ついに
- カテゴリ:ペット/動物
- 2021/05/07 13:24:44
一週間ほど前から、調子が悪かった。ミニチュアダックスフントのりんごちゃん。
ごはんを食べ残すようになり、散歩も歩くのをしぶり、たまによろめいていた。
平成17年3月生まれだから、あれ…今16歳なのか。17歳かと思ってた。
昨夜帰宅して、母の部屋で寝ているりんごちゃんのおなかを触ったら、やけに張っていて固い感触がした。
翌朝、大好きな「いなば」のレトルトフードをあげるも、食べ残す。そのあと、背中を丸くして深刻な顔をしていた。
胃捻転か、胃拡張か。どちらにせよ一刻を争うので、病院に連れて行かなければならない。しかし、母と共同で使っている車は母が買い物に乗っていき、仕事が休みの妹は歯医者に行って留守。
抱いて歩いて行った。
初夏の暑い気温の中、35分かけて歩いた。足を止めたらその分手遅れになる気がして、必死に歩いた。
病院は混んでいた。看護師さんに容体を話してから30分後、診察室へ。
院長が腹部にエコーをかける。転がしてすぐ「あっ」と言った。
「腫瘍だね。大きい」
画面に写るまだらな灰色模様と、真っ黒な10センチほどの影。肝臓のおよそ3分の1が腫瘍に侵されているという。黒い影は、出血した血の塊だった。
瞼の腫瘍を取り除く手術をしてから、ずっと肝臓の数値が悪かったのだが、肝臓というのは一部が機能していれば、血液検査でよほど大きな数値が出ない限り、こんなふうに見過ごされてしまう臓器でもある。
もう少し発見が早かったら手術の手段もあったというが、どうしようもない。
大学病院で詳しい検査をすれば腫瘍の種類がわかるかもしれないが、ここまで大きいと手の施しようがないとのこと。
「じゃあ、いいです…。治らないのに検査してもしょうがないし」私は診察台の上に手をついて、体を支えるのがやっとだった。
「そうだね…。今後はゆっくり安静にして、そばにいてあげてください」
医師がこう言うということは、もう、本当に終わりが近づいているのだ。
狂犬病ワクチン接種が近いが、それはもうしなくてよいと言われた。
肝臓に負担がかかるのだろう。
いつ死んじゃうかわからないから、フィラリアの薬も1か月分だけもらった。
肝腫瘍があってもわりと長生きしたゴールデンレトリバーもいると院長は言ったが、楽観視できそうになかった。
痛み止めのステロイド注射しかできないのがつらかった。
外はいい天気だった。事実を知ったショックのあまり体に力が入らないので、迎えにきてもらおうと、近くの公園に行って母と妹に電話をかけた。何分コールしても出なかった。
安静にしろと言われたけど、りんごちゃんと少し歩いた。タンポポがたくさん咲いていた。りんごちゃんにはタンポポがよく似合う。
なんだか疲れてしまって、りんごちゃんをだっこして桜の木の下にあるベンチに座った。
人がいなくてよかった。ベンチでしばらくぼんやりしていた。
りんごちゃんは無垢そのもので、いつも通り風の匂いをかいでいた。私は少し泣いた。りんごちゃんを抱きしめて、顔を自分の顔に近づけて、言った。
「今までありがとう。よく頑張った。お父さんがもうじき迎えにくるから、あっちでもさみしくないよ。でもいいか、覚えておけよ。俺も死んだら必ず会いに行くから。俺のこと、虹の橋渡っても忘れないでよ。約束だよ。世界で一番大好きだよ」
臨終の父に言ったように、すらすら言えた。
それからしばらくして、母から電話が来た。事情を伝えて、迎えに来てもらうよう言った。母は友達と買い物を楽しんでいたようだが、迎えに来ると言った。
妹にもメールをした。りんごちゃんが長くないから、これからみんなで海へ行こうと。
海は、りんごちゃんが大好きな場所だ。生まれて初めて私たち家族と行った遠足の場所で、がんになって退院した父と訪れた場所で、毎年儀式のように私が妹とりんごちゃん、雑種犬のくり子と来ていた場所だ。
もし最期が近くなったら、どこへ行こうかとずっと考えていたが、家からあまり遠くないこの場所にした。りんごちゃんは海の子なのだと思っている。若い時は、浅瀬でちょっとだけ泳がせたらすいすい泳いだっけ。(もちろんリードを付けて、溺れないように私も手を貸して)
母と家に帰った直後、妹から電話がきて、もう一度事情を話し、すぐに海へ出かけることになった。最後の遠足だ。
りんごちゃんはうれしそうに歩いた。時々だるそうにしているのを見て抱っこすると、「降りる!」と言わんばかりに吠え、下ろすと、ゆっくりとだが楽しんで歩いていた。
母も妹も、父ががんで入院した時のように、やけに明るくふるまっていた。
帰り際砂浜で、私が少し泣いた時、母もせきを切ったように泣きだした。父のことを思い出したのと、りんごちゃんのお世話で夫を亡くした気を紛らわせていたのもあったから、支えがなくなるつらさもあったろう。
医師は余命を告げなかった。余命というのは計算で出るものじゃないし、命の制限時間は知らない方がいい。
