Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


医師は匙を投げる時こう言う

 6日。

 午前1時ごろ、りんごちゃんが激しくうなり、肩で息をして苦しみ始める。
 30分前に、おなかをすかせているようだったので、ロイヤルカナンのロウファットリキッドを20ミリリットル、ゼリーちゅーるを2本与えていた。これだけで激しい腹痛を起こすものだろうか。
 しかし、母に話を聞けば、母もそれ以前にドギーマン沙のキューブを5個ほど与えていたという。
 今までのりんごちゃんなら、どうということはない量だ。でも今は、それすらも大ダメージになるほど胃腸が細く弱ってきているということだろう。

 時々落ち着かないようにうろついて、畳の上に伏せて荒い息を繰り返す。その声が切なくて、私は夜通し体をなでて励ましていたが、この日は仕事なので、眠らないといけない。
 気がかりなまま3度うとうとした。3度とも、大学病院に行って治療を受けさせる夢を見た。診察台に乗ったりんごちゃんは見上げるほど大きく、毛がない胸に太い点滴の針を刺すが、針が出て刺し直すというシュールな内容だった。

 朝、5時ごろ目が覚めて様子を見る。夜中よりは息が落ち着いていたが、まだハアハア言っている。
 腹全体に広がった内出血はきれいになっておらず、歯茎も白っぽい。この件について、実は昨日大学病院に行こうと考えていたのだが、原因はわかっているので行かなかった。
 内出血の広がりは、肝臓腫瘍の針検診の際、針を刺した所がふさがらないからで、貧血もそのためである。
 穴が開いたままで輸血をしても駄々もれになるだけだし、腹痛も、胃腸の滞留物が排せつされれば、じきに収まる。呼吸の荒さは、貧血も関係しているだろう。
 ネットで調べたから、それは間違いなく、のちに間違いではないことを知る。
 だが、腹痛が腹膜炎である可能性も捨てきれないので、今日、アポなしだが病院に行ってみることにした。

 前回の入院で支払えなかったリキッド6本分の代金を支払う目的もある。受付の人は2人いるが、2人ともどこか抜けていて、対応は親切なのだが、何かしらやらかしてくる。
 リキッド代は入院費の請求書に入っておらず、後日支払うことになってしまっていた。1日にりんごちゃんを迎えに行って、帰ってきてからかかってきた電話は、その件だった。

 到着して受付に行き、来た旨を伝えると、担当医に聞いてみるというので少し待つ。
 ほどなくして、診てくれるというので、母と車で待っていたりんごちゃんを、キャリーバッグに入れて連れて行った。

 呼ばれて診察室に入ると、なんだか医師の空気が冷たく感じられた。何で来たんだろうな、という雰囲気。
 医師に説明して、りんごちゃんのおなかを見てもらうが、うーんと言うばかり。
 血が止まりにくい状態であることを承知で針検診したのは、やっぱりこうなるよなあ…ああ、やらなきゃよかった、と彼は考えていたことだろう。
 予想通りとはいえ、彼としても忸怩たる思いだった…と思いたい。

 そして医師は、どうにかして私に治療を諦めさせようとしてきた。私が言う前に、輸血は無理だと言った。
 どうしてもしてほしいなら(またこの言い回しかよ)病院に相談して考えるが、もし交通事故とかで犬が搬送されてきたら、りんごちゃんは後回しになってしまいます、と。
 
 うんうん、わかってるよ。ただ私は、広範囲の内出血がこのまま残り続けるのか、ということと、腹痛が腹膜炎じゃないのかを知りたかっただけだ。
 前回、良い先生かもなあと思ったことを撤回したくなってきた。なかなか、親身になってくれる医師というのはいないらしい。

 私の質問に、医師はその通りだと答えた。このまま失血が続いて、貧血で死ぬか、肝機能が完全にダメになって死ぬか。わかりきった答えを聞くのも嫌だったので、私はそれ以上聞かなかった。

