Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


5月25日

 午前10時ごろ、りんごちゃんを預けている大学病院の担当医から連絡が来る。

 今日血液検査をしたら、数値がやや思わしくなく、血栓ができやすい状態なので、最悪、麻酔中に死ぬかもしれないリスクがある、と言われた。

 じゃあやめていいんですか、と思わず聞くと、まずCTなど検査をしないと、今後の治療方針が決められないからやらざるを得ないと医師が言った。
 最終的な決断は飼い主にゆだねられるものの、ある意味有無を言わせぬ言い方に、私は「お願いします」としか言えなかった。

 確かに、これから緩和ケアをするにしても、どんな薬を使ったらいいのかとか、病気の実態がわからないと医療者もどうしようもないだろう。思わず逃げ腰になった自分を反省した。

 それからは気もそぞろで、気晴らしにゲームをやってもまったく集中できず、携帯ゲーム機でゲームのブログを読みながら、ひたすら緊張して電話が鳴るのを待った。
 恐怖に震えながら、麻酔中死んでしまったという連絡が来ませんようにと、ずっと祈った。

 いつ不吉な連絡が来るかわからないので、とても仕事に行けないと思った。私はメンタルに異常が出ると仕事もおろそかになり、ミスが多くなるので、今日は休む旨を伝えようと上司に電話をかけるも、なかなか出ない。仕方なく、メールで事情説明し、休むことを伝えた。

 午前中は曇っていたが、昼ごろ晴れてきた。急に、ごうごうと風がうなる。龍みたいな雲と、りんごちゃんそっくりの、たれ耳の犬みたいな雲が流れてきた。もしかしたら、りんごちゃんは空に帰るのかなと、ますます不安になった。
 風が吹く方角の空は明るく、薄い雲の重なりがいくつもあって、天国ってああいう所なのかと思った。どうかまだ連れていかないでくれ、病院ではなく家でみとらせてくれと、龍の形をした雲に祈った。

 そして午後4時ごろ、担当医から連絡が来た。今麻酔から覚めてぼんやりしているが、特に大きな問題はないとのこと。ほっとして、体から力が抜けた。生きてた…よかった…。
 検査結果は明日の午前中にもできるとのことで、明日に迎えに行くことになった。
 たぶんそこで、最悪の結果を聞かされると思う。でも今は、生きていることに感謝したい。明日もりんごちゃんに会えますように。




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