私は、もって1か月か、7月ごろとみている。
こうなることを予測して、覚悟は決めていたつもりだけれど、だめだ。体に力が入らない。現実を受け入れきれないのかもしれない。
しっかりしなくては、と自分を叱咤するのはやめた。今はとりあえず、休みたい。明日もりんごちゃんと会えますように。
そうなんですよね、何もできないのが一番つらいです。
でもね、さっき病院行ってきて、ちょっと背中を押されたので行動してみようと思いました。
りんごちゃんの検査、してみようと思います。まだ容体は急変してないし、体力もあるので。
パミタンさんのように、やれるだけやってみたいです。
りんごちゃんお腹が張って気分が良くないのでしょね
でも少しだけでも食事できてるから良かったです
体調悪いと食べませんもの それだけでも聞いてホッとしました
犬は義務感でそうするのではなく、そうしたいからそうする、と思ってます。
飼い主が心配だから慰めなきゃ、ではなく…。
あえて甘えて見せて、思わず笑顔にさせてくれる存在。本当にいい子です。
ランもそうでした 私が心配してるの察して常に私にくっついてました
本当にワン子って気持ちを感じて寄り添ってくれるんですよね
りんごちゃんいい子いい子
無理はしてないです。大丈夫ですよ。
時たまつらい気持ちになりますが、りんごちゃんのそばにいられることの幸せをかみしめています。
今は、それでじゅうぶんです。
おっしゃる通りです。今まで以上にかけがえのない一日一日となりました。
昨日、今日と体調は安定していますが、楽観はできません。
長生きしてほしいけど、もう体がぼろぼろなんだなとわかるので…痛みがあるのに長くいてほしいというのはエゴだと思ってます。せめて、苦しまないようにと願うばかりです。
蒼雪さん 無理なさらないようにって言っても無理ですよね
お気持ちわかります
只々りんごちゃんが機嫌よく過ごせます様に祈っております
蒼雪さまの「明日」は りんごちゃんと過ごす大切な「明日」になりましたね。
どうか どうか りんごちゃんと蒼雪さまの大切な明日が
長く続きますように
お祈りしております。
ご家族そろって 海へ連れて行ってもらったりんごちゃん。
幸せが 生きるパワーに きっと なってくれてます!
そのお気持ちだけでじゅうぶんです。
こういうときの言葉は難しいですよね。長すぎても冗長、短すぎてもそっけない。
でも、ざくろさんの優しいお気持ちは伝わってきます。
いつもつたないブログを読んでくださって感謝です。コメントが欲しい時に必ず書いてくださる優しさも好きです。本当にありがとうございます。
りんごちゃん……。
りんごちゃんが蒼雪さんの支えになっているの、今までの日記からだけでもわかりすぎるくらいわかるので、なんといっていいのか言葉がありません。
出来るだけ長くりんごちゃんと一緒の日々を過ごせるように心からお祈りしてます。
昨日はFF14で遊ぶ約束、いきなりすっぽかす形になってごめんなさい。
泣いてくださってありがとうございます。そんな優しいトゥさんをたくさん信頼しています。
昨夜は、狩りのあと母とりんごちゃんと並んで寝ました。腹部が張ってつらいため、しょっちゅううなって落ち着かない様子でした。
ブログには7月までと予想したけど、もっと早いかもしれません。できることをしたいと思います。
私のりんごちゃんも、手術できないか院長に聞いてみたのですが、肝臓の大部分を取ってしまうと肝臓としての機能がなくなるから、できないとのことでした。
あのあとインターネットで肝腫瘍の手術について調べたのですが、野球ボールくらいの腫瘍の写真がいくつか見られました。
りんごちゃんも、あんな重たいのをおなかにかかえているとは…。食べる量が減って痩せてきているのに、体重は減らない。がんが太ってきているからです。
パミタンさんのランちゃんは手術ができて幸運でしたね。りんごちゃんは、これが運命なのだと思います。
がんばったなぁ。それに、ほんとに蒼雪さんたち家族と海が好きなんだなぁ。
メッセの行間に悲しみが沈んでいる気がしたんです。でも、いやいや勘違いだよ、昨日のお話かもしれない、なんて思っていました。そうであってほしかったけど、当たっちゃいましたね。どんなにかお辛いことでしょう。無理なさらず、休んで、泣いていいときです。わたしも泣いてしまいました。
気のすむまで、りんごちゃんのそばに、いっしょにいてください。気がすむことなんてないのかもしれませんが、それでも。
そしてゆっくり眠って、明日またりんごちゃんに会いましょう。
ランの肝腫瘍がわかってからの数ヶ月を思い出して胸が詰まってしまいます
肝臓は沈黙の臓器 7センチほどで痛がったりしないし元気だけど
かえって急変しないか見てるのが辛かったんです
まだ12歳でもあったし
そんな気持ちにも耐えられずのセカンドオピニオンで行き着いた手術でした
そんな経験をした後だけに言える言葉が見つかりません
ゴメンなさい