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竹取の翁とかぐやの大事なおはなし その2

『竹取物語』は、異常生誕、難題聟譚、天人女房から成立している。

異常生誕は竹から生まれたことだ。竹の中に光る竹があり、筒の中に三寸ばかりの女の子がおり、竹取の翁(讃岐造麿が連れ帰って育て、三月ばかりして大きくなってから髪上げして(女性の成人の儀式)、三室戸斎部秋田を呼んで「なよ竹のかぐや」と名づけてもらった。

難題婿譚は、5人の貴族から求婚されたときに、かぐや姫は無理難題を言ってすべて断っている。石作皇子には「天竺に佛の御石の鉢といふものあり。それをとりて給へ。」、車持皇子には「東の海に蓬莱といふ山あンなり。それに白銀を根とし、黄金を莖とし、白玉を實としてたてる木あり。それ一枝折りて給はらん。」、右大臣阿倍御主人には「唐土にある、火鼠の裘を給へ。」、大納言大伴御行には「龍の首に五色に光る玉あり。それをとりて給へ。」、中納言石上麿呂には「燕のもたる子安貝一つとりて給へ。」と要求する。

仏の御石の鉢は『南山住持感応伝』によると、釈迦が悟りを開いたとき四天王が仏陀にふさわしい器として金銀七宝の食器を贈るが、釈迦はみずからにふさわしいのは石の器だとして4つの器を押し潰してひとつの器にしたものだという。石作皇子は天竺へは行かず、3年くらいかけて、大和国十市郡の山寺で見つけてきた煤で汚れた石の鉢を持って帰るが、光り輝くという鉢ではなく蛍ほども光らないことから偽物と見破られる。

蓬萊の木の枝は司馬遷『史記』巻百十八「淮南衡山列伝」によると、渤海湾に面した山東半島のはるか東方の海にあり、不老不死の仙人が住むと伝えられている。車持皇子はすばらしい木の枝を持ち帰り、冒険譚を語っていたときに、6人の匠がおしかけてきて木の枝の細工の代金をもらっていないと騒ぎ立て、車持皇子は深い山へと逃げ込んでしまう。

火鼠の裘は『和漢三才図会』によると、中国西域および南域の火州の山に、春夏に燃えて秋冬に消える野火があり、その中に生息すると述べられている。体重が約250㎏もある大鼠で、毛の長さは50㎝もあって絹糸より細く、火鼠の毛を使って織った布が火浣布で、火にくべても燃えず、汚れても火に入れると真っ白になったという。阿倍御主人は唐の商人に大金を払って火鼠の裘を手に入れるが、かぐや姫は火にくべてしまう。火鼠の裘はメラメラと燃えてしまって阿倍御主人は顔色を失った。

龍の首の五色の珠は驪龍の頷の下にあるという珠玉で『荘子』の故事「夫千金之珠、必在九重之淵而驪龍頷下」から手に入れがたい大切な宝物のことをいう。大伴御行は珠を手に入れるために船を出したものの筑紫で暴風雨にあって遭難してしまう。明石まで流された。さらに病にかかって両目が李のように腫れ上がったという。

燕の子安貝はタカラガイの別称で、卵のような形状で非常に固く陶磁器のようになめらかで光沢がある貝で、開口部が女性器に似ているところから、生命力の護符として出産時に握っていると賢い子どもが生まれるとされた。また古代中国では貨幣として使われていた。燕は妊娠、出産のシンボルだった。石作麿呂は大炊寮の屋根に上って燕の巣の中を探って子安貝らしきものを掴んだが、籠を引き上げていた綱が切れて石作麿呂は「八島の鼎」の上に落ちてしまう。掴んだと思った子安貝は燕の糞だったという。

続く。

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2021/09/25 16:39
>花♪さん
こんにちは^^コメントありがとうございますm(__)m
源氏物語を読みたくてたまらないという女性が京で願いが叶うお話が藤原孝標娘「更科日記」で、かなりいろんなことが言えた印象です。政治権力ということでは関わった部分は少ないのですが、当時の風俗がよくわかります。吉方の占いとか、方違えでいったん引っ越しするとか、「枕草子」にはお坊さんの説法が今のライブみたいな感覚で、話がおもしろくないとつまらないみたいになっていますし。かなりお出かけしていた印象ですよー。
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2021/09/25 14:16
盛り塩は、塩を牛がなめたかったからなのか
本来は、どんな始まりか思うと面白いです。
通婚は、ある意味、夫元気で留守がいいなんて事も言うので;^^
理想かもしれないけれど
夫婦という個人的結びつきより、家と子供あっての関係になりますね。
女性という一個人の部分を考えに入れていない関係でもあり、
親、子供、お世話侍女では、女の部分は含まれない。
子供を産み、育てれば満足だろうみたいな。
男性は通い婚なら、外で好きにできるわけですから。
女性は家に閉じ込められたままという感じは拭えない気がします。
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2021/09/24 21:11
>花♪さん
こんばんは^^コメントありがとうございますm(__)m
「源氏物語」の末摘花の話、小野小町の深草少将の話など、通い婚の話はいろいろありますね。
基本的に平安時代は、子どもができたら妻の実家で育てることになっていたから、貴族で実家がしっかりしていればそれほど淋しくはなかったのではないかと思います。そのために侍女がたくさんいたわけですし。
当時は牛車で移動なので、盛り塩でお客を呼ぶという習慣のもととなった中国の故事もありますね・
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2021/09/24 11:12
kiriさんへ
平安初期の貴族は結婚しても通い婚の状態があったのでしたね。
子供の時に、それを知った時はなんだか新鮮でした^^
自分が大人になってからは、待つ身の女性は、お相手の男性に情を持っていれば
いつくるかと辛いだろうとも思ったりしました^_^;
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2021/09/23 16:38
>花♪さん
こんにちは^^コメントありがとうございますm(__)m
桃太郎も成長はかなり早いですね。いったい何を食べているのでしょうね。
昔の日本の貴族は、妻問婚が主流で、男性が女性のところへ夜這いに行き、歌の贈答などをして女性が許可したら中へ入れるシステムでした。貴族は教養がないと相手にもしてもらえなかった時代ですね。
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2021/09/23 16:34
>Mt.かめさん
こんにちは^^コメントありがとうございますm(__)m
子安貝は実在する貝で、燕が卵を産んで育てるときに使われたという確証はないのだけれど、手に入れるのは難しくなさそうですね。古代中国では貨幣として使われていたのだし、商人に頼んで手に入れて燕の巣に入れておけばできたかもですね。
車持皇子は実は藤原不比等をモデルにしているのではないかと言われていて、支払い能力がないとして貶めているのかもですね。ちゃんと支払っていれば偽物だと言われなかったかもなのに。
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2021/09/23 13:25
異常生誕の場合はすごく成長も早いみたいですね。@@
桃太郎も確かそうだったような。
竹取物語の難題聟譚の面白い所は
天女を帰さない方法に、嘘をつくけれど
相手の希望を聞くという部分においては
力ずくの強引ではない所。
ずっと昔の時代から男性社会の考えだなと、色々感じることがある中で、
この話の部分は面白い展開。^^
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2021/09/23 10:29
一番求婚に成功しそうなのは「子安貝」でしょうかねー。
実在のものとして可能性が高いと思うんだけど(笑)
あとは「火ネズミの皮衣」としての石綿ですね。
二人ともアンポンタンだったとしか思えないエピソードですよねー。
あとは実在可能性の低いものだけど金銀財宝の枝を作ってきた男は頑張ったなー。
支払い能力さえあればよかったのに・・・(^▽^;)




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