Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


帰れない

 午後4時ごろに輸血が終わるので迎えに来てほしいと病院側から言われ、時間通りに行ったら、担当の外科医が「りんごちゃん、熱があって処置をしたいから一晩入院させてください」と言った。


 なんだそりゃ…。私は絶句した。
 午前中の血液検査で血糖値が低くなっていったのは、感染症が起きていて、闘うために糖が使われているからだろう、と外科医は言った。

 解熱剤を家で飲ませて治るものではないのだ。それほどまでに、状態は悪いということだろう…。
 朝、車から病院に入る時、りんごちゃんは自分で歩いたのだが、一瞬ふらついた。具合が悪かったのだ。

 早く家に連れて帰りたい一心で来たのに、どうしてこう、うまくいかないのだろう。

 私は渋々、承諾した。入院手続き(紙一枚に自分とペットの名前や電話番号などを書くだけ)をし、一緒に来た母に事情を話してから、車に乗り込んだ。

 輸血が終わったら、低血糖を防ぐための点滴やら抗生剤投与などの処置をされるのだろう。
 低血糖になると、生き物は死ぬ。発熱も大変だが、どんどん下がる血糖値をなんとかしないといけないのに、りんごちゃんの体は命を維持できなくなりつつある。

 がんばれよ、りんごちゃん、がんばれよ。
 家に帰る前、運転席で私は何度も大きな声で言った。
 明日の午後4時にはお返ししますから、と外科医は言ったが、不安は募る。
 どうか無事で。
 遺体で帰ってこないことを、ひたすら祈る。

#日記広場:ペット/動物




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