Nicotto Town



山小屋


山道を登っていた

ふと ふもとを見ると陸奥湾が広がっていた
誰かを探しにここまで歩いてきた
その誰かとは、今となっては誰なのかもわからない
ただ その誰かを探しにここまで歩いてきたのだ
どのくらい歩いたのだろうか 何日歩き続けたのだろうか

正面に雪の丘が見えてきた
その雪の丘には誰かが歩いて登ったあとの轍が残っていた
俺はその轍の跡をたどりながらひたすら登っていった
そろそろ雪の丘の登り切る頃だった
数人の声が聞こえてきた
だが 何を話しているのかはわからなかった

雪の丘にあがると目の前にスノーボードが飛んできた
ぶつかると思った瞬間スノーボードは止まった
しかも宙に浮いている 俺は固まってしまった
その間に数人の男たちがなにかをしゃべりながらこちらへ近づき
そのスノーボードを取ると数人の男たちはスノボーと一緒に消えてしまった
その後も俺は歩いた何日も雪の丘を歩いていた

山小屋が見えてきた
山小屋の脇に誰かが立っていた 捜していた誰かだった
その捜していた誰かがこっちへ手招きをしている
そして2人で山小屋に入っていった
山小屋には大部屋と個室があった
大部屋には十巣人ほど寝れるスペースがあり
なぜか頭の所だけ仕切られていた
その仕切りは石でできていた

個室の方へ向かった
個室へ入ると 大きな石でできた丁度人が一人はいるぐらいの箱が置いてあるだけだった 他に何も無い
素の個室からはベランダへ出れるようになっておりベランダへ2人で出てみた
外は真っ暗だった 空を見上げた
空も真っ暗だった
地上と空の区別が付かないくらい暗かった
足下を見た ベランダも真っ暗だった
気がつくと
2人で出てきたのにいない
俺一人だった
山小屋に入ろうと振り向いたが
山小屋も無い
何も無い真っ黒な空間

俺自身も少しずつ真っ黒な空間に飲み込まれていく
暗い空間の中に


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2022/10/30 08:27
すべてが、謎のまま 
終わるところがいいですねw




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