どうにもならない
- カテゴリ:ペット/動物
- 2021/06/22 00:53:32
20日、りんごちゃんが激しい腹痛を起こす。
3日前から食欲不振だったが、19日は食欲を見せたので多めに缶詰やおやつをあげたのがいけなかったかもしれない。
巨大な肝腫瘍のため、排便がされずガスが溜まり、腸閉塞を起こしかけていたのだろう。何度もおならをし、ぐったりとうつ伏せになっていた。
大学病院は日曜なので休み。かかりつけ医は、恐らく何もしてくれないだろう。
様子を見るしかなかった。
幸い、午後4時ごろには回復した。それまでに、何度か少ないながら便をしたので、少しだが楽になったのだろう。缶詰もほんの少し食べる。
21日、朝一で大学病院へ行く。行くときは吠える元気があったが、血液検査の結果はかんばしくない。
担当の内科医は、投薬した強めの抗生剤が効いてない、と言った。肝臓腫瘍内で壊死した細胞と血液が、毒素をまいているから、それに白血球が大量に作られているとのこと。
別の薬剤も合わせて量を倍にして、もう一週間だけ様子を見るけど、もし途中で具合悪くなったらすぐ連絡ください、と言う。20日の様子を伝えた時、すぐ腸閉塞が疑われたのだろう。一応、整腸剤も出すけどとは言ったが、そういう問題でもない状態なのかもしれない。
そして、また血液検査をして状態が良くならなければ、一か八か、中の体液を抜くかもしれない、と言った。
年齢的、体力的に手術できないから、それが最後の抵抗に思えて仕方なかった。
21日仕事を終えて、日付変更後に深夜帰宅する。毎日、家に明かりがついていないか不安だ。明かりがついていたら、母が起きているということであり、りんごちゃんに何かあったということでもあるから。
鍵を開け、中に入ると、玄関に置いてある犬用トイレや廊下を確かめる。りんごちゃんが倒れていないかどうかを。
いないので、母の寝室を見る。母の隣でりんごちゃんが横たわっている。近づいて息をしているか見てみる。ぐっすり眠っていた。やっと安心した。
食卓には、りんごちゃんが食事に使っている人間用の茶碗がある。午後、仕事に行く前に缶詰とサツマイモをふかしたものをつぶして与えたが、残していたので、腹が減ったらあげてくれと母に頼んでいた。
茶碗がきれいになっているということは、食べたのだ。しかも、冷蔵庫に保管していた缶詰の残りもなかった。朝と昼、ほとんど食べていなかったから、一度に食べたらしい。
またおなかが痛くならないか心配になるが、今、うならずに眠っているのなら、整腸剤などが効いてくれているのかもしれない。
21日に気付いたが、りんごちゃんの首の後ろに1センチほどのかさぶたがあった。皮膚腫瘍が大きくなって自壊し、かさができたのだ。しかし、腹の調子のことだけで頭がいっぱいで、医師に伝える暇がなかった。
手術ができたら、と毎日のように考える。
21日、検査結果を待っていたら、手術室があるだろう通路から男性医師が待合室にいる夫婦を呼んだ。夫が妻に誰か呼んでくるように言い、妻がかなり慌てて待合室から出て行った。外で待っていたのだろう、母親らしき女性とともに戻ってきた。母親は、娘の腕につかまって、3人で通路の向こうへ消えて行った。
それから、りんごちゃんの診察が終わっても出てくることはなかった。たぶん、手術中に最悪の事態があったのかもしれない。
もし、りんごちゃんに無理して手術を受けさせたら、この3人と同じ思いをしなければならないのだ…。
また28日に大学病院へ行く。治るかどうかの見込みはない。その時、できる最善のことをするだけだ。
治らないのに、治療につぎこむお金はむなしい。だが、治療を諦めるわけにはいかない。りんごちゃんが最悪、腸閉塞で苦しんで、手術もできないとなったら安楽死しか道はない。そうならないように、道を探りながら医師とともに一手一手を打つしかない。
費やされる時間やお金がもったいないと思うなら、治療をやめたほうがいいと考えた時があった。
でも今は、りんごちゃんが私たちから離れるまでの間、やれるだけのことをやらせてくれる時間なのだと気付いた。
なんにもできなかった、と泣くことぐらい、つらいことはないのだから。