Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


6月7日

 7日付の午前0時ごろ、仕事から帰宅した。

 母の寝室をのぞくと、りんごちゃんが布団と犬用ベッドをまたがるようにして寝そべっていた。いつもと違う、不自然な寝方だった。

 明かりをつけ、近づいて様子を見ると、ふっ、ふっと短い呼吸。痛みをこらえていた。どうした、と声をかけながら体を触る。尻までなでると、肛門付近に固いものが触った。うんちだ。

 しっぽを持ち上げると、直径3センチほどの大きめのうんちがあった。母と寝ている時に催して、その場で力んで出したものの、力尽きて倒れこんだようである。

 りんごちゃんのおなかは、肥大した肝臓腫瘍のために、腹の皮が突っ張って妊婦さんのようになっている。排便でいきんだ時、腸だけでなく腹の皮や筋やらに負担がかかって痛みが出るのだろうか。
 
 5月31日に検査入院してから、りんごちゃんのうんちは臭くなくなっている。この時も、うっかり触った指は臭くなかった。食べ物のせいか、腫瘍のせいかはわからない。
 ともかく、うんちを片付ける。アルコールを使いたくないので、アルコール不使用というジョアンをスプレーし、敷いていたタオルを交換した。

 りんごちゃんは、まだおなかが痛いのか、短い呼吸は収まらなかった。母にくっついて寝そべり、じっとしていた。
 先月も、排便による痛みで動けなくなったことがあったが、あの時ほどではなかったので、心配しつつも私も横になった。
 
 午前4時、何かの夢を見て目を覚ますと、目の前にりんごちゃんの顔があった。
短い呼吸は続いていた。具合が悪いから、体をさすってほしいらしい。助けてくれ、と丸い目が訴えているようだった。

 少しでも楽になるよう、頭からお尻までゆっくりなでた。わき腹は、3本の指先でくるくると円を描くようにマッサージする。腫瘍に響かないよう、皮膚を動かす感じでやった。
 時々、手のひらを腹に当てて、手のひらが痛みを感じるところを見つけたら、じっと手を置く。痛みが自分の方へ来るようにイメージする。
 それを繰り返していたら、ふーっと、りんごちゃんが深呼吸するようになった。深呼吸できるようになったら、だいぶ楽になってきた証拠。もう少しだ。

 30分ほどやっていたら、りんごちゃんが離れて、私の足元で寝そべった。もういいよ、ということだろう。私も力尽きて寝た。
 翌朝は、呼吸は落ち着いていた。表情も険しさはない。薬も食事も食べてくれた。本当に良かった。

 私がりんごちゃんと寝るようになったのは、悪性腫瘍と一度診断されてから、夜中に万が一のことがあった場合、対処できるようにということがひとつ。
 一緒にいられる時間を大切にしたいということも、ひとつ。

 そして、苦痛を共有しないと申し訳ない、という気持ちもある。申し訳ないという表現は、いまいち合っていないが、そうとしか言いようがない。

 父が亡くなる1カ月ほどの入院中、母はよく「お父さんに申し訳ない」と言っていた。それは不適切な表現だと私は言ったが、今ならわかる。
 相手にすまない、という気持ちではない。こっちは元気でごめんなさいという「申し訳なさ」、一緒にいることで相手の痛みをこちらも感じ取り、共感することでやわらげたいという祈りのようなもの、と言えばいいのか。

 この日記を書いて1カ月、毎日りんごちゃんの排便と痛みについて書いている。
 膨らんだおなかは見ていてつらいのだけども、前のように泣きたくなることはなくなった。この生活が日常になっている。
 
 ここ最近、りんごちゃんの左側の下唇にある小さな腫瘍が少しずつ伸びてきて、こっちも心配である。
 皮膚の良性腫瘍は命に別条がないとはいえ、見た目が気持ち悪い。肝臓の手術のついでにこれも切ってほしいけど、さすがに無理だろうな。

 明日もりんごちゃんに会えますように。
 
 

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2021/06/09 08:31
パミタンさん、ありがとうございます。

そうですよね、どこの病院も同じ。まずリスクありきですから。クレーム来ても困りますもんね。

パミタンさん、おっしゃる通りですね。がんばれるな、じゃなくて「大丈夫」。まず私が信じなきゃ。
うん、確かに心配されてます。昨日もそんな感じでした。なんとなく私にくっついてきて。
逆に、「別れのあいさつかも…」と悲観的に考えてしまいます。励ましてくれてるんですよね。きっと。

心強いお言葉、本当にありがとうございます。今はとにかく、信じるしかないですね。
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2021/06/08 22:00
蒼雪さん 決まったのですねりんごちゃんの術日
希望と増す不安とで気持ちが落ち着かないでしよ
(私も最悪の事態が常に頭から離れませんでしたがこの子の為にやれることをの気持ちだけで乗り切りました)
だって病院で言われることは最悪の事態のことばかりですものね
(私も言われました 術中に大出血 術中に血栓 終わっても麻酔が覚めない 覚醒しても血圧が下がる あと術後の出血等等)

でもここまで来たらですね
あとりんごちゃんに 頑張れるよな?じゃなくて大丈夫だよ!ってね

なんだか蒼雪さんがりんごちゃんに心配されてる見たい
ランがそうでした私から片時も離れませんでしたもの

勝算がなければ先生も手術しませんよ
そのことだけ信じましょうよね
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2021/06/08 08:46
パミタンさん、ありがとうございます。

はい、状況が先月の排便時と似ていたので、たぶんそうだと思います。
腹部の膨張は、大きな腫瘍のせいです。記事にも書きましたが、CTで輪切りにした様子がししゃもの卵そっくりでした。腹腔をうめつくすほどの肥大化で、外科医も「よくここまで育ったな」と言ってました。

腹部のほかの腫瘍については、話すタイミングがあれば聞いてみようと思ってます。
さすがに唇の腫瘍は無理だろうと思ってます。口は雑菌が多いので、ついでにできるところじゃないと、今はもうない別のかかりつけ医に言われたことがありました。
でも、ちょっと伸びるスピードが速いようなので、一応相談してみます。
パミタンさんのランちゃんも、そういう理由でダメだしされたのでしょうね。おなか切るだけでも大変なことですし。ランちゃんの手術成功して、本当に良かったです。
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2021/06/07 21:58
蒼雪さん りんごちゃん良いうんちだったのならいきんだ直後だったのかもしれませんね
でもお腹が膨らんでるのは気がかりですね

ランは腫瘍切除の時 術時膀胱結石とポリープも切除お願いしたら
体力を見ながらできたら行いますって 
結果同じ体内の事ではありお腹いっぱい上から下まで切ることになりましたが
一緒に切除してもらえました 
ついでに抜歯もって言ったら流石にこれはダメでした(^┰^;)ゞ

ダメもとで聞いて見られたら?



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