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わたしたちは夢見る子どもじゃいられない その7

2020年、世界の22人の大富豪の資産が、アフリカのすべての女性の資産を上回った。そして、コロナ禍で大富豪の資産はさらに増えて、格差はどんどん開いている。

橘玲「無理ゲー社会」で、「ヒトの脳(無意識)は因果応報で世界を理解するよう、進化の過程で「設計」されている」から、極端な経済格差があることをうまく理解できず、なんらかの「悪い力」が働いたと考えるという。悪のやり玉に挙がったのがグローバリズムで、右も左も関係なく知識人がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に反対していた。

2016年に、知識人のアンチ・グローバリズムの流行は突然終わる。ひとつは中国やインドなどの新興国で膨大な中間層が誕生して、産業革命以降でははじめてグローバルな不平等は拡大を停止したことがデータから明らかになったこと。もうひとつはドナルド・トランプがアメリカ大統領に当選したこと。自分たちが「正義」と信じていた知識人たちは「トランプと同じことを自分たちが主張している」ことに気がつき、「サイテーの人間」になったことで主張を捨ててどこかに消えてしまった。

橘玲は「彼ら知識人」について「このひとたちの目的は、自分にとって気分のいい「正義」を弄ぶことなので、この程度のことではまったくめげない。後ろめたい過去はさっさと忘れて、「陰謀」の対象を別のものに切り替えた。

右派(Qアノン)は「ディープステイト(闇の政府)によって世界が支配されている」、左派は善悪二元論で、ちきゅう温暖化などを背景とした「資本主義」批判で、解決するか都合が悪くなるか、飽きてしまうと違う主張になっていくのだろう。

経済格差が生まれることについて、イソップ寓話の「アリとキリギリス」を使って橘玲は説明している。

10万円の貯金がある友だち2人がいて、1人は稼いだお金をすべて使ってしまい、もう1人は毎年10万円を貯金し、それを年利5%の複利で運用したとしよう。キリギリス君は1円も貯金しないのだから、いつまでたっても銀行口座は10万円のままだ。それに対してアリ君の貯金は、10年で125万円、20年で330万円と複利で増えていく。同じことを子ども、孫、ひ孫と続けていくと、アリ君一家の貯蓄は80年(4世代)でほぼ1億円に達する。それに対してキリギリス君一家は10万円のままなのだから、なにひとつ不正なことがなくても、2つの家族のあいだには1000倍の経済格差が生じたことになる。

キリギリス君はアリ君のことをずるいと思うかもしれないが、アリ君はキリギリス君から盗んだわけでも、特別な投資をしたわけでもない。この格差は情報を知って、メリットとリスクを判断して、実行した結果だ。現在起きている格差はこの差なのだ。

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2021/09/01 10:49
>Mt.かめさん
おはようございます^^コメントありがとうございますm(__)m
お金は貯め込んだだけでは意味がないので、アメリカ移民で苦労した一世世代はしゃかりきに働いてお金を貯めて子どもに高等教育を受けさせて二世以降はアメリカのビジネス界に食い込んでいっていることが多いです。
中国系とか韓国系とかインド系とか教育で新しく居場所を作ったルートです。
アリ君とキリギリス君は年利5%の複利運用しなくても、10万円ためるだけで100年先のひ孫世代に1000万円を渡せるので、相続税もインフレ率も利息もなにも考えなければ、貯めるか貯めないかだけでも格差ができるという例ですね。投資の話を絡めると投資は悪いことだろうって出版社に電話かけてくる人がいるのでしょうね。
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2021/08/31 17:30
このやり方だとアリは単に死蔵したお金があるだけなんで
キリギリスと大して変わらないような気がします。
ディケンズのクリスマスキャロルの主人公の
守銭奴のスクルージと同じような気がするんだけど(笑)




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