Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


1週間入院

27日、かかりつけ医院でフィラリアの薬をもらいに行く。

院長にりんごちゃんの検査結果や今の状態を少し話す。手術できない状態で、抗生剤を飲ませて腫瘍内の炎症を抑える処置をしているというと、うーんとうなっていた。
薬は1か月分だけもらい、また様子を見せにくるように言われた。

帰り際、シリンジ(注射器)が買えないか会計をしたスタッフに聞くと、使用済みで消毒してある注射器を無料でたくさんくれた。100円ショップで化粧品注入用の似たようなのを買ったのを後悔する。

その日もりんごちゃんの食欲はなく、チーズ蒸しケーキを丸めたものに薬を入れて、なんとか食べてもらう。
その際、昔やったみたいに放り投げてキャッチする遊びをする。覚えていたようで、頑張って取ろうとしたり、フェイントにひっかかったりしたが、楽しんで食べてくれた。

28日。大学病院に行く。血液検査の結果は、良くなっていなかった。今すぐ死ぬような状態ではないが、また血糖値が下がり、貧血が起きていると担当の内科医に言われた。
飢餓によるものではなく、肝機能に関係あるとのことだが、腹水に滞留している内容を調べないと詳しい原因がわからない。

針を刺して吸い取りたいが、傷がすぐふさがらずに液が体内にもれると腹膜炎を起こして苦しむので、医師側もためらっているとのこと。
また、似たような症例で同じ措置をしたケースでは、その後が良くならなかったことが多いらしい。状態が改善しなかったり、腹膜炎を起こしたりということで、やはり、外科手術で病巣を取り出さないと解決できないのだ。

倍にした抗生剤も、服薬では効果が薄いようなので、現在取れる方法は、1週間入院して抗生剤点滴や輸血をする、ということだった。

肝機能が万全ではないのと、16歳という年齢のために、手術はかなりリスクがあるが、針を刺して腹水を取る措置をして、もし血が漏れるようなら、一か八かで腹を開けて措置をする、と言われた。

1週間入院というのは、今週の病院側のスケジュールに空きがないためで、その間、家での投薬より入院の方がいいだろうという。
しかしこれも、16歳だからいつ死ぬかわからないので、入院中に死ぬかもしれない。(だから)強く勧めることはできない、と内科医は言った。

りんごちゃんはずっと腹が痛い。ここ1週間余りで、わき腹が不自然にふくれてきている。
食事も取れず、はあはあ苦しそうに息をすることもある。腹を触ると痛がる。
腹が限界までふくれたせいで、消化器官が後ろへ追いやられ、隙間を通じてかろうじて消化、排せつをしているらしい。
このまま家で薬を飲ませても、どうにもならない。何もしなければ長くない状態なので、病院の措置に任せようと思った。
この「長くない」とは、どのくらいの期間を言うのだろう。1週間かそこらなのか。それほどりんごちゃんの体は良くないのか。まだ声もしっかりして、歩けるのに、入院中死ぬかもしれないとまで念を押されるくらいに…。

いつものように入院の手続きの書類を書く。入院中、何かあったら手術するという同意も書く。
書き終わって診察室の向こう側につながるドアを見ると、処置室にあるケージにりんごちゃんが入っているのが見えた。
おとなしく伏せてこちらを見ている。内科医が配慮して、りんごちゃんをケージから連れてきてくれた。なんだか、今生の別れみたいで嫌だったが、軽くなでて小さく「がんばれよ」と言った。それしかできなかった。
長い1週間になりそうだ。




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