 加えて、診察台に乗っているりんごちゃんが、ぐったりしていないこともあり、医師側の不審に拍車をかけたようだった。
 息が荒かったりんごちゃんだが、ここに来る車中では半分以上の時間を吠えていたし、それだけ見れば大丈夫そうには見えるのである。
 それに、5日は一日中落ち着いていて、私も久しぶりにほっとしていた。食べ過ぎなければ、この状態を保てるのかもしれない。

 気休めに過ぎないが、肝機能を助ける薬も出すと言って、診察は終わった。キャリーバッグにりんごちゃんを入れるのを手伝ってくれたのが、彼の良心だっただろうか。

 あとは座して死を待つべしか。
 りんごちゃんのおなかに負担がかからないよう、食事は液体食を少量、回数を分けてあげること、と医師に言われた。うん、うん、そんなことはわかっているよ。
 もらった薬がなくなったら、またここに来る必要があるのか、今度は行く前に電話で確かめてみよう。
 来なくていい、と言われたら、それはそれでほっとするような気がする。
 というか、もう行きたくないな(笑)。
 
 帰宅して、キャリーバッグからりんごちゃんを出そうとしたが、疲れたのか出てこなかった。居間に置いて、そっとしておくと、すぐにうとうとし始めた。夜中はずっと眠れなかったから、ぐっすり眠ってほしい。
 そしてこの記事を書き終わる現在は、バッグから出て座布団の上でうとうとしている。呼吸は落ち着いている。良かった。
 このまま穏やかな状態が続きますように。

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2021/07/13 08:33
パミタンさん、ありがとうございます。

体験談ありがとうございます。とても参考になります。
りんごちゃんは、まだ頑張ってますよ。ふらついたり、数歩しか歩けずへばってしまいますが、意識はしっかりあります。
まだ大丈夫、まだ生きている、それが救いでもあり、苦悩の日々でもあります。一番つらいのはりんごちゃんですから。複雑な気持ちです。
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2021/07/11 21:06
蒼雪さん りんごちゃん立てなくなった時が怖いですね


ケースが違うので何とも・・なのですが
仲のよかった老犬(17歳)の話です
暫く足がふらつきよろよろとしてたけど
老犬なので病院はもう無理に連れてかないのご家族の判断でした
その子が急に立てなくなり自力で何もできなくなりました
意識はありいつも寂しがってか誰かについていて欲しがってました
立てなくなってからは身体を動かす体力も無くなり頭を上げる力も無くなっていきました
(それでもね 会いにいくとちゃんとわかってくれるんですよ)
立てなくなってから数日でした・・・
だから私立てなくなくなるのが怖いんです
反対を言えば お、立ててる立ててるなのです


あいも変わらず私の思いばかりですね ゴメンなさい
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2021/07/11 09:11
パミタンさん、ありがとうございます。

そうですね、もう大学病院は行かないことにしました。
ただ、以前りんごちゃんが激しい腹痛を起こしてかかりつけ医に行った時、大学病院へ行けって言われて、診察料だけはきっちり取られたのがトラウマになってるんですよ。
その二度手間を考えたら、最初は大学病院へって考えました。でも、もう行かないことにしました。
その必要がなくなったので。
あとは見守るだけです。
パミタンさんのお気遣い、ありがたいです。迷惑なんかじゃないですよ。いつもコメントくださってありがとうございます。感謝です。
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2021/07/11 09:08
じゅらさん、ありがとうございます。

はい、おっしゃる通りです。もうできることが、そばにいることしかないので。
そして、もう、その段階に来ています。あとどのくらいかわからないけれど、なるべく時間を無駄にしないようにしたいです。
お気遣い、感謝です。ありがとうございます。
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2021/07/09 21:23
蒼雪さん りんごちゃん緩和ケアできないのいでしょうかね
緩和ケア大学病院より個人病院の方が出来そうな・・
家のかかりつけは大きな手術は出来ない代わり緩和ケアをうたってます

