映画「かもめ食堂」
- カテゴリ:映画
- 2008/10/09 17:05:34
この映画を観て、すぐ感想を書こうと思ったのだけれど
うまく自分の中でまとめることができずにいた。
どうすればこの作品の良さを伝えることが出来るのだろう、と。
しばらく寝かせておく熟成作業は必要だったのかもと思う。
まぁまだ時期が来ていない感もあるけれど。
舞台はフィンランド。小林聡美演じる主人公が
フィンランドで日本料理店を経営する中で、そこで
出会い、触れ合う人々との日常を描いたもの。
まず、このタイトルの「かもめ食堂」という名前の
イメージで、薄汚れた店を想像していたのだけれど
映画に描かれていた「かもめ食堂」はとってもおしゃれな
お店でした。ガラス張りの明るい店内。こだわりで
揃えられた小物たち。コーヒーメーカーから立ち上る
コーヒーの香りが感じられる優雅な時間。
好きなモノたちに囲まれて過ごす毎日は幸せだろう。
けれど、背景に流れる優雅さとは打って変わって
かもめ食堂にはお客さんがさっぱり来ません。
記念すべき最初のお客さんは貧乏学生で、
毎日タダでコーヒーだけを飲みに来ます。
だけど、主人公の彼女は前向きで明るい。そして
どんな人にでも誠意を持って応対します。人は自分に
利益をもたらす人は大事にするけれど、そうじゃない人
にはぞんざいな態度を取ったり軽くあしらったりするもの
じゃないですか?でも彼女は違うんです。
その彼女のキャラクターがこの映画全体に流れる雰囲気
というもの作り上げています。
店はさっぱり繁盛しなかったけれど、彼女の周りには
吸い寄せられるようにあらゆる人たちが集まってくる。
みんな、ココロのどこかに痛みを抱えていて、休息や
癒しを求めている。みんなが道に迷っているけれど
彼女がそれについて助言したりということはない。
だけど、彼女のそばにいるとほっとする。落ち着ける。
だからみんな、ここがずっと自分のいる場所じゃないと
分かっていながら、どうにも離れることができずにいる。
以前読んだ本の中にこういう言葉があった。
「目の前にいる人を最愛の人だと思いなさい」
自分に好意を寄せてくれる人を、人は嫌いにはなれない。
どうにかして、何らかの形で、返そうとする。
赤ちゃんが笑えばついつられて微笑んでいるように。
笑顔は伝染するって思う。
いつでも彼女は自分らしさを失わない。
それは強くなければ出来ないことだと思う。
自立できていない人間が他人に何かを与えることは出来ない。
一人で立つことが出来て初めて、人は人に優しくなれる。本当の意味で。
下から誰かを押し上げるのは困難だ。だけど、上から手を引いて
あげることはできる。そのために上に登る努力はしなくてはいけない。
この映画の中で不思議だったのが、主人公以外の
人々の苦悩や葛藤は垣間見ることが出来るのに、
一番肝心な彼女のそれが見えてこない、ということ。
彼女の嗜好や、好きなものはたくさん見えてくるのに。
客が来ないことへの不安や、悩みもあっただろう。
だけど、彼女はいつも”彼女らしく”存在しているだけだ
ただそこに。
映画のラストでは「かもめ食堂」はたくさんのお客様で
にぎわう大人気の店になる。だけど、彼女はどんな状況に
置かれても、きっとそのまま変わらないんだろうな、そう思った。
願わくば
そういう人にあたしもなりたいって思う。
大きな流れの中で、自分を見失わずに生きていくことは
ほんとうに難しいものだから。
決して派手なシーンや緊張する場面は出てこないけど
観終わったあと、ココロがほんわかとなる映画でした。
薦めてくれた友人に感謝。
私は、この映画の存在の意味がすこしだけわかって
そんな風で「まだ」よかったなと思っています。
いろんな意味で「まだ」間に合いそうです。
あー トースト食べたい♪
この映画を観た後は、今まで観た映画とは違うほっこりした気分になりました♪
こういう映画・・・Σd(゚∀゚d)イカス
もたいまさこさんや、小林聡美さんが好きなので気になってたタイトルでした。
まえにTVでやっとときに、見逃して、最後のシーンしかみれなくて。。。
今度ちゃんと見たいなと思いました。
喫茶店を経営してみたいとか、ペンションを経営してみたいとか
一度は思い描いてみたりすると思うんだけど、
そういった当人のがんばりや、工夫・苦悩が見れたりするのって
思い描いてた頃の自分の一部が満たされる気がします。