る舞う。だから言葉がぜんぜん通じなくても、メニューを指差すだけで、どこの国でも自分の欲しいものを確実に手に入れることができる。「意外な驚きがどこにもない」ということに、大きな快適性の秘密が隠されている。
制御は「人間技能の人間によらない技術体系への置き換え」のことで、マクドナルド化した社会では、カンナで木を削ったり包丁で魚をおろすような修練の必要な技術は、誰でもすぐにできる非人間的技術体系にとって置き換えられていく。マクドナルドのドリンクマシンはカップがいっぱいになると自動的に止まるし、フレンチフライ機はポテトがカリカリに揚がったところでカゴを油から引き上げるようになっている。”

現代社会は合理化された空間から合理化された空間への移動で日常が成り立っている。特別すごいことは起こらないが、不快なことはおきない。合理性という檻の中での生活は退屈ではあるが快適さは約束されている。

夢を諦めるのはこの快適な仕事とともに生きていくことになる。





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