ランの時 目的が治すの病院と維持の病院経験しましたが入院するにしても違いました
(前者は点滴の邪魔だから何も持たせないで面会はちょっと見るだけ 
 後者は安心するようにお家の物を面会はいつでもゆっくりどうぞ等等の違いです)

こんなこと改めて言わなくても考えていらしゃると思いますけど・・
(りんごちゃんのかかりつけさんのことがわからないので・・なのですが)
これからは気になることがあった時すぐに行けるかかりつけさんに相談される方がと思います
心配を抱えてるの精神的にきついです

蒼雪が一番りんごちゃんのこと考えてるのに
いつもいつも勝手なことばかり言ちゃってゴメンなさい



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2021/07/09 14:18
わんこは あるがまま 生きてゆく…ほんとにそうだと思います。

飼い主になったわたしたちは どんなに辛くてもそこに寄り添ってあげるしかない。
最期までみとどけてあげるしかない。
できるだけ わんこに不安を感じさせないように…。

蒼雪さま
どうかこころ穏やかに りんごちゃんに寄り添ってあげてください。
お辛いお気持ち 痛いほどわかります、、、 
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2021/07/09 10:42
パミタンさん、ありがとうございます。

闘病って言葉がありますが、それって「どうしても前のように健康になりたい!」っていう熱意みたいなものがありますね。
でも、もう治る見込みがない病の場合、闘うって言葉はあまり似合わない気がしています。
勝ち負けの段階からリタイアして、あるがまま、生きていく。りんごちゃんを見ていると、そう思えてきます。
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2021/07/08 21:33
蒼雪さん りんごちゃん辛そうですね でもそれだけ戦ってるんですよねりんごちゃん
りんごちゃんも蒼雪さんも平穏な日が過ごせますように・・
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2021/07/08 09:58
じゅらさん、ありがとうございます。

そうですよね、ほんとにそうです。
人間でもターミナルケアがあるのに、犬にはなぜしてくれないのか。そういうのは、大学病院ではなく、かかりつけ医に頼めってことなんでしょうかね。

ロイヤルカナンは続けていこうと思います。もう肉類を受け付けないみたいで、馬肉ジャーキーも残しちゃったんですよ。肝臓が弱ってるからかな…。
おなかが痛くなければ普通に過ごせているので、そのためにも、高いとか言っていられないですね。
ネットで気軽に買えたらいいのですが、業者の正体もわからないし、やっぱり病院で注文、購入がよさそうです。
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2021/07/08 09:53
パミタンさん、ありがとうございます。

夜中の激しい腹痛以来、もう固形物は怖くて食べさせられないので、今後はリキッドになると思います。
犬用ミルクだけじゃ、栄養足りないと思うので、高いけれど買わなきゃですね。

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2021/07/07 11:58
りんごちゃん 食欲はあるんですね。生きる力って偉大です。

手の施しようがない って 医師に告げられたらほんと 目の前真っ暗!
気休めでもいいから 何か処置してくれないかとか 処方してくれないかって
すがる気持ち わかります。

りんごちゃんが 少しでも楽に 穏やかな時間を過ごせるように
ロイヤルカナンは かなり高額だけど 栄養は摂れるようです。
おなかに負担が少なくて 栄養がとれるといいですよね。
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2021/07/06 21:40
蒼雪さん りんごちゃんしっかり頑張ってますね
やはり問題は食事ですか 

きょうドラッグストアでビーフとマグロのパック感を見つけて療治食の缶食べてくれない
パパわんにどうかなと買ってあげたら良く食べてくれて良かったけど
あまりの食べっぷりにご老体食べ過ぎてもどさないかこれまた心配しちゃいました(;´∀`)

りんごちゃん車でちょっと疲れちゃったかな
でもお家で安心してゆっくり休めたようで良かったね



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