Nicotto Town


生活は荒れている


朋友写的。

は、は、はと息を切らしながら走っている。振り返ることなくただずっと走っている。振り返ってみる勇気はなかった。どこへ続くかも分からないこの長い道をひたすら走り続ける。一体何がどうなってるんだよ。いつもの帰り道を歩いていると、後ろから物音が聞こえて振り返ってみたら、仮面を被った男が立っていた。その手には金属の光が反射している棒を持っていた。男は何も言わず、いきなり棒を振りかざし、自分に襲ってきた。きゃーと悲鳴を上げ、ヒールの履いたまま走り出した。途中で何度か追いつかれてもうしこしで殴られたところだったが、幸い普段から体を鍛えるよう心がけているため、攻撃を見事に交わせたのだった。しかし、その男から懸命に逃げることが夢中でどこをどう走っていたのか全くわからなかった。気が付いたとき、すでに知らない道を走っていたのだった。自慢の体力もそろそろ底をつこうとしたとき、十メートルくらい離れた先にようやくドアらしきものが視線に捉えられた。助かった!どこなのか分からないが、とにかく殺される危険から逃れそうだ。今ではこれが一番大事だから。そう思ってドアまで来て迷いなくグッとそれを引っ張り中に滑り込んだ。中は真っ暗で音一つもなかった。とりあえず殺されずに済みそう。もうこれ以上足が言うこと聞かないほど疲れて、ついに座り込んだ。履いたヒールを脱ぎ、しばらくここで休もうと思ったら、何か電気がついた音とともに、中は急に明るくなった。そして喧しいほどの拍手の音がし始めた。素晴らしい、あなたが最高とかいう歓声が周りから聞こえてきた。狐につままれたようなとはまさに、今の自分のことだ。訳も分からず、見ず知らずの人たちから褒められている。さあさあどうぞ、と勧められながら歩いている。まるで自分の体でないように、両足が交代で先を歩いていただけ。また、ドアが目の前に現れた。それを見たと同時に、入って、入って、あと少しだけという声が発せられた。催眠術をかけられたように、言われた通りにそこに向かう。手で引いて中に入った。さっきよりは狭くしかも傾斜のついた通路がどこかに続いていた。ここまできたら、進むしかないと思ったその時だ。足が滑り、倒れた。そのはずみで転がり始めた。くねくねとした通路をただ止まることなく転がっていた。そしてどこかに落ちた。怪我を気にする暇もなく、周りを見回した。今度はどこだ。狭くて四角い空間の中を歩きながら思った。どうやら自分はある容器、さらに言えばコンテナのようなものの中にいるらしい。自分の推測が当たったのを伝えるように、エンジンの音がし、車が動き出した。その車の後ろに乗せられたコンテナの両側には食品加工場という文字がペンキで書かれていたのだ。




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